民法 第281条【地役権の付従性】

第281条【地役権の付従性】

① 地役権は、要役地(地役権者の土地であって、他人の土地から便益を受けるものをいう。以下同じ。)の所有権に従たるものとして、その所有権とともに移転し、又は要役地について存する他の権利の目的となるものとする。ただし、設定行為に別段の定めがあるときは、この限りでない。

② 地役権は、要役地から分離して譲り渡し、又は他の権利の目的とすることができない。

目次

【超訳】

 地役権は、要役地のために存在する権利である。そこで、①特約がない限り要役地の移転に従い、また、②要役地を離れて地役権のみを譲渡することはできない。

【解釈・判例】

1.要役地が売買されれば買主は当然に地役権を取得し、要役地について所有権移転登記をすれば、地役権の取得も第三者に対抗することができる(大判大13.3.17)。

2.設定行為をもって、地役権は要役地と共に移転せず、他の権利の目的とはならないとすることもでき(281条1項ただし書)、その旨の登記(不登80条1項3号)をすることによって第三者に対抗することができる。この場合、要役地の所有権が移転したときは、地役権は消滅する

3.通行地役権は、その登記(承役地への地役権設定登記)がないと、地役権設定後に承役地を譲り受けた第三者に対抗することができない。しかし、通行地役権について設定登記がなされていない場合でも、承役地の譲渡の時に承役地が地役権者によって使用されていることが客観的に明らかであり、かつ、譲受人がそのことを認識していたか又は認識することが可能であったときは、譲受人は、特段の事情がない限り、地役権設定登記の欠缺を主張するについて正当な利益を有する第三者にあたらない(最判平10.2.13)。

4.通行地役権の承役地の譲受人が、地役権につき民法177条の第三者に該当せず、地役権者が譲受人に対し、登記なくして当該通行地役権を対抗することができるときは、当該地役権者は譲受人に対して地役権設定登記手続を請求することができる(最判平10.12.18)。

5.通行地役権の承役地が担保不動産競売により売却された場合において、最先順位の抵当権の設定時に、既に設定されている通行地役権に係る承役地が要役地の所有者によって継続的に通路として使用されていることがその位置、形状、構造等の物理的状況から客観的に明らかであり、かつ、上記抵当権の抵当権者がそのことを認識していたか又は認識することが可能であったときは、特段の事情がない限り、地役権の設定の登記がなくとも、通行地役権は上記の売却によっては消滅せず、通行地役権者は、買受人に対し、当該通行地役権を主張することができる(最判平25.2.26)。

【問題】

Aの所有する甲土地を承役地とし、Bの所有する乙土地を要役地とする通行地役権が設定されたが、その旨の登記がされない間に甲土地がCに譲渡された。この場合において、譲渡の時に、甲土地がBによって継続的に通路として使用されていることがその位置、形状、構造等の物理的状況から客観的に明らかであり、かつ、Cがそのことを認識していたときであっても、Cが通行地役権が設定されていることを知らなかったときは、Bは、Cに対し、通行地役権を主張することができない

【平28-7-ウ:×】

【問題】

要役地の所有権とともに地役権が移転した場合、要役地の所有権の移転の登記がされていても、地役権の移転の登記をしていなければ、地役権の移転を受けた者は、これを第三者に対抗することができない

【平30-11-エ:×】。

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