民法 第482条【代物弁済】

第482条【代物弁済】

弁済をすることができる者(以下「弁済者」という。)が、債権者との間で、債務者の負担した給付に代えて他の給付をすることにより債務を消滅させる旨の契約をした場合において、その弁済者が当該他の給付をしたときは、その給付は、弁済と同一の効力を有する。

目次

【解釈・判例】

1.代物弁済とは、本来の給付に代えて他の給付をすることにより、債務を消滅させることを目的とした債権者と弁済者の間の諾成契約である。代物弁済契約に基づいて代物の給付が現実にされたときに債権が消滅する。

2.代物弁済として給付された物に契約不適合があっても、代物弁済によって債権は消滅するため、債権者は本来の給付を請求することができない。しかし、代物弁済も有償契約に該当するため、代物弁済の目的物に契約不適合があるときは、売買の規定の準用(民559条)により、民法562条の追完請求権が認められる。

3.代物に関する判例

(1) 第三者に対する債権の譲渡による代物弁済も可能である(大判大4.11.20)。

(2) 代物は、本来の給付と同価値である必要も、それ以上の価値がある必要もない(大判大10.11.24)。

4.代物弁済の効果に関する判例

(1) 債権の消滅

① 代物が不動産の所有権である場合、所有権の移転登記が完了した時に債権が消滅する(最判昭40.4.30)。

② 代物である不動産の所有権移転登記に必要な一切の書類の授受によって代物弁済の効力を生じさせる特約があれば、書類の授受のみで債権は消滅する(最判昭43.11.19)。

(2) 代物弁済の目的物の所有権は、原則として、当事者間で代物弁済契約の意思表示をしたときに移転する(最判昭57.6.4)。

【問題】

債務者が、本来の給付に代えて自己の所有する不動産の所有権を移転する合意を債権者とした場合には、当該不動産について所有権の移転の登記が完了しなければ、債務は消滅しない【平18-17-オ:○】

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