司法書士試験<過去問題肢別チェック ■商法・会社法「解散及び清算」>
問題1 株式会社は、その目的とする事業の成功が不能となったときは、解散する。○か×か?
誤り。株式会社の解散事由は法定されている(会471条)。目的とする事業の成功が不能となったとしても、解散しない。これは、このような事由が発生しても、株式会社は目的を変更することで事業の続行が可能だからである。なお、目的たる事業の成功又はその成功の不能は、民法上の組合では解散事由となっている(民682条)。【平4-38-1】
問題2 解散判決によって解散した株式会社は、株主総会の特別決議により、株式会社を継続することができる。○か×か?
誤り。株式会社は、存続期間の満了その他定款に定めた解散事由の発生又は株主総会の決議によって解散した場合においては、株主総会の特別決議によって、会社を継続することができる。さらに、休眠会社のみなし解散によって解散したものとみなされた株式会社も、みなし解散がされたときから3年以内であれば、特別決議によって、会社を継続することができる(473条、309条2項11号)。しかし、解散判決によって会社が解散したときには、会社の継続は認められていない。【平4-38-2】
問題3 株式会社に対する裁判所の解散命令が確定したときは、その株式会社は法人格を失う。○か×か?
誤り。解散命令(会824条1項)によって会社は解散する。しかし、会社は解散の後といえども清算の目的の範囲内においては、なお存続するものとみなされる(会476条)。そして、清算結了によってはじめて会社は消滅し、法人格を失うことになる。【平4-38-4】
問題4 取締役は株式会社が解散したときは、裁判所に清算人の選任を請求しなければならない。○か×か?
誤り。株式会社が解散したときは、合併及び破産手続開始の決定の場合を除き、清算をしなければならない(会475条1号)。その場合、定款で定める者、株主総会の決議によって選任された者、それらの者がない場合には取締役が清算人になる(会478条1項1号)。そして、清算人となる者がいないとき又は解散を命じる裁判(会824条1項、833条1項)によって解散した場合には、裁判所が清算人を選任する(会478条2項、3項)。必ずしも裁判所に請求するわけではない。【平4-38-5】
問題5 株式会社は、解散をした後は、清算が結了するまでは、定時株主総会を開かなければならない。○か×か?
正しい。清算株式会社においては、清算人は貸借対照表及び事務報告を定時株主総会に提出し又は提供しなければならない(会497条1項)。また、その貸借対照表は、定時株主総会の承認を受けなければならない(会497条2項)。したがって、清算株式会社も定時株主総会を開かなければならない。なお、この場合の定時株主総会とは、通常の事業年度に係るものではなく、清算会社の清算事務年度に応じたものである(会494条1項、会計規118条、119条)。【平3-31-4】
問題6 株主は、株式会社が解散した後は、株式を譲渡することができない。○か×か?
誤り。株主は、自由に株式を譲渡することができる(会127条)。また、会社が解散した場合であっても、その譲渡性は継続される。株式の譲渡は株主にとって資本回収の手段であり、その必要性は、解散の前後を通じて変わらないからである。【平3-31-5】
問題7 解散決議をした株式会社は、清算事務が終了した後であっても、株主総会において決算報告の承認を得ていないときは、他の株式会社と合併することができる。○か×か?
正しい。解散した株式会社は、存立中の会社を存続会社として合併をすることができる(会474条1号)。解散決議をした株式会社は、清算事務が終了した後であっても、株主総会において決算報告の承認を得ていないときは、まだ清算は結了していないので、法人格は存在する。そのため、解散会社として他の株式会社を存続会社とする合併をすることができる。【平16-35-オ】
問題8 指名委員会等設置会社が解散したときは、執行役は、その地位を失う。○か×か?
正しい。清算株式会社に置くことができる機関は、清算人、清算人会、監査役、監査役会に限られる(会477条1項、2項)。清算株式会社には、会社法第4章第2節「株主総会以外の機関の設置」の規定は、適用されない(会477条7項)から、執行役は置くことができず、当然にその地位を失うこととなる。【平17-33-イ】
問題9 清算人は、清算結了の登記後10年間、清算株式会社の帳簿並びにその事業及び清算に関する重要書類を保管しなければならない。○か×か?
正しい。清算人は、清算結了の登記後10年間、清算株式会社の帳簿並びにその事業及び清算に関する重要書類を保存しなければならない(会508条1項)。【平17-33-オ】
問題10 清算中の株式会社は、各清算事務年度に係る貸借対照表及び事務報告並びにこれらの附属明細書を作成しなければならない。○か×か?
正しい。清算株式会社は、各清算事務年度に係る貸借対照表及び事務報告並びにこれら附属明細書を作成しなければならない(会494条1項)。【平19-33-ウ】
問題11 清算中の株式会社は、債権者に対し2か月以上の一定の期間内にその債権を申し出るべき旨を官報に公告し、かつ、知れている債権者には各別にこれを催告しなければならず、この公告を官報のほか定款の定めに従って時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載する方法により二重に行っても、知れている債権者に対する催告を省略することはできない。○か×か?
正しい。清算株式会社は、債権者に対し2か月以上の一定の期間内にその債権を申し出るべき旨を官報に公告し、かつ、知れている債権者には各別にこれを催告しなければならない(会499条1項)。この公告を官報のほか定款の定めに従って時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載する方法により二重に行っても、知れている債権者に対する催告の省略を認める特則は定められていないため、当該催告を省略することはできない。【平19-33-オ】
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