第87条【主物及び従物】
① 物の所有者が、その物の常用に供するため、自己の所有に属する他の物をこれに附属させたときは、その附属させた物を従物とする。
② 従物は、主物の処分に従う。
目次
【解釈・判例】
1.従物は主物の常用に供されていることを要する。「常用」とは、一般の取引観念上、継続して主物の効用を全うさせる働きをすることを意味する。例えば、建物に付属する納屋や工場に備え付けられた機械などである。
2.従物は主物から独立した物であることを要する。建物の障子・襖・畳・建具などは独立性を有し、従物になる。
→ これに対して、一方が他方の構成部分となり、または両者が結合して単一の物と認められる場合には、独立性の要件を欠き、主物・従物の観念は生じない。例えば、土地上の石や砂利は土地の構成部分であり、土地の従物にならない。
3.従物は主物の処分に従う(2項)。主物である不動産について対抗要件を具備すれば、従物についても対抗要件を具備したことになる(最判昭44.3.28)。
→ 主物と従物の理論は、権利と権利又は物と権利の間にも類推適用される。建物に対する抵当権の効力は敷地賃借権にも及ぶ(最判昭40.5.4)