第698条【緊急事務管理】
管理者は、本人の身体、名誉又は財産に対する急迫の危害を免れさせるために事務管理をしたときは、悪意又は重大な過失があるのでなければ、これによって生じた損害を賠償する責任を負わない。
目次
【超訳】
事務管理に際し、本人に損害を与えた場合は、故意・過失があれば軽過失の場合でも、生じた損害について賠償責任を負う。ただし、本人の身体、名誉または財産に対する急迫の危害を免れさせるために事務管理を行った場合(緊急事務管理)は、善意または軽過失のときは、賠償責任を負わない(悪意または重過失があるときに限り、賠償責任を負う)。
【暗記】
管理者の注意義務
原則 | 善管注意義務を負う。
→ 軽過失で債務不履行となる。 |
例外 | 本人の身体、名誉又は財産に対する急迫の危害を免れさせるために事務管理(緊急事務管理)を行った場合
→ 悪意又は重過失がなければ債務不履行責任を負わない。 |
【比較】
委任・寄託・事務管理の各注意義務の比較
委 任 | 善管注意義務(644条)。 |
寄 託 | 有償寄託は、善管注意義務(400条)。
無償寄託は、自己の財産と同一の注意義務(659条)。 |
事務管理 | 善管注意義務。
緊急事務管理の場合は、悪意・重過失の場合のみに限定(698条)。 |