5科目一発合格者インタビュー(3)2年目、消費税法、相続税法へ

 

目次

税法について。

河野上:次に2年目の税法についてですが、まずは、消費税は勉強されてみてどうでしたか。

宮 本:イメージが最後まで湧かずにつらかったです。課税取引、非課税取引とか、全部の答練をまとめて回しだした時に、あ、消費税はこうなってつながっているのだという、入り口と出口が全部見えてきたというのが、実感です。簿財の場合は、最初から最後まで分かっていないと、解けないというのは、ほとんどなくて、好きなものからのつまみ食いでも解けましたが、税法は最初から最後まで理解して初めて意味が分かるようになると思います。

河野上:全体の消費税の最後の納付税額を出すころまで学習して、スキームが分かってからでないとやっていることが分からないということですよね。よく、会計と税法は何が違うのかと質問されますが。会計は、貸借が合っていなかったら、自分が間違っているとすぐ分かりますよね。それに比べ税法は最後まで一方通行だから、自分が合っているかどうかは、最後まで分からないですよね。そこが、簿財から消費税に上がってきた方が最初に陥ってしまうポイントです。消費税の全体像がつかめるようになるには、講義の8割程度ぐらいまで進まないと、消費税が何をやる税法なのかが見えてきません。そこに消費税の難しさがあると思います。一方、相続税については、合格体験記でもFPの知識があったので比較的すんなり頭に入ったとありましたが。

宮 本:相続の財産評価に関してはFPで学習した知識を思い出していく程度でよかったという感じではありましたが、複雑な問題は、気を抜くと間違えてしまうところはありました。

 

税法の理論と計算の勉強の仕方。

河野上:次に税法の理論と税法の計算の勉強の仕方について教えてください。

宮 本:消費に関しては、計算主体という感じはしました。消費の理論には、算式、数式を言い換えただけのものが結構あるので。まず計算から入って、計算を理解した後で理論を暗記したほうが、暗記がしやすかったです。対して、相続は理論主体です。相続税の条文は、長文でかつ日本語が少し難しいため、覚えにくいという感じでした。

河野上:相続税というのは税法の中でもちょっと毛色の変わった科目だと理解してよろしいでしょうか。

宮 本:そう捉えても良いと思います。まず相続は、計算方法自体が全然違っていたり。そもそも物の値段を与えられていないところを計算するというものなので、そういう意味ではちょっと違うと思います。

河野上:先ほどの簿財でのドロップアウト感というのは、最後まで学習しないと分からない点の多い税法の場合は、どうだったのでしょう。税法は、どこでドロップアウトしてしまうのでしょうか。

宮 本:講義を聞いていても、分からないので面白くないというところですかね。

河野上:その面白くない税法とどう付き合うかという点は、自分の中でクリアされましたか。

宮 本:とりあえずは「やる!」という感じです。

河野上:学習を継続させるためには、小さな成功体験を積み上げていくことだと言われますが、宮本さんの場合、達成感はどういうところに置かれていましたか。例えば、初めて総合問題が解けるようになったとか、そういう点はどうでしたか。

宮 本:消費税は最初、答練を丸写し、答練を中心に繰り返して解いていくなかで、ある程度パターンが身に付いてきました。そうなると、何を意味しているかが徐々に分かってきます。そういうことの積み重ねで、何か達成した感はありました。

河野上:相続税だと一つ一つの財産評価のやり方が分かるたびですかね。

宮 本:そうですね。1個また理解できたみたいな。財産評価は完全に個別問題の組み合わせなので、ある時から急に視野が開けるような感動というよりも、一つまた一つと、理解できた項目が増えていく毎に喜びを見い出していました。

 

キーワード法の問題点。

河野上:今日は、宮本さんの受験時代の消費税法の理論問題集も拝見しましたが、理論集がぼろぼろになっていましたね。本当にクレアールの理論集と心中してもらったということがよく分かりました。最近、税法の理論集が段々薄くなってきており、行間も広げて極力文字数を減らす、言い換えれば、キーワードを押さえてキーワードをつなげて書くという指導傾向が他校に見られますが、宮本さんの経験として、税法の理論の暗記というのは、本当にキーワードだけで対応できると思いますか。

宮 本:合格点を別としたら、対応できると思いますが、合格点となると、難しいと感じます。
理由が2つあり、1つは時間面です。とにかく税理士試験は、時間との勝負なので、頭を使ってキーワードをつないでいる時間がもったいないという点。覚えたものをそのまま答案用紙に書くほうが早いと思います。もう1つは、法律というのは、本当に一言一句、無駄がありません。場合によっては、この一文、一語を逃してしまうと、意味が全く変わってしまう場合があるからです。特に相続をやっている時は、その点をすごく感じていたので、キーワードだけでは難しいという感じがします。

河野上:合格体験記でも税法は一字一句の意味をおろそかにすると、たった一字の違いで大減点になるという恐ろしさを知ったと書かれていましたよね。やはりキーワードではなく、意味があって条文になっているのだから、条文をきちんと、まずは暗記をしないと駄目だよということですね。

宮 本:やはり日本の頭脳が集った上で作られている法律なので、条文には無駄がないと思います。

河野上:分かりました。理論集については葛藤することが多く、受講生の皆さんにとって、税法の理論って、簿財の理論と比べるとハードルが凄く上がったように感じるようです。「理論集は、全部覚えなければいけないのですか」という質問をたくさん受けます。「全部ですよ」という応え方をしていますが、その「全部」の意味を、丸暗記と解釈している方もいますが、単に丸暗記とも違うわけです。理論は、丸暗記して覚える必要があるもの、丸暗記はしなくても本番で書けるものと、理論集を全部覚えるにしても、僕は色分けというか峻別というのが必要だと思うのですが。

宮 本:その通りだと思います。計算式が理論になっているようなものだったら、多少は完璧に暗記していなくても対応できますから。例えば文字で言うと、何を言っているかよく分からないのですが、式に直して冷静に考えると、日本語にしていけると思うのです。そういうところは逆に、一字一句覚える必要はないと思います。特に定義のところは、一字一句覚えなければいけないと思います。以上と未満とか、等だとか理論集のそういうところにマーカーの線を入れてました。

河野上:ちょっと安心しました。学習というのは、全体を見せた上で、後でカスタマイズして、自分で覚えやすくするとか、暗記しやすくするというのは、皆さんがそれぞれ工夫されることで、実力が付くものだと思います。最初からキーワードだけ覚えておきなさいという理論集であれば、受講生にとって、かえって効率が悪くなるだけだと思うのですが。

宮 本:税法科目の本試験の問題も、覚えた理論がそのままになって出題されていたので、法律の文章を書いてバツが付くはずがないと思います。キーワードだけを覚えているとどうしても作文になってしまうので、少し不安は感じますね。もし、採点者とフィーリングが合わなかったりすると、大減点されてしまう可能性も考えられます。

河野上:クレアールとしては、他校の状況を踏まえた理論集を作るつもりはないのですが、皆さんから、「理論集を全部覚える必要があるか」というご質問がすごく多いので、今回の宮本さんの話を聞いて、受講生がモチベーションを上げるきっかけになってもらえればと思います。

宮 本:比較的、会計の理論は、合格ボーダーラインはすごく取りやすいと思うのですが、ボーダーラインを大きく飛びぬけるレベルまで持っていくには、かなりの数の財務諸表論の本を読み込んだりしないと、そのレベルにまで持ち込むことは難しい気がします。一方で税法科目の理論は、理論集さえ、しっかり覚えておけば、ボーダーを大きく飛びぬける合格確実ラインまで乗せられます。

河野上:なるほど。

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