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司法書士試験<過去問題肢別チェック ■刑法(刑法各論 社会的法益に対する罪)>

<問題1> 刑法は、権利・義務又は事実証明に関する私文書が、社会生活上重要性を有することにかんがみ、その偽造を重く処罰し、それ以外の私文書の偽造を軽く処罰することとしている。○か×か?

解答

【解答1】 × 刑法は、私文書偽造罪の客体を権利、義務又は事実証明に関する私文書に限っている(刑159条1項、3項)。それ以外の私文書は、刑法的保護の必要がないので、偽造しても処罰されない。【平2-26-3】

 

<問題2> Aは、火災保険金を騙取しようと考え、自己の一人住まいの自宅に火災保険をかけた上、火をつけて全焼させた。この場合、Aについて現住建造物等放火罪の既遂が成立する。○か×か?

解答

【解答2】 × 他人所有の非現住建造物等放火罪(刑109条1項)の既遂が成立する。「人」(刑109条1項)とは、犯人以外の者をいい、犯人が、単独で居住し、又は現在する建造物は、本罪の客体になる。なお、自宅に火災保険をかけても、他人の物と同様に扱われるにすぎず(刑115条)、自己の所有に係る物(刑109条2項)から他人所有の物(刑109条1項)に扱いが変じるだけであり、現住建造物(刑108条)になるわけではない。【平9-26-4改】

 

<問題3> 公正証書原本不実記載罪の客体は、申立ての内容につき公務員に実質的審査権があるものであるか否かを問わない。○か×か?

解答

【解答3】 ○ 公正証書原本不実記載罪の客体は、申立ての内容につき公務員に実質的審査権があるものであるか否かを問わない(最判昭36.3.30)。【平11-26-5】

 

<問題4> 外国に輸出する目的でわいせつ物を所持しても、わいせつ物販売目的所持罪は成立しない。○か×か?

解答

【解答4】 ○ わいせつ物販売目的所持罪(刑175条後段)における「販売の目的」とは、わいせつの図画等を日本国内で販売する目的をいい、日本国外で販売する目的を含まない(最判昭52.12.22)。本条の規定は、我が国における健全な性風俗維持のため、日本国内でわいせつ文書等が頒布等されることを禁じようとする趣旨に出たものであるからである。【平3-25-イ】

 

<問題5> 公文書偽造罪の客体となる文書は、原本に限られず、原本と同一の内容を保有し、証明文書として原本と同様の社会的機能と信用性を有するものである限り、原本の写しであっても差し支えない。○か×か?

解答

【解答5】 ○ 公文書偽造罪(刑155条1項)は、公文書に対する公共的信用を保護法益としていることにかんがみると、その客体となる文書は原本たる公文書に限らず、原本の写しであっても原本と同一の意識内容を保有し、証明文書としてこれと同様の社会的機能と信用性を有する限りこれに含まれる(最判昭51.4.30)。【平11-26-2】

 

<問題6> 約束手形の所持人がその手形が偽造されたものであることを知っていても、裏書人に対する権利行使のために手形を呈示した行為は、偽造有価証券行使罪における行使にあたらない。○か×か?

解答

【解答6】 ○ 約束手形の所持人がその手形が偽造されたものであることを知っていても、裏書人に対する権利行使のために手形を呈示した行為は、偽造有価証券行使罪における行使にあたらない(大判大3.11.28)。手形所持人の正当な権利行使であるからである。【平3-26-5】

 

<問題7> 刑法は、私文書を偽造しても、行使される見込みがなければ、未だその私文書に対する公共的信用を害する危険は少なく、処罰に値する違法性がないことから、行使の目的のある偽造のみを犯罪としている。○か×か?

解答

【解答7】 ○ 私文書偽造罪(刑159条1項、3項)が成立するためには、「行使の目的で」行われることが必要である。行使される見込みがなければ、未だその私文書に対する公共的信用を害する危険は少なく、処罰に値する違法性もないからである。【平2-26-1】

 

<問題8> 市議会の議長が議会の会議録の調製にあたって、議事の運営に対する異議が出された事実の記録をことさらに記載しなかった場合には、記載されている事項の中には事実と異なる部分がないときであっても、虚偽公文書作成罪(刑法第156条)が成立する。○か×か?

解答

【解答8】 ○ 虚偽公文書作成等罪(刑156条)において、虚偽文書作成の方法には制限がなく、不作為でもなされ得る(最決昭33.9.5)。【平8-26-ウ】

 

<問題9> 私文書偽造罪が成立するためには、一般人をして実在者が真正に作成した文書と誤信させるおそれが十分にあれば足り、その名義人が架空であると実在であるとを問わない。○か×か?

解答

【解答9】 ○ 架空人名義の私文書を作成した場合、一般人をして真正に作成された文書と誤信させる危険のある点は実在人名義を冒用した場合と区別がないから、私文書偽造罪(刑159条1項)が成立する(最判昭28.11.13)。【平11-26-3】

 

<問題10> 偽造私文書について、確定日付を受けるため公証人に提示した行為は、偽造私文書行使罪における行使にあたる。○か×か?

解答

【解答10】 ○ 偽造私文書行使罪(刑161条1項)における「行使」とは、偽造文書を真正な文書として、使用することをいい、提示、備付けなどの方法で、その内容を相手方に認識させ、又は認識し得る状態におくことが必要である。偽造私文書について、確定日付を受けるため公証人に提示した行為は、「行使」にあたる(大判明41.12.21)。【平3-26-4】

 

<問題11> 偽造通貨を偽造であることを知っている者に交付した行為は、偽造通貨行使罪における行使にあたらない。○か×か?

解答

【解答11】 ○ 偽造通貨行使罪(刑148条2項)における行使の相手方は、偽貨であることの情を知らない者でなければならない。偽造通貨を偽造であることを知っている者に渡す行為は、「交付」(刑148条2項)にあたる。【平3-26-2】

 

<問題12> 不特定多数の者からの通話に応じ、録音したわいせつな音声を提供した場合には、わいせつ物陳列罪が成立する余地はない。○か×か?

解答

【解答12】 × わいせつ物陳列罪(刑175条)における「公然と陳列」するとは、不特定又は多数人の観覧し得る状態におくことをいう。録音テープの再生も「陳列」となる(東京地判昭30.10.31)ので、不特定多数の者からの通話に応じ、録音したわいせつな音声を提供した場合には、わいせつ物陳列罪が成立する余地がある。【平4-24-2】

 

<問題13> 偽造有価証券の保管を依頼して情を知らない他人に交付した行為は、偽造有価証券行使罪における行使にあたる。○か×か?

解答

【解答13】 × 偽造有価証券行使罪(刑163条1項)における「行使」とは、偽造有価証券を真正な有価証券として使用することをいう。偽造有価証券行使罪は、有価証券に対する公共の信用を保護法益とするが、本肢では、単に、偽造有価証券の保管を依頼して情を知らない他人に交付しているにすぎず、未だ有価証券に対する公共の信用を害されたとはいえないので、「行使」にあたらない。【平3-26-3】

 

<問題14> 市長の記名押印がある売買契約書の原本の売買代金欄の「7,000,000」の記載の左横に鉛筆で「1」と書き加え、代金が1,700万円であるかのように改ざんし、これを複写機でコピーして、あたかも真正な売買契約書の原本を原形どおりに正確にコピーしたかのような売買契約書の写しを作成した場合には、公文書変造罪(刑法第155条第2項)ではなく、公文書偽造罪(刑法第155条第1項)が成立する。○か×か?

解答

【解答14】 ○ 偽造有価証券行使罪(刑163条1項)における「行使」とは、偽造有価証券を真正な有価証券として使用することをいう。偽造有価証券行使罪は、有価証券に対する公共の信用を保護法益とするが、本肢では、単に、偽造有価証券の保管を依頼して情を知らない他人に交付しているにすぎず、未だ有価証券に対する公共の信用を害されたとはいえないので、「行使」にあたらない。【平3-26-3】

 

<問題15> わいせつ文書を有償で貸与した場合には、わいせつ文書等頒布罪が成立する余地はない。○か×か?

解答

【解答15】 × わいせつ文書等頒布罪(刑175条)における「頒布」するとは、不特定多数の人に対して配布することをいい(大判大15.3.5)、無償交付が通常であるが、有償貸与も含まれると解釈する余地もある。したがって、わいせつ文書を有償で貸与した場合に、わいせつ文書等頒布罪が成立する余地がある。【平4-24-1】

 

<問題16> 公正証書原本不実記載罪の客体は、私法上の権利義務に関するある事実を証明するものでなければならない。○か×か?

解答

【解答16】 × 公正証書原本不実記載罪(刑157条1項)における「権利若しくは義務に関する公正証書」とは、公務員が、その職務上作成する文書であって、利害関係人のために、権利・義務に関する一定の事実を公的に証明する効力を有するものをいい、「権利若しくは義務」は、公法上のものであると、私法上のものであるとを問わない(最判昭36.3.30)。【平11-26-4】

 

<問題17> Aは、B宅に侵入し、B及び同居の家族全員を殺害した上、B宅に火をつけて燃やした。この場合、Aについて非現住建造物等放火罪の既遂が成立する。○か×か?

解答

【解答17】 ○ 判例(大判大6.4.13)は、家人全員を殺害した後、家屋に火をつけて燃やした場合、非現住建造物等放火罪(刑109条1項)の既遂が成立するとしている。【平9-26-1改】

 

<問題18> 偽造通貨を自動販売機に投入した行為は、偽造通貨行使罪における行使にあたる。○か×か?

解答

【解答18】 ○ 偽造通貨行使罪(刑148条2項)における「行使」とは、偽造・変造の通貨を、真貨として流通に置くことをいう。偽造通貨を自動販売機に投入した行為は、偽造の通貨を、真貨として流通に置いたといえ、「行使」にあたる(東京高判昭53.3.22)。【平3-26-1】

 

<問題19> 文書偽造罪が成立するためには、抽象的に文書の信用を害する危険があれば足り、特定の人に対し具体的に損害を与え、又は与える危険があることを要しない。○か×か?

解答

【解答19】 ○ 文書偽造罪は、抽象的危険犯であり、文書の証明手段としての信用を害することにより成立し、特定人に対し具体的に損害を与え又はその危険を生じさせることを必要としない(大判明43.12.13)。【平11-26-1】

 

<問題20> 頒布した文書が外国語で書かれている場合には、わいせつ文書等頒布罪が成立する余地はない。○か×か?

解答

【解答20】 × 英文の書籍のわいせつ性は、その読者となり得る英語の読める日本人及び在日外国人の普通人、平均人を規準として判断されるべきである(最判昭45.4.7)。したがって、頒布した文書が外国語で書かれている場合には、わいせつ文書等頒布罪が成立する余地がある。【平4-24-3】

 

<問題21> Aは、Bが外国製の高級乗用車を購入したのをねたみ、Bがその乗用車を自宅の前庭に駐車していたところ、これにガソリンをかけて火をつけ燃やしてしまったが、B宅への延焼は免れた。この場合、Aについて器物損壊罪が成立する。○か×か?

解答

【解答21】 × 建造物等以外放火罪(刑110条1項)が成立する。Bの乗用車は、「前2条に規定する物以外の物」にあたり、また、B宅の前庭で火をつけ燃やすと、「公共の危険を生じさせた」といえるからである。そして、放火の罪は、第一次的には、公共危険罪であるが、第二次的には、財産罪的性格を有するので、放火の罪が成立すると、器物損壊罪はそれに吸収される。【平9-26-3改】

 

<問題22> 被疑者として取調べを受けた者が、司法警察員に提出する供述書を他人名義で作成した場合には、あらかじめその他人の承諾を得ていたときであっても、私文書偽造罪(刑法第159条第1項)が成立する。○か×か?

解答

【解答22】 ○ 名義人の承諾があるときは、原則として、文書偽造罪の構成要件該当性が阻却される。しかし、性質上、本来、その名義人自身による作成だけが予定されている文書については、事前に名義人の承諾があっても、偽造罪の成立を免れない(最決昭56.4.8)。本供述書は、性質上、その名義人自身による作成だけが予定されている文書であるから、私文書偽造罪(刑159条1項)が成立する。【平8-26-エ】

 

<問題23> 刑法は、作成権限のない者が、他人の名義を冒用して新しい私文書を作成することを偽造とし、真正に成立した他人名義の私文書の非本質的部分を変更して新たな証明力を作り出すことを変造として、両者を区別している。○か×か?

解答

【解答23】 ○ 「偽造」(最狭義の偽造、刑159条1項、3項)とは、作成権限のない者が、他人の名義を冒用して新しい私文書を作成することをいい、「変造」(有形偽造の一種としての変造、刑159条2項、3項)とは、真正に成立した他人名義の私文書の非本質的部分を変更して新たな証明力を作り出すことをいい、刑法は、両者を区別している。【平2-26-2】

 

<問題24> Aは、B及びその家族全員が旅行に出た後、B宅に火をつけ燃やした。この場合、Aについて非現住建造物等放火罪の既遂が成立する。○か×か?

解答

【解答24】 × 現住建造物等放火罪(刑108条)の既遂が成立する。B及びその家族全員が旅行に出た後でも、B宅は、「現に人が住居に使用し」ている建造物であるから、AがB宅に火をつけ燃やすと、現住建造物等放火罪の既遂が成立し、非現住建造物等放火罪(刑109条1項)の既遂は成立しない。【平9-26-5改】

 

<問題25> Aは、B宅を燃やしてしまおうと考え、B宅の隣に建っていたC所有の物置に火をつけたが、物置が燃えたところで近所の住人らが消し止めたため、B宅には燃え移らなかった。この場合、Aについて非現住建造物等放火罪の既遂及び現住建造物等放火罪の未遂が成立する。○か×か?

解答

【解答25】 × 判例(大判大15.9.28)は、他人の住宅を焼損する目的で、隣接する物置に放火した場合、現住建造物に対しても、放火の着手があったものとみられるから、現住建造物に延焼するにいたらなくても、現住建造物等放火罪の未遂が成立し、非現住建造物に対する放火の既遂は、それに吸収される、とする。したがって、Aには現住建造物等放火罪の未遂(刑112条、108条)のみが成立する。【平9-26-2改】

 

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