第576条【権利を取得することができない等のおそれがある場合の買主による代金の支払の拒絶】
売買の目的について権利を主張する者があることその他の事由により、買主がその買い受けた権利の全部若しくは一部を取得することができず、又は失うおそれがあるときは、買主は、その危険の程度に応じて、代金の全部又は一部の支払を拒むことができる。ただし、売主が相当の担保を供したときは、この限りでない。
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【解釈・判例】
1.559条によって本条が賃貸借契約に準用される結果、土地又は建物の賃借人は、賃借物に対する権利に基づき自己に対して明渡しを請求することができる第三者からその明渡しを求められた場合には、それ以後、賃料の支払を拒絶することができる(最判昭50.4.25)。
2.「相当の担保を供したとき」とは、売主が買主との合意に基づいて担保物権を設定した場合や、保証契約を締結した場合等をいう。