司法書士試験<過去問題肢別チェック ■不動産登記法「登記申請手続」>
問題1 土地の共有者の一人がその所有権を放棄した場合における持分の移転の登記の申請は、登記権利者及び登記義務者が共同して申請する。○か×か?
正しい。土地の共有者の1人がその所有権を放棄した場合における持分の移転の登記の申請は、放棄により持分が増加した者を登記権利者、放棄をした者を登記義務者とする共同申請により行われる(不登60条)。【平22-22-キ】
問題2 債務が完済された後に抵当権者が死亡した場合において相続人が存在しないときの抵当権の登記の抹消は、登記権利者及び登記義務者が共同して申請する。○か×か?
正しい。債務が完済された後に抵当権者が死亡した場合において相続人が存在しないときの抵当権の登記の抹消の申請は、所有権の登記名義人を登記権利者、抵当権者の相続財産管理人を登記義務者とする共同申請により行われる(不登60条)。【平22-22-ク】
問題3 遺贈を登記原因とする所有権の移転の登記の申請は、その遺贈が包括の名義でされた場合でも、受遺者が単独で申請することはできない。○か×か?
正しい。遺贈による権利の移転登記は、包括遺贈、特定遺贈を問わず、権利者と義務者との共同申請による(昭33.4.28-779号)。なお、遺言執行者がいる場合には、その者と受遺者との共同で、また、遺言執行者がいない場合には、相続人全員と受遺者との共同で申請することになる。【平7-26-4】
問題4 敷地権の表示が登記された区分建物につきなされた転得者名義とする所有権保存登記の抹消登記は、所有権保存登記の名義人が単独で申請することができる。○か×か?
正しい。所有権保存登記の抹消登記は、申請情報に所有権保存登記の際の登記識別情報を提供して、所有権登記名義人が単独で申請することができる(不登77条)。このことは、敷地権の表示が登記された区分建物につき、転得者名義で所有権保存登記がなされた場合(不登74条2項)であっても同様である。【平8-19-ウ】
問題5 財産の全部を包括して遺贈する旨の遺言書を作成した遺言者が死亡した場合には、包括受遺者は、当該遺言書を提供して、単独で、当該遺言者名義の不動産について所有権の移転の登記を申請することができる。○か×か?
誤り。民法990条は、包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有するものと規定しているが、包括遺贈による権利移転の登記の原因は、「遺贈」であり、相続を原因とする権利移転の登記(不登63条2項参照)ではない。したがって、遺贈による所有権移転登記は、たとえそれが包括遺贈であっても、原則どおり、共同申請によってしなければならない(不登60条、昭33.4.28-779号)。【平18-20-ア】
問題6 破産管財人が裁判所の許可を得て破産財団に属する不動産を任意に売却した場合には、破産管財人は、単独で、その不動産についてされている破産手続開始の登記の抹消を申請することができる。○か×か?
誤り。破産管財人が裁判所の許可を得て破産財団に属する不動産を任意売却した場合には、破産手続開始決定の登記の効力が失われるので、当該登記の抹消をすることができるが、当該登記は、破産管財人の申立てにより、裁判所書記官の嘱託によってされる(昭32.3.20-542号、平16.12.16-3554号)。【平18-20-ウ】
問題7 信託の受託者が2人以上ある場合において、そのうちの1人の任務がその後見の開始により終了したときにおける信託財産に属する不動産についての権利の変更の登記の申請は、後見開始決定があったことを証する情報を提供して、他の受託者が単独ですることができる。○か×か?
正しい。受託者が2人以上ある場合において、そのうちの1人の受託者の任務が終了したときは、信託財産は、原則として、他の受託者に帰属し(信託86条4項)、信託財産に属する不動産について受託者の任務の終了による「権利の変更の登記」を申請することになる。この場合、旧受託者を申請人とすることが不可能ないし困難な本肢のような一定の場合には、共同受託者の1人について任務が終了したことを証する市区町村長、登記官その他の公務員が職務上作成した情報を提供して、他の受託者が単独で申請することができる(不登100条2項、不登令別表67添)。【平20-12-ウ】
問題8 地上権者の死亡により地上権が消滅する旨の登記がされている地上権について、地上権者が死亡した場合は、その地上権の登記の抹消の申請は、その死亡を証する情報を提供して、所有権の登記名義人が単独ですることができる。○か×か?
正しい。権利が人の死亡又は法人の解散によって消滅する旨が登記されている場合において、当該権利がその死亡又は解散によって消滅したときは、登記権利者は、これを証する市町村長、登記官その他の公務員が職務上作成した情報を提供して、単独で当該権利の登記の抹消を申請することができる(不登69条、不登令別表26添イ)。【平20-12-エ】
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