民法 第387条【抵当権者の同意の登記がある場合の賃貸借の対抗力】

第387条【抵当権者の同意の登記がある場合の賃貸借の対抗力】

① 登記をした賃貸借は、その登記前に登記をした抵当権を有するすべての者が同意をし、かつ、その同意の登記があるときは、その同意をした抵当権者に対抗することができる。

② 抵当権者が前項の同意をするには、その抵当権を目的とする権利を有する者その他抵当権者の同意によって不利益を受けるべき者の承諾を得なければならない。

目次

【超訳】

① 抵当権設定後の賃借権について、登記がされ、かつ、登記を有する総先順位抵当権者がこれに対抗力を与えることを同意し、かつ、賃借権者と総先順位抵当権者との共同申請で賃借権の先順位抵当権に優先する同意の登記をしたときは、賃借権は同意した総先順位抵当権に対抗することができる。

② 抵当権者が賃借権の先順位抵当権に優先する同意をするには、転抵当権者その他同意により不利益を受ける利害関係人の承諾がなければならない。

【解釈・判例】

1.賃借権の先順位抵当権に優先する同意の登記

意 義 抵当不動産の有効利用という観点から、抵当権に後れて設定された賃貸借であっても、抵当権の実行による買受人に対して自己の賃借権を対抗することを可能とする制度として設けられた。
要 件

① 登記した賃借権であること

→ 借地借家法10条1項・31条1項によって対抗要件を具備したものであっても、登記のない賃借権は387条によって保護されない。

② 抵当権者の同意を得ること

→ 同意を要する先順位抵当権者が数人いる場合、その全員の同意を得なければならない。一部の者のみの同意では足りない

③ 利害関係人の承諾を得ること

→ 転抵当権者、376条の抵当権の処分を受けた者、抵当権付債権の質権者等が、利害関係人に該当する。

④ 同意の登記をすること

→ 同意の登記は効力要件である

効 果 ① 抵当権の実行による競売がされても賃借権は消滅せず、競売による不動産の買受人に対して賃借権を対抗することができる。
② 買受人は賃借権の負担付で当該不動産の所有権を取得することになり、賃貸人としての地位を当然に承継する。

【問題】

抵当権の目的である建物について、登記した賃借権に基づき競売手続開始前から賃借して居住している者は、その賃借権が抵当権者に対抗することができないものであっても、すべての抵当権者がその賃借権に対抗力を与えることについて同意したときは、同意の登記がなくても、抵当権者に対し、その賃借権を対抗することができる

【平17-14-エ:×】

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