第1012条【遺言執行者の権利義務】
① 遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。
② 遺言執行者がある場合には、遺贈の履行は、遺言執行者のみが行うことができる。
③ 第644条、第645条から第647条まで及び第650条の規定は、遺言執行者について準用する。
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【解釈・判例】遺言執行者の訴訟追行権
1.遺言執行者は、遺言の無効確認の訴えの原告適格を有し、相続人又は受遺者が提起する遺言の無効確認の訴えの被告適格を有する。
2.遺贈の目的物である不動産につき、相続人が自己名義に登記を移した場合、遺言執行者は、遺言の執行のため、相続人に対して当該登記の抹消手続を求める訴えを提起することができる(大判明36.2.25)。
3.遺言執行者がある場合、特定不動産の受遺者が提起する目的不動産の所有権の移転登記手続を求める訴えの被告適格を有する者は、遺言執行者に限られ、相続人は被告適格を有しない(最判昭43.5.31)。
4.遺贈による所有権の移転登記がされている場合、相続人が当該登記の抹消手続を求める訴えの被告適格を有する者は、受遺者であり、遺言執行者ではない(最判昭51.7.19)。