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司法書士試験<過去問題肢別チェック ■民法担保物権「留置権」>

<問題1> 留置権及び質権は、債務者が相当の担保を提供して、その消滅を請求することができる。○か×か?

解答

【解答1】 × 留置権の債務者は、相当の担保を供して、留置権の消滅を請求することができる(民301条)。留置権の被担保債権額は一般に目的物の価格に比べて僅かな場合が多く、そのために目的物が留置されるのは不公平であり、債権額相当の担保を供して留置権を消滅できるとすることが公平に適うとされるからである。これに対し、質権については、担保の供与による消滅を規定する民法301条は準用されていないので(民350条)、債務者が相当の担保を提供して、質権の消滅を請求することはできない。【平22-11-ア】

 

<問題2> 留置権者は、留置物の換価代金について優先弁済権を有する。○か×か?

解答

【解答2】 × 留置権は、他人の物の占有者が、その物に関して生じた債権を有している場合に、その債権の弁済を受けるまでその物を留置して、債務者の弁済を間接的に強制する法定担保物権である(民295条以下)。目的物を留置することにより、債権者に債権の弁済を心理的に強制する機能を有する権利であって、留置物の換価代金について優先弁済を受ける権利を有しない。【平29-11-ア】

 

<問題3>留置権は、留置権者が留置物の占有を失った場合には消滅するが、質権は、質権者が質物の占有を失った場合であっても消滅しない。○か×か?

解答

【解答3】 ○ 留置権は、留置権者が留置物の占有を失うことによって消滅する(民302条本文)。これに対して、質権は、質権者が質物の占有を失っても、質権を第三者に対抗できなくなるだけであり、質権そのものは消滅しない(民352条参照、大判大5.12.25参照)。【平29-11-イ】

 

<問題4>Aは、Bからその所有する時計の修理を依頼され、その修理をしたが、Bは、時計の修理代金を支払っていない。この場合において、Aが時計の占有に当たって善良な管理者の注意義務を尽くさなかったときは、それによって損害が発生しなくとも、Aの留置権は、Bの請求によって消滅する。○か×か?

解答

【解答4】 ○ 留置権者は、留置物の占有にあたっては善管注意義務を尽くさなければならない(民298条1項)。留置権者に善管注意義務違反があった場合、損害の発生がなくとも債務者が請求することにより、留置権は消滅する(最判昭38.5.31、民298条3項)。【平16-12-イ】

 

<問題5>Aは、Bからその所有する時計の修理を依頼され、その修理をしたが、Bは、時計の修理代金を支払っていない。この場合において、Aが修理代金債権の額に相当する担保の提供に応じないときは、Bは、Aの承諾に代わる裁判を得てAの留置権の消滅を請求することができる。○か×か?

解答

【解答5】 ○ 債務者は、債権額相当の担保を留置権者に供することによって、留置権の消滅を請求することができる(民301条)。ただし、担保の提供には担保を供される留置権者の承諾が必要であり、債務者が相当の担保を提供し、消滅の意思表示をするだけで留置権が消滅するわけではない。よって、留置権者が担保の提供に応じない場合は、留置権者の承諾に代わる裁判を得て留置権の消滅の意思表示をすればよい。【平16-12-ウ】

 

<問題6>AがBに対して甲建物を賃貸していたところ、Aは、Bの債務不履行を理由に賃貸借契約を解除したが、Bは、解除前に支出した修繕費の償還請求権に基づく留置権を行使して、甲建物を占有していた。この場合において、Bが甲建物を継続して使用することは、保存行為に当たるから、Bは、甲建物の使用の対価に相当する額をAに支払う義務を負わない。○か×か?

解答

【解答6】 × 建物の賃借人は賃貸借契約の解除前に支出した修繕費等の必要費の償還請求権に基づいて留置権を行使することができる(大判昭14.4.28)。この場合において、賃借人が留置権によって建物を継続して使用することは、特段の事情がない限り留置物の保存行為(民298条2項ただし書)に当たるが(大判昭10.5.13)、建物を継続使用することで得た利益については、これを留置権者に保有させる理由はないから、不当利得として建物の所有者に返還しなければならない(大判昭13.12.17)。【平17-12-エ】

 

<問題7>AがBに対して甲建物を賃貸していたところ、A及びBは、賃貸借契約を合意解除した。この場合において、Bが解除前にAの承諾を得た上で甲建物に造作を施していたときは、Bは、造作の買取請求権に基づき甲建物を留置することができる。○か×か?

解答

【解答7】 × 家屋の賃貸借契約の終了に際して、賃借人が造作買取請求権を有する場合であっても、賃借人は造作買取請求権を被担保債権として留置権を主張することはできない(最判昭29.1.14)。造作買取請求権は造作について生じた債権であって、家屋について生じた債権ではないからである。【平17-12-オ】

 

<問題8>留置権は、物に関して生じた債権に停止条件が付されている場合において当該条件の成否がいまだ確定しないときであっても、当該物について成立する。○か×か?

解答

【解答8】 × 留置権が成立するためには、債権の弁済期が到来していることが必要である。停止条件付法律行為は、停止条件が成就した時からその効力を生ずる(民127条1項)。債権に停止条件が付され、その条件の成否が確定していないままでは、債権の弁済期は当然未到来であるから、留置権は成立しない。【平19-11-イ】

 

<問題9>留置権は、留置物の滅失によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても、行使することができる。○か×か?

解答

【解答9】 × 留置権は、その通有性として、付従性、随伴性、不可分性を有するが、物上代位性(民304条参照)はない。したがって、留置権は、留置物の滅失によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対し、行使することはできない。【平19-11-オ】

 

<問題10>AがB所有の家屋をBから賃借中に、AがBの同意を得て当該家屋に造作を加え、当該賃貸借契約が終了した後、AがBに対して当該造作を買い取るべきことを請求した場合において、BがAに対して当該家屋の引渡しを要求したとき、Aは、Bに対する造作買取代金債権に基づいて、当該家屋について留置権を主張することができない。○か×か?

解答

【解答10】 ○ 家屋の賃貸借契約の終了に際して、造作買取請求権を有する賃借人は、造作買取代金が支払われるまで当該家屋を留置することはできない(最判昭29.1.14)。建物と造作とは、別個の存在であり、造作買取請求権は建物に関して生じた債権であるとはいえない。また、従物に関する債権で主物たる建物全体の明渡しを拒絶し得るというのでは、公平に反するからである。【平22-12-エ】

 

<問題11>Aが所有し占有する土地について譲渡担保権の設定を受けたBが、当該譲渡担保権の実行として当該土地をCに譲渡し、Aに対して清算金支払債務を負っている場合において、CがAに対して当該土地の引渡しを要求したときは、Aは、Bに対する清算金支払請求権に基づいて、当該土地について留置権を主張することができる。○か×か?

解答

【解答11】 ○ 不動産を目的とする譲渡担保権が設定されている場合において、譲渡担保権者が譲渡担保権の実行として目的不動産を第三者に譲渡したときは、譲渡担保権設定者は、第三者又は同人から更に不動産の譲渡を受けた者からの明渡請求に対し、譲渡担保権者に対する清算金支払請求権を被担保債権とする留置権を主張することができる(最判平9.4.11)。譲渡担保権設定者は譲渡担保権者に対して担保価値と被担保債権との差額の清算金支払請求権を有し、それは譲渡担保の目的物に関して生じた債権といえるからである(民295条1項)。【平22-12-オ】

 

<問題12>留置権者が留置物の一部をその過失により壊したとしても、債務者は、債務の全額を弁済しない限り、留置権の消滅を請求することはできない。○か×か?

解答

【解答12】 × 留置権者は、善良な管理者の注意をもって、留置物を占有しなければならない(民298条1項)。また、留置権者が当該義務に違反したときは、債務者は、留置権の消滅を請求することができる(民298条3項)。本肢では、留置権者が留置物の一部をその過失により壊しているから、善管注意義務に反しており、したがって、債務者は、留置権の消滅を請求することができる。【平25-11-ア】

 

<問題13>建物所有目的の土地の賃借人が賃貸人に対して建物買取請求権を行使した場合において、賃借人は、建物の買取代金の支払を受けるまでは、建物について留置権を主張して建物の敷地を占有することができ、敷地の賃料相当額の支払義務も負わない。○か×か?

解答

【解答13】 × 建物買取請求権を行使した借地権者は、建物売買契約に基づく代金債権を被担保債権として、建物のみならず敷地についても、留置権を主張することができる(借地借家13条1項、大判昭18.2.18)。しかしながら、敷地の使用利益については法律上の原因がないことから、敷地の賃料相当額については不当利得として返還しなければならない(大判昭18.2.18)。【平25-11-オ】

 

<問題14>Aからその所有する甲建物を賃借していたBが、Aの同意を得て甲建物に造作を設置し、賃貸借契約終了後、Aに対してその造作を買い取るべきことを請求した場合、Bは、Aに対する造作買取代金債権に基づく甲建物についての留置権を主張して、AのBに対する甲建物の明渡請求を拒むことができない。○か×か?

解答

【解答14】 ○ 造作買取代金債権(借地借家33条)は、造作に関して生じた債権であって、建物に関して生じた債権ではないため、造作買取請求権を被担保債権とする留置権の主張は認められない(最判昭29.1.14)。したがって、賃借人Bは、留置権を主張して建物の明渡請求を拒むことができない。【平27-12-エ】

 

<問題15>A所有の甲建物について留置権を有するBがAの承諾を得て甲建物を使用している場合、その後にAから甲建物を買い受けて所有権の移転の登記を受けたCは、Bが甲建物を使用していることを理由として留置権の消滅請求をすることはできない。○か×か?

解答

【解答15】 ○ 留置権者は、債務者の承諾を得なければ、留置物を使用し、賃貸し、又は担保に供することができない(民298条2項本文)。また、留置権者がこれに反したときは、債務者は、留置権の消滅を請求することができる(民298条3項)。しかし、留置物が第三者に譲渡された場合において、譲受人が対抗要件を具備する前に留置権者が目的物使用の承諾を得ていたときには、留置権者は、承諾の効果を譲受人に対抗することができ、譲受人は、留置権の消滅請求をすることができない(最判平9.7.3)。【平27-12-オ】

 

<問題16>物の引渡しを求める訴訟において、留置権の主張が認められる場合は請求棄却判決となるのに対し、同時履行の抗弁権の主張が認められる場合は引換給付判決となる。○か×か?

解答

【解答16】 × 物の引渡しを求める訴訟において、留置権の主張が認められる場合は、原告の請求を全面的に棄却するのではなく、引換給付判決がなされる(最判昭33.3.13)。そして、原告の請求に対し被告が同時履行の抗弁権を行使したときも、原告の請求を棄却しないで引換給付判決をすべきである(大判明44.12.11)。【平23-11-3】

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