司法書士に「英語対応可能」のニーズは今後高まるのか?

さまざまな分野で国際化が進む中、英語能力は私たちにとってなくてはならないスキルのひとつとなりつつあります。ますます加速する国際化社会において、司法書士が英語やその他の言語に対応していくことへのニーズや業界の傾向などに焦点を当てていきたいと思います。

30万人増?法改正で外国人労働者の受け入れが拡大

人手不足・人口減少・経済成長の変革など、日本国内の多くの課題に対応していくため、2018年12月に出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律が公布され、また、2019年4月1日からは、改正出入国管理法が施行されています。これにより、今後、介護・ビルクリーニング・建設・産業機械製造・農業・漁業など多岐に渡る業種にて外国人の受け入れが加速していくことが予想されています。日本政府が2023年までに見込んでいる国内の外国人労働者の数は、およそ30万人。これまでは、留学生や期間限定の一時滞在者が多かったため、発生する法律に関する業務も限られていましたが、今後、長期滞在者や永住権保持者が増加していくことで、さまざまな法律に関する業務が発生することが想定されています。

外国人雇用の増加は司法書士に影響があるか

改正出入国管理法の施行により、これまでは東京や都市圏および大企業が中心となっていた外国人労働者の受け入れも、全国的に拡大していくことが予想され、司法書士の仕事にも大きく関わってくると考えられています。国内に外国人労働者が増加することで、暮らしの中での身近な法律問題にも対応できる司法書士には、必然的に英語やその他の言語での対応が求められるようになることは容易に想像がつくことかと思います。すでに増加傾向にある外国人の成年後見、登記や裁判に関する書類作成などの業務はもちろんのこと、外国や外部とのコミュニケーションが必要になる渉外、外国で発行された文書の翻訳や手続き上の通訳が必要になる機会なども増加していくことが予想されているため、その司法書士事務所が得意とする職務内容や事務所の立地によっては、英語力だけではなく、ポルトガル語や中国語などその他の語学力を問われるケースも増えていくのではないかと言われています。

英語ができる司法書士の採用ニーズは

外国人雇用を促進することとなる法改正によって、司法書士業界だけではなく、日本のさまざまな業界において、ある程度の英語力が必須とされる時代が来ています。また、世界の各地で活躍する日本人も増加傾向にあるため、国際化が進む中での司法書士の業務内容も広がりを見せています。東京や大阪などの都市圏に多い国際法務を専門に扱う司法書士事務所に限らず、地方都市などに拠点を持つ司法書士事務所の採用基準などでも、履歴書のTOEICスコアを参考にしていく司法書士事務所がすでに増加の傾向にあるとも言われています。国内で完結できる業務が主であったこれまでとは異なり、これからの司法書士には、英語などの語学力により海外で発行された文書を読解する能力、国際化社会で必須となる高いコミュニケーション能力などが徐々に求められるようになってきています。

司法書士でも海外勤務はあり得る?

一般企業が世界進出をすることはもう珍しいことではないことを、おそらく多くの方がご存知のことと思います。そして、それは司法書士業界でも同じことです。外国籍の方が日本で何らかの法的な手続きをするケースはもちろん、日本国籍の方が日本発行の文書を使い海外での法的な手続きを必要とするケースもあるでしょう。案件によっては、海外の法律家と連携をして行う業務が増えていくことも考えられますし、コンサルタント業務を得意としている司法書士事務所の場合は、外国人のクライアントを持つ機会も増えていくことと思われます。司法書士としての知識を活用しながら企業の法務部に勤めている方などの場合にも、専門知識を理由に海外勤務の可能性があることも少なくないかもしれません。TOEICなど英語能力の指標となる試験へ積極的に取り組むこと、海外勤務を想定した語学力の向上を目指すことのほか、海外留学経験でコミュニケーション能力を養うなどといったアプローチで、自分の将来のキャリアアップに役立てたり特色ある司法書士として活動できることも検討してみるとよいかもしれません。

まとめ

外国人労働者の受け入れや増えている多国籍化企業が原動力となり、ますます国際化社会へのシフトが加速していくこれからの世界。日本でも、司法書士業界に限らず、日本全体が一丸となって取り組むべき国際化社会の課題も浮き彫りになってくると言われています。暮らしのあらゆる分野において活躍の機会が設けられている司法書士の場合、必ず、渉外・翻訳・通訳関連などで必要となる語学力、国際社会でのコミュニケーション能力へのニーズも高まっていくはずです。司法書士試験突破と同じく、語学にも日々の努力が必要になりますので、合格後も見据えて語学力強化に取り組んでみることも大切かもしれません。