受験回数:2回(内、お試し受験:1回)
受講コース:2020.21年度目標コンプリート2年セーフティコース
はじめに
学習の開始は2020年の5月で、お試し受験はその年の11月(不合格)、2021年11月試験で合格しました。
以下の学習法では大風呂敷を広げていますが、実はギリギリ合格でした。
今年の記述がなかなかの辛口採点ではないのか。という根拠のない話の信憑性はさておき、そもそも択一のみで170点を目指していましたが、一般知識の瀕死具合により達せず、記述の「あわよくば」を願い、発表まで合否が分からない状態でした。
私が行政書士を志したきっかけ
お恥ずかしい話ですが、最初から書士業に興味があったわけではなく、「カバチタレ」という漫画で初めて行政書士を知りました。行政書士事務所を舞台とした内容で、運転手をしながら行政書士に合格したという事務所所長の境遇が現在の自身と近似しており、「私にもできるかな」が始まりでした。それから学習していく中で、行政の処分や決定に審査請求や行政訴訟という制度があることや、行政への許可や申請等が国民の生活に大変重要であるにもかかわらず全く無知であるという自身を顧みたとき、「そんな人がこの街の中にはたくさんいるのだろうな」と思料し、「街の法律家として、そんな人たちにとって、縁の下の力持ち的な存在になれたらいいな。」これがきっかけでした。
私がクレアールを選択した理由
クレアールと某予備校と2択で思案しましたが、YouTubeでの杉田講師の無料講義が完全に初学者の私にもすんなりと溜飲できるような講義だったところと、質問回数が無制限というところで決めました。初学者の私は、初歩の初歩ですらわからなくなることが容易に予想できましたので、質問回数無制限は決定への大きな理由の一つといえるでしょう。
通信講座のメリット
受けたい時間に講義を受講できる。そして、倍速が使用できる。
私は先述のとおり勤務形態が不規則なため、勉強時間は「必ず1時間確保する!」といったことが不可能でしたので、空いた時間にできるだけ受講する(ビュッフェバイキングのような)スタイルでしたので、倍速や、聞き直しができる通信講座はありがたかったです。
具体的な学習法等
全般的な学習方法について
勤務形態が不規則なため毎日勉強できるわけではなかったので、とにかく空き時間という空き時間はすべて講義視聴、私製のまとめノート(A4のノートにして持ち歩く)、過去問等の問題演習に注ぎ込んでいました。休日は講義視聴をメインにして、寝る2時間前からは復習(私製のまとめ作成)に切り替え、寝床に入っても視聴した講義を思い返していました。外出時はその私製まとめノートを持ち歩き、仕事の合間(休憩)にでもパラパラ捲っては脳裏に焼き付ける(?)くらいしていました。
比重としては、「憲法0.5:行政法4:民法3:記述1:商法会社法1:一般知識:0.5」
といった感じでした。ただ、個人差があるので一概にこの比重が参考になるのかどうか甚だ疑問ではあります。ただ、各分野共通して覚えておかなければならないところは付箋をルーズリーフに貼っていき、トイレに貼ってひたすら口ずさんでいました。あまりよくなかった学習法については、講義視聴時はテキストにメモし、問題集の講義時は、問題集にメモというやりかたがよくなかった。各々単体で見ることとなりテキストと問題集相互の関連性(この問題がテキストの何ページに対応しているのかがわからない限り同じテーマでも一貫性を見出しにくくなる)が分かりにくいので、同じテーマなのに別々に勉強している状況となった。
〇以下写真は行政法学習時に自宅トイレに貼っていたもの
憲法
ひたすら判例の要点をピンポイントで暗記(理解)。条文については、杉田講師が「たった100条前後ですので覚えてください」とおっしゃっていましたが、「無理!」と思い、条文暗記はしませんでした。(笑)とはいえ、条文素読はしていました。
中身としては、天皇関係は省き人権分野に重点を置き、多肢選択の虫食いがきたら補充できるようにはしていました。後段の国会や内閣等は、数字や紛らわしい個所を念仏のようにブツブツと言って体に覚えさせました。
どちらかというと、多肢選択対策メインで、条文よりは判例に重きを置いていました。判例の読み解きは、普段聞きなれない文言を強調して読む(覚える)ようにしていました。例えば、「一見極めて明白に違憲無効」や「総合考慮」、「著しく困難であると認められない場合を除き」などの文言の前後は特に記憶に定着させました。
択一対策は過去問で十分。それ以外の出題があったとしても範囲が広すぎて手に負えないが、多肢選択はおおよそ判例の文言そのままなので、見慣れない判例が出たとしても言い回しが似ているところから類推できるかな…。なんて思っていました。
行政法
国賠(国家賠償法)は、判例を繰り返し音読し、理由と結論を事例別に暗記のみ。例えば、河川の決壊における改良前と改良後については、経緯はサラッとで、ワード暗記「河川、決壊、改良前→〇、改良後→(改良したのに決壊って…ダメでしょ)←自分なりの解釈」の程度で暗記。竹原講師の「司法試験のように理由を述べろ。なんて問題は出ませんから」という言葉をヒントにして、択一は選択肢に書いてくれているので読めばピンとくるようにしていました。行審法(行政不服審査法)・行訴法(行政事件訴訟法)は違いを敢えて横に並べて比較して記憶。
審査請求や提訴の流れは絵で覚える。自分が審査請求や提訴していると仮想して、記憶に定着させた。あとはイメージで覚えた。
例えば、行審法(行政不服審査法)では、「決定する者が行政マン。だけど、横で不服審査会がいちいち小姑みたいにチェックしている」というイメージ。行訴法(行政事件訴訟法)では、「判決出すのは裁判官で、忙しいから不当みたいなわけわからんことは言ってくるな!そして、7つの条件(被告適格や出訴期間、管轄裁判所など)が欠落していたら却下するから!」という勝手なイメージで記憶していました。
処分性の有無や訴えの利益関係については「有」と「無」を表にしておおよそ過去の判例で出題されているものを振り分けして覚えました。
例えば処分性について言えば、「競輪場の病院関係者」→有、「競輪場の付近住民」→無。など。他には「2項道路」→「有」、「通達」→無、「保育所廃止条例の制定」→有、「反則金の通告」→無など。
さらには、添削課題や択一模試などで自分がよく間違える個所が「苦手」な部分だと気づけたので、後半に差し掛かると、しつこいくらいに「苦手」個所を中心に問題演習を回転させました。
地方自治法は、広範すぎるので過去問や講義内で話される出題傾向に重点を置いて限定的に条文と事例を照合し記憶する。私は特に、住民監査(事務監査)と議会(特に長の付再議権あたりは重点的に)に絞っていました。
民法
条文よりもひたすらに問題を解きまくりました。いろんな問題を経験することで解き方のバリエーションを頭の中に醸成し、「こう問われたらこう!」のような方法を体得させました。
ある分野に特化するのではなく、広く浅く網羅的にやりました。強いて言えば債権分野がやや多かったような気がします。
民法はとにかく条文だけでも1000条を超え、とにかく広く完璧にするのは無理なので、広く浅く知識を詰め込み、行政法とは逆に得意な分野を完璧にするという対策をとっていました。
私は根抵当権が覚えきれなかったので、基礎的なところでストップしました。その代わり、代理や民法177条関係、占有権、人的(物的)担保、時効、意思表示など自分が点数を取れるところは、より少し深く掘り下げて勉強していました。仮に、根抵当権が出ても1問程度と妥協し、記述を絡ませやすい分野を補強しておくことで、記述対策も兼ねて一石二鳥のようにしていました。
ただし、家族法はパターン(出題事例?)が少ないので「そこそこ」やっていれば出題されても解答できたのではないかと自負しておりました。
また、総則から物権及び債権にかけては、原則と例外の対比を中心に始めました。
例えば、心裡留保についていえば、原則有効。ただし(例外)、相手方が表意者の内心的効果意思について悪意の場合無効。といった具合。中には、例外の例外があったりして、こんがらがってしまいそうでしたが、そこは理解しないといけない基礎でしたので必死でした。
商法・会社法
商法はたった1問。されど1問として、私は捨て科目にしませんでした。特に学習したテーマは「場屋営業関連」、「支配人(使用人)関連」です。結果的にそこにかけたような状況になってしまいました。しかし、過去問で十分対応可能でした。
会社法について、これも範囲が広範すぎるのですが、「株関連(特に譲渡や総会あたり)」「会社の設立」に絞りました。指名等委員会設置会社や監査等委員会設置会社関連は相互に記憶が入り混じってしまうのでサラッと読み流して、うろ覚え程度でとどめました。民法のように広く浅くやるとしたら、点と点が線になり…という感じで際限がなくなりそうだったので見切りをつけた。といったところでしょうか。
多肢選択・記述式
多肢選択は、特に対策はしていません。それぞれの単元がそのまま対策として重複しているためです。(特には憲法の学習法にて前述)
記述式については、問題集の解答をひたすら読みました。言い回し(?)が苦手だったためです。条文知識については、学習時に六法を引いていたら自然と覚えていました。(笑)
重要な条文は、違う単元(テーマ)でも同じ条文を引くようになっている(不思議、(笑))
一般知識
経済・社会は全く対策なし。政治はネットニュースや新聞(社説も)を読み、時事問題を記憶しておく程度にしていました。
個人情報保護法及び公文書管理法は徹底的にやりました。ひねりがない問題なので、条文を理解する学習をしました。しかし、少し細かい知識まで問われます。深く掘り下げて勉強するべきでした。反省点です。
文章理解は演練あるのみ。数多く問題をこなして、「習うより慣れよ」が一番しっくりくる。
5肢択一式試験対策について
選択肢をすべて読んでいると確実に時間が足りない。(人それぞれ好みによりますが)私は、選択肢(3)から読んで、次に(4)、(5)、(1)の順に決めていました。
それは、特に組み合わせ(例えば、1.ア、エ 2.イ、ウ…のような)問題には効力を発揮します。(3)もしくは(4)の選択肢を見るとおおよそどちらかが〇の肢の可能性が高く、この時点で大概は2択まで絞れましたので、残りの肢について正誤は判断するというスタイルを確立していました。これを活用すると、半分以下の肢だけで正解にたどりつけます。
モチベーションを維持する方法
「休むときは力いっぱい休む」これに尽きると思います。
気分が乗らないときに、無理やり机にかじりついたり、講義動画を見たり、問題集を開いてやってみたところで結局身につかず、徒労と時間だけが無駄に終わり、完全に「作業」になってしまうのがオチです。気分が乗らないときは、「再開したらこれをやる。」と紙(付箋など)に書いて貼っておき、思い切って完全にoffにする(自分のやりたいことをやる)。そして、「さてボチボチやるか!」となったら紙に書いてあることを全力でやる。このアップダウンが私にとっては特効薬でした。
あとは、合格後の自分は何がしたいのかを「ぼーっと」でもいいので想像してみる。
「行政書士として開業している」のか「Wライセンスを目指し、社労士や司法書士などに挑戦している」など、頑張るための起爆剤を自身で作り出していました。
勉強する上で大切だと思ったこと
講義やチェックテストなどをすると思い出せたり、正解率が高かったりするのに添削課題やweb過去問テストなどをすると、わかっているはずなのに間違えてしまうことがよくありました。自分でよくわからなくなって、質問をしました。
杉田講師からの回答は、「わかったつもりでいるだけで、真に理解ができないのではないか」というものでした。思い返してみるとテキストの文言や条文は記憶しているけど、思いつく事例や自分自身で条文の説明をしようとして「例えば…」みたいなことを思案してみると、途中で詰まったり(つじつまが合わなくなったり)して、「理解できていない」ことが明るみになりました。孤独に勉強しているとテキストや問題集と向き合ってばかりで、記憶だけに偏ってしまう恐れがある。そうなってしまうと「理解」というステップが欠落してしまうので、「理解」ができているかを自身で確認する大切さを感じた。問題だけでなく、事例を持ち出して説明できるところまで詰めておくことが大切だと思った。
今年の本試験を振り返って
試験当日、私の会場は昨年と同じく神戸ポートピアホテルだったので、下見をすることなく、午前中に三宮駅周辺へ到着し、駅近くの喫茶店で私製のまとめノートをひたすらガン見していました。あとは、記述の解答例を見て、条文を思い出す(必要であればスマホで確認する)などしていました。同じ店には、ほかの席に同じ受験生のオーラを醸し出している人がチラホラいました。本試験では、去年のお試し受験が功を奏し、全くガチガチではなく、ほどよい緊張感で臨めました。
今後の資格の使い道
ひとまずは現在の仕事を継続しながら、Wライセンスを目指すべく、司法書士試験にチャレンジします。独立するのであれば、会社の設立(定款作成(行政書士)から商業登記(司法書士)まで)や債権回収(内容証明作成(行政書士)から(認定司法書士になれれば)140万円以下については簡裁代理人(司法書士)で実際に訴訟できる)まで、一貫して依頼人の支えとなれればいいなと考えたからです。
本試験で注意すること
まず、忘れ物は絶対禁止。受験できない場合があるようです。不安なら途中のコンビニで買ってもいいくらいです。忘れてきたので「借りる」という選択肢は皆無です。基本的なことはさておき、試験開始後における注意点としては、時間配分を必ず自分のものにしておくことが重要です。これはクレアールの予想模試等を受験するのは言うまでもないですが、私は不安症のため幾つか別の予備校の模試も受験しました。
その理由はいくつかあって、一つは時間配分を徹底的に体得するため、二つはいろんな問題に触れたい、三つは、会場受験の雰囲気を体感しておく、四つは、択一や多肢選択、記述におけるいずれの解き方が早く確実にこなせるのかを試したいなどの理由です。
今年残念だった方へ
再受験に際し、私は1回目(不合格)試験終了後から約1か月~2か月は一旦、勉強から離脱しました。そうしたら、不安もあってか、また勉強がしたくなりました。そこがエンジンの始動時期でした。それは、同時に自分を泳がせる(?)時期でもありました。まず初めに、一発目に過去の予想模試やら択一模試を解いてみました。正解しているところは記憶が定着している証拠。不正解なところはわかったつもりでいるところ。歴然です。記憶が定着しているところは放っておいて大丈夫です。これからは不正解のテーマのみをやっていけばいいのです。だから1~2か月は取り返せます。次は合格が見えてきます。そうしたら楽しくなってきます。その分だけ不安も出てきます。その不安は自身が頑張った量の結果だと自負してください。それがやがて安心へと変わります。合格は目の前ですが、あと少しを引き寄せられるかどうかは自分自身です。「大丈夫」。その言葉をお守りに頑張ってください。
初受験の方へ
これから初めて受験に臨まれる方、あと1年(半年)は短いです。始めるなら明日からではなく今日からです。意外に試験日は早くやってきます。備えあれば患いなしとも言います。合格者の意見は参考になる部分も大いにあると思いますが、最後はやはり自分自身でしかないので、迷っているなら「今すぐ」です。時間はありません。私が初学者として、一番そして真っ先に感じたことです。未確定な先のことを考えても何の解決にもなりません。答えの道しるべが今から始まっていると思ってください。
令和4年度試験に挑戦される皆様のご健闘を祈念しております。
終わりに
まずは、竹原講師、杉田講師、玉村講師。ご教授、ご指導本当にありがとうございました。試験後の(解答速報による)自己採点では、令和4年度の受験を覚悟していました。択一は憲法での失点が大きかったことと、記述でも自信があったのは行政法だけでしたし、民法記述も基礎的な文言が抜けて、例外部分(条文の「ただし~」以降)しか書けてなかったので、部分点も低いと思っていたからです。択一で170点到達を目指していましたが、現実は154点となり、記述全体で約半分以上取れていないといけないことになりますが、「今回の記述の採点は激辛」という何の根拠にも基づかない各予備校の見解に影響を受けつつ、不合格を覚悟しておりました。だから、インターネットで自分の受験番号を見つけたときは嬉しさよりも驚きでした。しかし、それと同時に努力は裏切らないことを実感しました。憲法講義の最初だったでしょうか、杉田講師が「努力は裏切りませんから~」とおっしゃっておられたことをはっきりと思い出しました。
法律を扱う士業は、合格した後も法改正に伴って勉強を続けていく必要があり大変さもありますが、講師各位に教えていただいた知識は、今のところ私の頭の中だけですが、面白いように活躍してくれています。