民法 第877条【扶養義務者】

第877条【扶養義務者】

① 直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。

② 家庭裁判所は、特別の事情があるときは、前項に規定する場合のほか、三親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができる。

③ 前項の規定による審判があった後事情に変更を生じたときは、家庭裁判所は、その審判を取り消すことができる。

目次

【解釈・判例】

1.扶養義務の内容

(1) 生活保持義務

→ 共同生活の必然性から要請される義務。未成熟の子に対する親の扶養義務、夫婦間の扶養義務など。

(2) 生活扶助義務

→ 生活の単位を異にする親族が例外的に負う義務。自己の生活水準を確保した上で、なお余裕がある場合に相手方の最小限の生活を保障するものである。成人した子に対する親の義務、兄弟姉妹間の義務など。

2.扶養義務者

(1) 絶対的扶養義務者:配偶者、直系血族及び兄弟姉妹

(2) 相対的扶養義務者:直系血族及び兄弟姉妹を除く他の三親等内の親族

3.「直系血族」とは、自然血族及び法定血族の両者である。「兄弟姉妹」は、父母の双方を同じくする場合のみならず、父母の一方を同じくする場合も含む。養子と養親の実子及び同一の養親の養子相互間も含む。子は嫡出子であると非嫡出子であるとを問わない。

4.「三親等内の親族」とは、配偶者、直系血族及び兄弟姉妹を除く三親等内の親族をいう。血族、姻族、直系、傍系を問わない。

(1) 夫婦の一方は、他方が前婚でもうけた子に対し、扶養義務を負うことがある(配偶者の連れ子は一親等の姻族に該当する)。

(2) 夫婦の一方は、他方の兄弟姉妹の配偶者に対し、扶養義務を負うことはない(配偶者の兄弟姉妹の配偶者は姻族ではない)。

5.推定相続人である未成年の子が廃除された場合でも、父はその子に対して扶養義務がある。

【問題】

扶養義務は、配偶者、直系血族及び兄弟姉妹について生じ、これらの者が存在しない場合には、三親等内の親族間において生じる

【平17-22-ア:×】

【問題】

A男とB女について婚姻の届出がされている場合、B女は、A男と離婚する前であっても、A男の母親に対しては扶養義務を負うことはない

【平20-21-エ改:×】

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