第5条【未成年者の法律行為】
① 未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。
② 前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。
③ 第1項の規定にかかわらず、法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内において、未成年者が自由に処分することができる。目的を定めないで処分を許した財産を処分するときも、同様とする。
【超訳】
① 未成年者が法律行為を行うには、法定代理人の同意が必要である。ただし、未成年者にとって不利益とならない行為については法定代理人の同意は不要である。
② 未成年者が法定代理人の同意を得ずにした法律行為は取り消すことができる。
③ 未成年者といえども、例えば、法定代理人が旅費として使用するようにと指定して渡した金銭等、使用目的を定めて処分を許可した財産は、その目的の範囲内で単独で有効に処分することができる。法定代理人が小遣いを渡す場合などのように、一定額について使用目的の指定のない財産の処分が許されたときも、許可された一定額については単独で有効に処分することができる。
【解釈・判例】
1.本条は、未成年者を一律に制限行為能力者とし、法定代理人の同意のない行為は取り消すことができると定めて、未成年者を保護するための規定である。
2.未成年者が単独でした取消しは、法定代理人の同意を得ていなかったとしても完全に有効な取消しとなる。当該取消しを取り消すことはできない。
3.法定代理人も未成年者がした取り消し得べき行為を取り消すことができる(120条)。
【問題】
法定代理人が目的を定めないで処分を許した財産は、未成年者が自由に処分することができる
【平31-4-ア:〇】
【問題】
未成年者が認知をするには、その法定代理人の同意を要しない
【平31-4-エ:〇】
【暗記】
1.未成年者の保護者
保護者 | 法定代理人 |
保護者となる者 | 親権者である父母(818条、819条)。
→ 親権者がいないか、親権者が子の財産の管理権を有しないときは未成年後見人(838条~841条)。 |
権限 | ① 未成年者を代理して法律行為を行い、又は未成年者の法律行為につき同意を与えることができる(5条、824条、859条)。
② 未成年者が保護者の同意を得ずに行った法律行為につき、取消権(120条)、追認権(122条)を行使できる。 |
2.未成年者が単独で可能な行為と不可能な行為の具体例
未成年者が単独で可能な行為 | ① 負担なし贈与の受諾(5条1項ただし書)
② 債務免除の受諾(5条1項ただし書) ③ 無償寄託の受寄物の返還(5条1項ただし書) ④ 子の認知(780条) ⑤ 遺言(15歳以上の者に限る。961条) ⑥ 氏の変更(15歳以上の者に限る。791条) ⑦ 縁組の意思表示(15歳以上の者に限る。797条) ⑧ 法定代理人の同意を得ずにした行為の取消し(120条1項) |
法定代理人の同意を要する行為 | ① 相続の承認・放棄
② 負担付贈与を受けること ③ 債務の弁済を受けること(債権の消滅) |