司法書士試験<過去問題肢別チェック ■商法・会社法「組織再編行為」>
問題1 解散による清算手続中の会社であっても、存立中の会社を存続会社とする場合には、合併の当事者となることができる。○か×か?
正しい。解散による清算手続中の会社であっても、存立中の会社を存続会社とする場合には、合併の当事者となることができる(会474条1号、643条1号)。企業維持の理念からもそれが望ましいからである。【平2-31-4】
問題2 株式会社と株式会社とが新設合併をして、合名会社を設立することができる。○か×か?
正しい。会社法では、合併の当事会社について制限は定められていない(会2条27号、28号参照)ので、すべての種類の会社間における吸収合併、新設合併が認められる(会748条)。【平18-29-ウ】
問題3 吸収合併をする場合において、吸収合併消滅会社の株主に対して交付される財産が金銭のみであるときであっても、当該吸収合併の効力が生じた日において当該吸収合併消滅会社の株主であった者は、当該吸収合併につきその無効の訴えを提起することができる。○か×か?
正しい。吸収合併消滅会社の株主に対して交付される財産が金銭のみであるときであっても、当該吸収合併の効力が生じた日において当該吸収合併消滅会社の株主であった者は、当該吸収合併につきその無効の訴えを提起することができる(会828条2項7号)。【平19-35-イ】
問題4 吸収分割をする場合、吸収分割承継会社においては常に債権者保護手続をとる必要があるが、吸収分割会社においては債権者保護手続をとる必要がない場合がある。○か×か?
正しい。吸収分割をする場合、吸収分割承継会社においては、常に債権者保護手続をとる必要がある(会799条1項2号等)。しかし、吸収分割会社においては、吸収分割承継会社から取得した吸収分割の対価を、吸収分割会社の株主に交付する場合を除き、分割後、吸収分割会社に対して債務の履行を請求できる債権者に対しては、債権者保護手続をとることを要しない(会789条1項2号反対解釈)。【平18-29-オ】
問題5 吸収分割株式会社は、吸収分割契約の相手方が吸収分割株式会社の特別支配会社である場合には、株主総会の決議によって当該吸収分割契約の承認を受ける必要はない。○か×か?
正しい。吸収分割会社は、吸収分割契約の相手方が吸収分割会社の特別支配会社である場合には、株主総会の決議によって当該吸収分割契約の承認を受ける必要はない(会784条1項)。【平26-34-ウ】
問題6 会社が吸収分割をしたときは、吸収分割株式会社は、その本店の所在地において吸収分割による変更の登記をしなければならない。○か×か?
正しい。吸収分割は会社法上の組織再編行為であるため、吸収分割会社は、その本店の所在地において吸収分割による変更の登記をすることが要求されている(会923条)。【平26-34-オ】
問題7 株式交換とは、既存の株式会社Aに対し、別の既存の株式会社Bの株主が有するすべてのB社の株式が移転して、A社がB社の完全親会社となることをいい、仮にA社が合同会社であった場合は株式交換をすることができない。○か×か?
誤り。株式交換とは、株式会社がその発行済株式の全部を他の株式会社又は合同会社に取得させることと定義されている(会2条31号)。そのため、株式交換完全親会社となるA社が合同会社でも株式交換をすることができる。【平15-35-ア】
問題8 株式交換においても、株式移転においても、債権者保護手続は必要とされていない。○か×か?
誤り。株式交換完全子会社は、その新株予約権付社債を株式交換契約に基づいて株式交換完全親会社に承継させる場合には、当該新株予約権付社債の社債権者について債権者保護手続が要求される(会789条1項3号)。株式交換完全親会社は、①株式交換完全子会社の株主に対して交付する金銭等が株式交換完全親会社の株式その他これに準ずるものとして法務省令で定めるもののみである場合以外の場合、又は②株式交換完全子会社の新株予約権付社債を株式交換完全親会社が承継する場合、株式交換完全親会社の債権者について債権者保護手続が要求される(会799条1項3号、会施規198条)。また、株式移転においては、株式移転完全子会社の新株予約権付社債権者に株式移転完全親会社(設立会社)の新株予約権を交付し、当該社債を株式移転完全親会社が承継する場合には、株式移転完全子会社において債権者保護手続を行わなければならない(会810条1項3号)。【平15-35-イ】
問題9 株式交換における株式交換完全子会社の発行済株式総数は、株式交換によっては変動しない。○か×か?
正しい。株式交換は、株式交換完全子会社の発行済株式の全部と、株式交換完全親株式会社又は株式交換完全親合同会社がその株式や株式に代わる金銭等を交換するもの(会768条、770条)であり、株式交換完全子会社の発行済株式総数は変動しない。【平19-29-オ】
問題10 株式移転は、会社の設立の一態様であるが、株式移転設立完全親会社の定款については、公証人の認証を得る必要はない。○か×か?
正しい。株式移転によって設立される完全親会社の定款については、公証人の認証を得る必要はない(平12.1.5-9号)。【平19-35-オ】
問題11 新設合併により、当該新設合併をする株式会社は消滅することになるが、新設分割と株式移転は、いずれも、当該新設分割又は株式移転をする株式会社が消滅することはない。○か×か?
正しい。新設合併においては、当該新設合併をする株式会社は全部消滅することになる(会2条28号)が、新設分割及び株式移転においては、いずれも、当該新設分割又は株式移転をする株式会社は存続し、消滅することはない(会2条30号、32号)。【平21-34-ア】
問題12 新設合併消滅株式会社は、債権者の異議手続を行わなければならないが、株式移転完全子会社は、株式移転計画新株予約権が新株予約権付社債に付された新株予約権である場合における当該新株予約権付社債についての社債権者が異議を述べることができるときを除き、債権者の異議手続を行う必要はない。○か×か?
正しい。合併では、消滅会社の事業に関する権利義務が包括的に承継されるため、新設合併消滅株式会社は、債権者の異議手続を行わなければならない(会810条1項1号)。しかし、株式移転完全子会社は、株式移転計画新株予約権が新株予約権付社債に付された新株予約権である場合における当該新株予約権付社債についての社債権者が異議を述べることができるとき(会810条1項3号)を除き、債権者の異議手続を行う必要はない。株式移転では、株式移転完全子会社の新株予約権付社債に代えて株式移転設立完全親会社の新株予約権付社債を交付することで社債の債務を承継する場合(会773条1項9号ハ)を除き、事業財産の承継はないので、株式移転完全子会社の債権者に不利益はないからである。【平21-34-エ】
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