第398条の2【根抵当権】
① 抵当権は、設定行為で定めるところにより、一定の範囲に属する不特定の債権を極度額の限度において担保するためにも設定することができる。
② 前項の規定による抵当権(以下「根抵当権」という。)の担保すべき不特定の債権の範囲は、債務者との特定の継続的取引契約によって生ずるものその他債務者との一定の種類の取引によって生ずるものに限定して、定めなければならない。
③ 特定の原因に基づいて債務者との間に継続して生ずる債権、手形上若しくは小切手上の請求権又は電子記録債権(電子記録債権法第2条第1項に規定する電子記録債権をいう。次条第2項において同じ。)は、前項の規定にかかわらず、根抵当権の担保すべき債権とすることができる。
目次
【超訳】
① 根抵当権は、設定行為で定めるところにより一定の範囲に属する不特定の債権を極度額の限度において担保するために設定することができる。 ② 根抵当権の担保する不特定の債権の範囲を決定する基準は、債務者との特定の継続的取引契約によって生ずるものと、債務者との一定の種類の取引によって生ずるものを原則とする。 ③ 取引によらない債権であっても、特定の原因に基づいて債務者との間に継続して生ずる債権、手形上・小切手上の債権(回り手形・回り小切手)、電子記録債権も根抵当権の担保する債権とすることができる。【解釈・判例】
1.根抵当権とは、一定の範囲に属する不特定の債権を極度額の限度において担保する抵当権をいう。不特定とは、元本が確定するまではどの債権が担保されるかが特定されない、という意味である。 2.基本契約は必要ないが(附従性の否定)、被担保債権の範囲は限定することを要し、債権者・債務者間の一切の債権を担保する包括根抵当権は認められない。 3.特定の債権のみを被担保債権とすることはできないが、不特定の債権と併せて担保するのであれば、根抵当権の被担保債権とすることができる。全体としては不特定になるからである(昭46.10.4-3230号)。 4.根抵当権設定契約を締結した際に、債権者の債務者に対する一定の不特定債権が現に存在することを要しない。その時点では当該根抵当権は現実に何らの債権も担保していないことになる。 5.一度発生し、根抵当権によって担保された債権の全部が弁済されても根抵当権は消滅しない。【比較】
担保する債権 | 附従性 | 随伴性 | |
確定前の根抵当権 | 不特定の債権 | 無 | 無 |
普通抵当権 | 特定の債権 | 有 | 有 |
確定後の根抵当権 |
【問題】
根抵当権は、一定の範囲に属する不特定の債権を担保する抵当権であり、根抵当権設定契約の当時既に発生している債権を被担保債権とすることはできない