第106条【共有者による権利の行使】
株式が二以上の者の共有に属するときは、共有者は、当該株式についての権利を行使する者1人を定め、株式会社に対し、その者の氏名又は名称を通知しなければ、当該株式についての権利を行使することができない。ただし、株式会社が当該権利を行使することに同意した場合は、この限りでない。
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解釈&判例
1.権利行使者は、ある事項につき共有者間に意見の相違があっても、自己の判断に基づき株式に係る権利を行使できる(最判昭53.4.14)。
2.共同相続人間で権利行使者を定めるに当たっては、持分価格の過半数をもって決することができる(最判平9.1.28)。
3.権利行使者の指定及び会社に対する通知を欠くときには、共有者全員が議決権を共同して行使する場合を除き、会社の側から議決権の行使を認めることは許されない(最判平11.12.14)
4.共有に属する株式について会社法106条本文の規定に基づく指定及び通知を欠いたまま当該株式に係る権利が行使された場合、当該権利の行使が民法の共有に関する規定に従ったものでないときは、株式会社が同条ただし書の同意をしても、当該権利の行使は適法となるものではない(最判平27.2.19)。
問題
共同相続人が株式を相続により共有するに至った場合、共同相続人は、その全員の同意がなければ、当該株式についての権利を行使する者を定めることができない