第1024条【遺言書又は遺贈の目的物の破棄】
遺言者が故意に遺言書を破棄したときは、その破棄した部分については、遺言を撤回したものとみなす。遺言者が故意に遺贈の目的物を破棄したときも、同様とする。
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【解釈・判例】
1.「破棄」は、故意による破棄に限られる。過失、不可抗力、第三者による場合は該当しない。
2.元の文字が判読できる程度の抹消は、本条にいう破棄に該当しない。変更、訂正として、所定の方式を具備しない限り、元の文字の記載が効力をもつ(968条2項、970条2項、982条)。
→ 遺言者が自筆証書による遺言書の文面全体に赤色のボールペンで故意に斜線を引く行為は、その斜線を引いた後、なお元の文字が判読できる場合であっても、「故意に遺言書を破棄したとき」に該当し、遺言を撤回したものとみなされる(最判平27.11.20)。
3.本条後段の「遺贈の目的物の破棄」とは、目的物の毀損・滅失だけでなく、当該目的物の経済的な価値を喪失させることを含む。