第985条【遺言の効力の発生時期】
① 遺言は、遺言者の死亡の時からその効力を生ずる。
② 遺言に停止条件を付した場合において、その条件が遺言者の死亡後に成就したときは、遺言は、条件が成就した時からその効力を生ずる。
目次
【解釈・判例】
1.遺言は1つの意思表示であるから、解除条件付の遺言も可能である。始期付・終期付遺言もできる。
2.遺言の無効・取消し
(1) 心裡留保(93条)による遺言は常に有効である。虚偽表示(94条)の規定は適用の余地がない。遺言は相手方のない単独行為であるからである。
(2) 詐欺・強迫によってなされた遺言は、遺言者自身が生前に取り消すことができる。
3.遺言の効力発生時期
(1) 遺贈は遺言者の死亡により初めて効果を発生するものであり、その生前には何ら法律関係を発生させることはなく、受遺者は将来遺贈の目的物たる権利を取得することの期待権すら持たない(最判昭31.10.4)。
(2) 遺言者が心身喪失の常況にあって、回復の見込みがなく、遺言者による当該遺言の取消し又は変更の可能性が事実上ない状態にあるとしても、遺言者生存中の遺言無効確認の訴えは不適法である(最判平11.6.11)。