第189条【善意の占有者による果実の取得等】
① 善意の占有者は、占有物から生ずる果実を取得する。
② 善意の占有者が本権の訴えにおいて敗訴したときは、その訴えの提起の時から悪意の占有者とみなす。
目次
【超訳】
① 占有権原について善意の占有者は果実を収取して消費してしまうのが通常であり、後に本権者からその返還・償還を請求されるのは酷なので、善意占有者には果実の取得権が認められる。
② 善意占有者でも、敗訴し得るような本権の訴えがなされた後は、自己の物と思って果実を収取・消費しないはずだから、それ以後は悪意占有者とみなされ返還義務を負う。
【解釈・判例】
本条の「善意の占有者」とは、果実収取権のある本権を有すると誤信する者をいう。果実収取権のない動産質権や留置権を有すると誤信して占有する者は含まれない。また、過失の有無は問わない。