民法 第266条【地代】

第266条【地代】

① 第274条から第276条までの規定は、地上権者が土地の所有者に定期の地代を支払わなければならない場合について準用する。

② 地代については、前項に規定するもののほか、その性質に反しない限り、賃貸借に関する規定を準用する。

目次

【解釈・判例】

1.地上権は地代の支払いを要素としない点で永小作権(270条)、賃借権(601条)と異なる。しかし、多くの場合、地上権者は定期的に土地所有者に対して地代を支払うことから、定期地代について、永小作権における小作料と賃借権における賃料についての規定を準用するものとした。

2.地代の内容は約定によって定まるが、これを第三者に対抗するためには登記が必要である(177条、不登78条2号)。

【問題】

地上権者が土地の所有者に定期の地代を支払わなければならない場合において、地上権者が引き続き2年以上地代の支払を怠ったときは、その土地の所有者は、地上権の消滅を請求することができる

【平28-10-5:○】

【比較】

地上権 賃借権
法的性質 物権 債権
目的 工作物・竹木の所有(265条) 限定なし
対抗要件 登記(177条)所有者に登記義務あり

建物登記でも可(借地借家10条)

登記(605条)賃貸人に登記義務なし

建物登記でも可(借地借家10条)

建物引渡しでも可(同31条)

存続期間 約定によるときは、長期・短期ともに制限なし(268条) 約定によるときは、50年以下(604条)
譲渡性 あり(所有者の承諾不要) 賃貸人の承諾を要する(612条)
地代 要素ではない(266条) 要素である(601条)
設定者の土地修補義務 なし(必要費は地上権者の負担) あり(606条)
妨害排除請求権 あり 対抗力が必要(605条の4)

【問題】

Bが、木を植えるために、利用料を支払ってAの所有する甲土地を利用する契約を締結したところ、大雨によって甲土地の一部が陥没して木を植えられなくなった。この場合、当該利用権が賃借権であるときは、貸主に修繕義務があるが、当該利用権が地上権であるときは、土地所有者は、修繕義務を負わない

【平22-10-オ改:○】

【問題】

AがB所有の甲土地の利用権として地上権を有する場合、当該利用権の設定行為において存続期間を定めなかったときは、Bは、裁判所に対し、その存続期間を定めるよう請求することができる。一方、AがB所有の甲土地の利用権として賃借権を有する場合、当該利用権の設定行為において存続期間を定めなかったときは、Bは、裁判所に対し、その存続期間を定めるよう請求することはできない

【平25-10-エ改:○】

講座パンフレットや特別セミナーDVDなどを無料でお届けします。
講座についてのご相談を受け付けております。お気軽にお問合せください。
講座のお申し込み案内ページです。講座をお申し込みの方もこちらからどうぞ。
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次