第899条【共同相続の効力】
各共同相続人は、その相続分に応じて被相続人の権利義務を承継する。
目次
【解釈・判例】
1.可分債権
→ 共同相続の場合、相続財産中の一般の可分債権は、相続開始と同時に当然に各相続人の相続分に応じて分割される。
2.不可分債権
→ 共同相続人全員に債権が帰属し、各相続人(各債権者)は、総債権者のために履行を請求し、弁済を受領し、また、共同相続人の1人と債務者との間に更改や免除があっても、他の相続人は債権全部の履行を請求できる(428条、429条)。
3.可分債務
→ 被相続人の金銭債務その他可分債務は各相続人の相続分に応じて分割され、承継される(大決昭5.12.4)。
4.連帯債務
→ 連帯債務者の1人が死亡し、その相続人が数人ある場合に、相続人らは、被相続人の債務の分割されたものを承継し、各自その承継した範囲において、本来の債務者とともに連帯債務者となる(最判昭34.6.19)。
5.不可分債務
→ 被相続人が第三者所有の不動産を取得して相手方に譲渡すべき義務を負担する場合に、相手方は数人の遺産相続人の1人に対し当該義務の全部の履行を請求することができる(大判昭10.11.22)。
6.金銭
→ 相続人は、遺産分割までの間は、相続開始時に存した金銭を相続財産として保管している他の相続人に対して、自己の相続分に相当する金銭の支払いを求めることはできない(最判平4.4.10)。
【問題】
共同相続人の一人が遺産である現金を相続開始時に保管していたときは、他の共同相続人は、遺産の分割前であっても、当該現金を保管していた共同相続人に対し、当該現金の額に自己の相続分を乗じた額の金銭の支払を請求することができる
【平30-22-イ:×】