行政書士は、国家資格であり、いわゆる「士業」の一つです。生活に身近な「街の法律家」です。この記事は行政書士試験の合格を目指す人に向け、試験概要からその攻略法や効率の良い学習方法まで詳しく解説していきます。
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そもそも行政書士試験とは
行政書士試験とは、行政書士になるための試験であり総務大臣が定めるところにより、行政書士の業務に必要な知識と能力が問われます。行政書士になるには、行政書士試験に合格する方法が最も近道。試験は、行政書士法第4条の規定に基づき、平成12年度から一般財団法人行政書士試験研究センターが総務大臣から指定試験機関として指定を受け、各都道府県知事の委任のもと実施されています。
行政書士とは
行政書士は「街の法律家」ともいわれる国家資格で、いわゆる「士業」の一つです。主に行官公署に提出する許認可などの書類作成やその提出手続きの代理、官公署に届ける書類に関する相談業務などを行う法律の専門家です。
行政書士の試験内容と攻略法
試験科目 | 内容 |
---|---|
行政書士の業務に関し必要な法令等 | 憲法 行政法 民法 商法(会社法を含む) 基礎法学 (択一式及び記述式・出題数46題) |
行政書士の業務に関連する基礎知識等 | 政治・経済・社会 情報通信・個人情報保護 文章理解 行政書士法(令和6年度で1問出題) 住民基本台帳法(令和6年度で1問出題) 戸籍法(令和6年度は出題されず) ※上記3科目が新たに令和6年度より出題範囲となりました。 (択一式・出題数14題) |
行政書士および行政書士試験がどのようなものかがわかったところで、行政書士の試験内容とそれぞれの攻略法について、詳しく見ていきましょう。
【法令等】憲法
憲法は、国民の自由や権利、国家の運営について定めた法律です。中学や高校で習った内容もありますが、判例からの出題が中心です。5肢択一式が20点分、多肢選択式は8点分が出題されます。国会の仕組みなど単に条文を暗記することで対策が取れる箇所と、国民の権利に関しての判例など理屈を理解しなければ対策が取れない箇所に分かれているのが特徴です。そのため過去問で出題傾向をつかむことが対策のポイントとなります。なお、憲法は行政法と関連する部分が多く、両方を横断的に勉強すると効果的です。テキストや問題集で条文や判例を覚え、過去問で確認することを繰り返しましょう。
【法令等】行政法
行政法は、行政に関して定められている法律をまとめて表現したもので、私人たる国民が行政から不利益を被るのを防ぐための法律です。行政書士試験の最重要科目で、最も出題のウエイトが高く、5肢択一式が76点分、多肢選択式が16点分、記述式が20点分出題されます。行政法は、行政手続法・行政不服審査法・行政事件訴訟法がメインとなり最初は何が違うのか分かりづらいのが特徴です。対策としては、それぞれの法律の目的を理解し、基礎知識をしっかりと身につけるために条文や判例を繰り返し読み込み、暗記することが大切です。憲法と行政法は重なる部分が多いので、横断的に勉強すると理解が深まります。過去問演習を丁寧に繰り返して出題傾向やクセをつかむことが効果的です。
【法令等】民法
民法は、私たちの私生活に非常に深く関わる重要な法律であり、人の権利や義務を規定している法律です。5肢択一式では、36点分の出題があり、行政法と同様に得点比率が高いので重要な科目の1つです。ただし、条数は1000条を超えているので深入りしすぎるのも禁物です。対策としては頻出される基礎的な条文の理解を重視し、自分の身に置き換えて考えることが効果的です。難解な判例はテキストに記載のある重要なものを除いて深入りしすぎないようにしましょう。多肢選択式での出題はありませんが、記述式では2問(40点分)が出題されます。5肢択一式の過去問でキーフレーズを押さえておき、40字以内で簡潔に解答できるようにすることが必要です。
【法令等】商法(会社法を含む)
商法(会社法を含む)は、民法が私人間の取引活動のルールを定めていたのと異なり、個人事業主や会社における営利目的の取引活動のルールを定めた法律です。5肢択一式のみの出題であり、商法は1~2問、会社法と合わせて合計5問しか出題されません。配点は20点分しかない割に、試験範囲が極めて広い上に内容も複雑です。基礎的な問題に狙いを絞って勉強するのが効果的です。過去問で出題傾向やクセをつかみ、重要な条文や判例を覚えるなど、少なくとも基本的な問題だけは理解した状態で本番を迎えるようにしておくとよいでしょう。
【法令等】基礎法学
基礎法学は、法律の基本的な用語や概念、裁判制度など基本的な知識の出題となります。5肢択一式のみの出題であり、2問しか出題されません。配点は8点分であり、法令科目の中では最も低く重要度も低い科目なので、あまり時間をかける必要はありません。他の科目の知識で対応できることも多いので、あまり深入りしないようにしましょう。
【基礎知識等】政治・経済・社会
政治・経済・社会は、一般知識の中で最も重要な科目です。5肢択一式のみで20点分、最近の時事に関する内容が出題されます。比較的身近な内容ので、得点源にできます。対策としては、日頃からニュースや新聞に目を通し、政治や経済の動向や社会問題に関心を持つことが大切です。過去問での対策はあまり効果的ではありませんが、出題傾向や基本事項は確認しておきましょう。※令和6年度試験での実績
【基礎知識等】情報通信・個人情報保護
情報通信・個人情報保護は、情報・個人情報の保護に関する法律や実務を学ぶ科目です。特に個人情報保護法が重要で、プロバイダー責任制限法や行政手続きの電子化なども出題されます。5肢択一式では、16点分が出題され、過去問で頻出する条文や規則を暗記することが対策のポイントです。個人情報保護の問題は、難易度が低いので全問正解を目指して、最新の用語やニュースにもアンテナを張り、直前講座などを利用して時事問題に対応できるようにするとよいでしょう。※令和6年度試験での実績
【基礎知識等】行政書士法、住民基本台帳法、戸籍法
行政書士法、住民基本台帳法・戸籍法は過去も出題されて事がある科目です。令和6年度では行政書士法で1問、住民基本台帳法で1問の出題となりました。おおよその予想通り基本的な分野からの出題となりましたので、基本知識等の基準点突破のためには落としてはいけない科目と言えるでしょう。しばらくは同様の出題傾向と考えられますので、予備校の講義を聞いて対策を取れば問題はないでしょう。※令和6年度試験での実績
【基礎知識等】文章理解
文章理解は、長文を読んでその内容に関する問題に答える科目です。5肢択一式での配点は、12点分となります。中学や高校で履修した国語・現代文のイメージで、特別な知識は要求されないため、比較的取り組みやすい科目といえます。難易度は高くないため、全問正解を目指し、過去問で出題傾向や基本事項を確認しておきましょう。ただし、難易度が低いからといって油断は禁物です。
行政書士試験の概要
行政書士試験の概要について、上記の順番でまとめましたので、一つひとつ詳しく内容を見ていきましょう。
受験資格
行政書士試験は年齢、学歴、国籍等に関係なく誰でも受験可能です。そのため、法律の専門家と言われる国家資格の登竜門として挑戦する人も多く、実際令和4年度の受験者をみると、最年長申込者98歳、最年少申込者8歳と、幅広い年齢の人が受けています。ただし、未成年者をはじめ、以下に当てはまる人は、受験はできても資格取得はできないため、注意が必要です。
(欠格事由)
第二条の二 次の各号のいずれかに該当する者は、前条の規定にかかわらず、行政書士となる資格を有しない。
一、未成年者
二、破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
三、禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつてから三年を経過しない者
四、公務員(行政執行法人又は特定地方独立行政法人の役員又は職員を含む。)で懲戒免職の処分を受け、当該処分の日から三年を経過しない者
五、第六条の五第一項の規定により登録の取消しの処分を受け、当該処分の日から三年を経過しない者
六、第十四条の規定により業務の禁止の処分を受け、当該処分の日から三年を経過しない者
七、懲戒処分により、弁護士会から除名され、公認会計士の登録の抹消の処分を受け、弁理士、税理士、司法書士若しくは土地家屋調査士の業務を禁止され、又は社会保険労務士の失格処分を受けた者で、これらの処分を受けた日から三年を経過しないもの
八、税理士法(昭和二十六年法律第二百三十七号)第四十八条第一項の規定により同法第四十四条第三号に掲げる処分を受けるべきであつたことについて決定を受けた者で、当該決定を受けた日から三年を経過しないもの
(参照:「行政書士法(昭和二十六年法律第四号)」第2条2 )
試験日程
項目 | 日程目安 |
---|---|
試験日程などの発表 | 7月初旬 |
出願期間 | 7月下旬~8月下旬 |
受験票送付 | 10月中旬~下旬 |
試験日程 | 11月の第2日曜日 午後1時から午後4時まで |
合格発表 | 1月第5週 |
合格証送付 | 2月中旬~下旬 |
試験日程は、一般財団法人行政書士試験研究センターの公式ホームページで発表されます。日程は毎年変わるため、同センターのホームページを必ず確認するようにしましょう。なお、出願期間はインターネットと郵便の申込み方法によって異なりますので、注意が必要です。
試験場所
試験場所は、毎年7月の第2週に一般財団法人行政書士試験研究センターの公式ホームページで公示されます。47都道府県それぞれに最低1箇所は設けられ、現在の住まいや住民票記載住所に関係なく、全国の試験会場で受験可能です。どの会場で受験しても難易度は等しく、当然合否に関わる要素とはなりません。自分が住んでいる都道府県とは別の会場の方が近ければ、近い会場を選ぶと良いでしょう。
科目の出題形式と配点
試験科目 | 出題形式 | 出題数 | 配点 | 満点 |
---|---|---|---|---|
法令等 | 5肢択一式 | 40問 | 1問につき4点 | 160点 |
多肢選択式 | 3問 | 1問につき8点 | 24点 | |
記述式 | 3問 | 1問につき20点 | 60点 | |
法令等の合計 | 46問 | 244点 | ||
基礎知識 | 5肢択一式 | 14問 | 1問につき4点 | 56点 |
総合計 | 60問 | 300点 |
5肢択一式では1問4点、多肢択一式では1問8点、記述式で1問20点の配点となり、満点は300点です。
「5肢択一式」は、5つの選択肢から1つを回答。「多肢選択式」は、穴埋め問題などで1つの設問に対し、20個の選択肢があり、正しい答えを4つ選択します。
「記述式」は、設問に対し40字以内で記述して解答します。記述式は、問題数は少ないものの配点が高いため、解答できる内容であれば減点されないような記載を行い、解答できないようであれば部分点を取れるような記載を行いたいところです。
合格基準
次の要件のすべてを満たすこと
偏った点の取り方で合格とならないよう、全体だけでなく各科目にも合格基準が設けられています。ただし、一般財団法人行政書士試験研究センターのホームページには、合格基準は試験問題の難易度を評価し、補正的(救済)措置が加えられることがあると記載されており、平成27年度の試験では、全体の合格ラインが180点から166点に、法令等科目の足切り点が122点以上から110点以上に引き下げられました。
受験手数料
令和4年度から「地方公共団体の手数料の標準に関する政令の一部を改正する政令」が公布され、受験手数料は10,400円となりました。受験手数料と合わせて、払い込む際の手数料が必要です。なお、一度払った受験手数料は、地震や台風等により試験を実施しなかった場合などを除き、返還されないため注意が必要です。
合格発表の方法
合格者の受験番号は、一般財団法人行政書士試験研究センターの事務所の掲示板にて公示されるほか、同センターの公式ホームページにも掲載されます。なお、受験生全員に「合否通知書」が郵便で送付され、合否、配点、合格基準点、得点が記載されています。(※令和5年度の場合)合格発表は、2024年1月31日。合格者への合格証送付は、2024年2月16日に簡易書留郵便での発送が予定されています。
合格率
2023年度 | 2022年度 | 2021年度 | |||||||
受験者数(人) | 合格者数(人) | 合格率(%) | 受験者数(人) | 合格者数(人) | 合格率(%) | 受験者数(人) | 合格者数(人) | 合格率(%) | |
46,991 | 6,571 | 13.98 | 47,850 | 5,802 | 12.1 | 47,870 | 5,353 | 11.2 |
例外的に補正的措置が加えられる可能性はありますが、合格基準点によって、合否が決まる絶対評価が採用されています。そのため、試験の難易度により合格率が変動しますが、例年の合格率をみると、10%~15%の間で推移しています。このように難易度が高い試験ではありますが、しっかりと勉強を続けることで、確実に合格することが可能な試験といえます。
行政書士試験の効率の良い学習方法
行政書士試験を合格するために、効率の良い学習方法について詳しく解説します。
民法と行政法を優先的に勉強する
行政書士試験は科目が多く、全ての科目の勉強を同じようにしていては非効率です。配点の多い科目を優先して勉強するのが効率的です。特に民法と行政法は配点が高く、重点を置いて勉強することがおすすめです。
基礎知識等科目も抜け漏れなく習得する
前述のとおり、偏った点の取り方では合格できません。基礎知識科目は配点が法令等よりも少ないものの、得点できないと足切り不合格となるので、抜け漏れなく勉強する必要があります。出題数は14問のため、最低でも6問が正解できることを目指しましょう。例年の出題をみると、時事問題が多く出題されているため、時事に関する知識をこまめにチェックするとよいでしょう。
テキストでインプット・過去問でアウトプットを習慣づける
テキストでインプットし、過去問でアウトプットする習慣をつければ、知識の定着を促進できます。知識の定着以外にも、テキストで学習した内容がどのように試験で出題されるのか出題傾向もつかめます。注意点として、過去問の使用タイミングです。過去問は学習を開始した時期から解くことをおすすめします。過去問を解くことで、本試験に必要な知識や範囲の全体像を理解し、無駄な学習を省くことができます。
効率の良い勉強法を選ぶ
これまで法律を学んだことがあるのか、などにより異なりますが、合格に必要な一般的な勉強時間は、独学の場合は800時間~1000時間程度。予備校・通信講座の受講する場合は600時間~800時間程度が必要といわれています。予備校・通信講座の受講は、合格に向けたカリキュラムで講師のサポートを受けることができ、効率良く学ぶことができます。特に通信講座の受講は、好きな時間・場所で学習を進められるため、スキマ時間に学習ができるのでおすすめです。
行政書士の試験内容に関するよくある質問
行政書士試験の試験内容をよく知って効率良く合格を目指そう!
行政書士は、生活にもっとも身近な「街の法律家」。試験では、法令科目として民法、行政法、憲法、基礎法学、商法・会社法を、また行政書士の業務に関する一般知識も同時に問われます。行政書士試験は難関国家資格であり、合格するためには試験科目を効率よく継続して勉強していく必要があります。
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監修:行政書士・社労士 田中 伴典さん
2016年に社会保険労務士試験に合格後、社会保険労務士法人のスタッフとしてお客様を外部からサポート。その後、民間企業の人事として内部からサポートしつつ、2021年に行政書士試験に一発合格を果たす。現在は、現役行政書士・社会保険労務士として自身の事務所を運営している。
田中社会保険労務士・行政書士事務所のサイトはこちら