第873条の2【成年被後見人の死亡後の成年後見人の権限】
成年後見人は、成年被後見人が死亡した場合において、必要があるときは、成年被後見人の相続人の意思に反することが明らかなときを除き、相続人が相続財産を管理することができるに至るまで、次に掲げる行為をすることができる。ただし、第三号に掲げる行為をするには、家庭裁判所の許可を得なければならない。
一 相続財産に属する特定の財産の保存に必要な行為
二 相続財産に属する債務(弁済期が到来しているものに限る。)の弁済
三 その死体の火葬又は埋葬に関する契約の締結その他相続財産の保存に必要な行為(前二号に掲げる行為を除く。)
目次
【解釈・判例】
1.成年後見人は、成年被後見人の死亡後であっても、個々の相続財産の保存に必要な行為、弁済期が到来した債務の弁済、火葬又は埋葬に関する契約の締結等といった一定範囲の事務を行うことができる。
2.成年後見終了後の死後事務については、成年後見人が行うことができる事務の範囲が必ずしも明確でなかったことから、実務上、成年後見人が対応に苦慮する場合があるとの指摘がされていた。そこで、死後事務に関する規定が新設された。
3.本条に基づいて死後事務を行うことができるのは、成年後見人のみである。保佐人や補助人、未成年後見人は含まれない。