司法書士試験<過去問題肢別チェック ■民事訴訟法等「総論」>
問題1 特定の動産の引渡しを目的とする請求について公証人が作成した公正証書で、債務者が直ちに強制執行に服する旨の陳述が記載されているものは、債務名義とならない。○か×か?
正しい。「金銭の一定の額の支払又はその他の代替物若しくは有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求」について公証人が作成した公正証書で、債務者が直ちに強制執行に服する旨の陳述が記載されているもの(執行証書)は、債務名義となる(民執22条5号)。したがって、本肢のように、特定の動産の引渡しを目的とする請求について公証人が作成した公正証書で、債務者が直ちに強制執行に服する旨の陳述が記載されているものは、債務名義とならない。【平27-7-4】
問題2 債務者の給付が反対給付と引換えにすべきものである場合には、金銭の支払いを命ずる債務名義についての執行文は、債権者が反対給付のあったことを証明したときに限り、付与することができる。○か×か?
誤り。債務者の給付が反対給付と引換えにすべきものである場合においては、強制執行は、債権者が反対給付又はその提供のあったことを証明したときに限り、開始することができる(民執31条1項)。反対給付の履行は、執行文付与の要件ではなく、執行開始の要件である。【平元-8-1】
問題3 少額訴訟における確定判決に表示された当事者に対し、その正本に基づいて強制執行の申立てをする場合には、執行文の付与を受ける必要がない。○か×か?
正しい。少額訴訟における確定判決に表示された当事者に対し、又はその者のためにする強制執行は、債権者に迅速な執行を容易にするために認められた制度であり、その正本に基づいて実施するので、執行文の付与を受ける必要はない(民執25条ただし書)。【平16-7-イ】
問題4 執行文は、債権の完全な弁済を得るため執行文の付された債務名義の正本が数通必要であるとき又はこれが滅失したときに限り、更に付与することができる。○か×か?
正しい。執行文は、債権の完全な弁済を得るため執行文の付された債務名義の正本が数通必要であるとき、又はこれが滅失したときに限り、更に付与することができる(民執28条1項)。【平16-7-ウ】
問題5 執行抗告と即時抗告は、いずれも法令に特別の定めがある場合に限りすることができる。○か×か?
正しい。執行抗告は、特別の定めがある場合に限り、することができる(民執10条1項)。また、決定・命令のうち、どのようなものが即時抗告の対象となるのかは、特に明文で定められている(民訴21条、223条7項等)。【平2-8-ア】
問題6 執行抗告と即時抗告の提訴期間は、いずれも原裁判の告知を受けた日から1週間以内である。○か×か?
正しい。執行抗告は、裁判の告知を受けた日から1週間の不変期間内にしなければならない(民執10条2項)。また、即時抗告は、裁判の告知を受けた日から1週間の不変期間内にしなければならない(民訴332条)。【平2-8-イ】
問題7 執行抗告と即時抗告のいずれも、原裁判所は、抗告に理由があると認められるときは、原裁判を更正しなければならない。○か×か?
正しい。原裁判所は、即時抗告に理由があると認めるときは、その裁判を更正しなければならない(民訴333条)。これを再度の考案という。そして、執行抗告においても、抗告状及び抗告理由書が原裁判所に提出されることになっていることから、民事訴訟法の準用によって、原裁判所による再度の考案による更正が認められる(民執20条、民訴333条)。【平2-8-オ】
問題8 執行抗告又は執行異議の申立てにおいては、原裁判又は執行処分の手続的な瑕疵のみを理由とすることができ、実体的な権利の不存在又は消滅を理由とすることはできない。○か×か?
誤り。債務名義を要件としない担保権の実行手続においては、執行抗告及び執行異議の理由として、担保権の不存在又は消滅という実体的な権利の不存在又は消滅を主張することができる(民執182条、189条、191条、193条2項)。【平22-7-ア】
問題9 執行抗告及び執行異議は、執行処分を受けた日から1週間の不変期間内にしなければならない。○か×か?
誤り。執行抗告は、裁判の告知を受けた日から1週間の不変期間内に、抗告状を原裁判所に提出してしなければならない(民執10条2項)。これに対し、執行異議は、執行手続が終了するまでは、是正を求める利益がある限り、いつでも申し立てることができる。【平22-7-イ】
問題10 債権者が債務者の占有する動産を差し押さえた際に、Aの所有する動産も一緒に差し押さえられてしまったため、Aが自己の所有する動産に対する強制執行は許されないと主張する場合、Aは第三者異議の訴えを提起することができる。○か×か?
正しい。Aは強制執行の目的物につき、所有権を有する第三者なので、債権者に対し、その強制執行の不許を求めるために第三者異議の訴えを提起することができる(民執38条)。【平10-6-ア】
問題11 債権者が停止条件付の権利を表示した債務名義に基づいて強制執行をしたところ、債務者Aが、停止条件はいまだ成就していないとして、強制執行は許されないと主張する場合、Aは執行文付与に対する異議の訴えを提起することができる。○か×か?
正しい。条件の成就又は当事者の承継を理由に執行文が付与された場合に、これらの事実を争う債務者は、その執行文の付された債務名義の正本に基づく強制執行の不許を求めるために執行文付与に対する異議の訴えを提起することができる(民執34条1項)。【平10-6-イ】
問題12 債権者が公正証書を債務名義として強制執行をしたところ、債務者Aが、その公正証書を作成した際の委任状が偽造であったとして、強制執行は許されないと主張する場合、Aは請求異議の訴えを提起することができる。○か×か?
正しい。裁判以外の債務名義については、その成立について異議のある債務者も、その債務名義による強制執行の不許を求めるために、請求異議の訴えを提起することができる(民執35条1項後段)。公正証書は、口頭弁論を経て成立した判決ではないので、既判力の遮断効に由来するところの異議事由の時的制限(民執35条2項)にはかからない。よって、公正証書作成の際の委任状が偽造であったことも、請求異議の訴えの異議事由となる。【平10-6-ウ】
問題13 仮執行の宣言を付した判決に基づく強制執行については、当該判決が確定する前であっても請求異議の訴えを提起することができる。○か×か?
誤り。仮執行宣言は、不当な上訴により勝訴者の権利実現が遅れることを避けるために、未確定判決に執行力を認めたものにすぎず、判決確定前においては請求異議の訴えを提起することができない(民執35条1項前段括弧書)。【平17-6-イ】
問題14 第三者異議の訴えは、強制執行が終了した後であっても提起することができる。○か×か?
誤り。第三者異議の訴えは、強制執行が終了した後においては、提起することができない。強制執行が終了し、債権者が満足を得た後には、第三者異議の訴えを提起する利益はないからである。【平17-6-オ】
問題15執行裁判所の執行処分で執行抗告をすることができないものに対しては、執行裁判所に執行異議を申し立てることができる。○か×か?
正しい。執行裁判所の執行処分で執行抗告をすることができないものに対しては、執行裁判所に執行異議を申し立てることができる(民執11条1項)。【平4-7-4】
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