第779条【債権者の異議】
① 組織変更をする株式会社の債権者は、当該株式会社に対し、組織変更について異議を述べることができる。
② 組織変更をする株式会社は、次に掲げる事項を官報に公告し、かつ、知れている債権者には、各別にこれを催告しなければならない。ただし、第3号の期間は、一箇月を下ることができない。
一 組織変更をする旨
二 組織変更をする株式会社の計算書類(第435条第2項に規定する計算書類をいう。以下この章において同じ。)に関する事項として法務省令で定めるもの
三 債権者が一定の期間内に異議を述べることができる旨
③ 前項の規定にかかわらず、組織変更をする株式会社が同項の規定による公告を、官報のほか、第939条第1項の規定による定款の定めに従い、同項第2号又は第3号に掲げる公告方法によりするときは、前項の規定による各別の催告は、することを要しない。
④ 債権者が第2項第3号の期間内に異議を述べなかったときは、当該債権者は、当該組織変更について承認をしたものとみなす。
⑤ 債権者が第2項第3号の期間内に異議を述べたときは、組織変更をする株式会社は、当該債権者に対し、弁済し、若しくは相当の担保を提供し、又は当該債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社等に相当の財産を信託しなければならない。ただし、当該組織変更をしても当該債権者を害するおそれがないときは、この限りでない。
超訳
①②③ 組織変更をする株式会社の債権者は、当該株式会社に対し、組織変更について異議を述べることができる。組織変更をする株式会社は、次に掲げる事項を官報に公告し、かつ、知れている債権者には、各別にこれを催告しなければならない。ただし、三の期間は、1か月を下ることができず、官報による公告のほか、時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙による公告又は電子公告によりするときは、各別の催告はすることを要しない。
一 組織変更をする旨
二 組織変更をする株式会社の計算書類(貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、個別注記表)に関する事項
三 債権者が一定の期間内に異議を述べることができる旨
解釈
組織再編行為を承認する株主総会よりも前に、債権者保護手続を開始することも可。また、消滅会社等と存続会社等が同時に債権者保護手続を行う場合、双方の公告を1つの公告で兼ねることは差し支えないとされている。