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司法書士試験<過去問題肢別チェック ■刑法(刑法総論 未遂)>

<問題1> Aは、B宅を全焼させるつもりで、B宅の前に積み上げられている木材に灯油をまいて点火したが、思った以上に燃え上がるのを見て怖くなり、たまたま近くを通りかかったCに「火を消しておいてくれ。」と頼んで逃走したところ、Cが家屋に燃え移る前に木材の火を消し止めた。この場合、Aには、現住建造物等放火罪の中止未遂は認められない。○か×か?

解答

【解答1】 ○ 中止未遂(中止犯)とは、犯罪の実行に着手したが、自己の意思により犯罪の遂行をやめたので結果が不発生となった場合をいう。中止未遂は必ずその刑が減軽又は免除される(刑43条ただし書)。中止未遂が成立するためには、結果発生防止のために真摯な努力をして結果の発生を防止したことが必要である。放火の後で恐ろしくなり、近所の人に「放火したからよろしく頼む」と依頼して逃げ去った場合などは、真摯な努力があったとはいえず、中止未遂にはならない(大判昭12.6.25)。本問も同様の事案であり、中止未遂は成立しない。【平21-24-ア】

 

<問題2> 盗みの目的で、他人の家の玄関の鍵を壊して屋内に侵入した場合、窃盗未遂罪が成立する。○か×か?

解答

【解答2】 × 判例は、住居侵入窃盗について、他人の住居に侵入しただけでは、窃盗の実行の着手があったとは、いえないとする(大判昭9.10.19)。【平3-27-ア改】

 

<問題3> 他人のズボンのポケットに現金があることを確認した後、この現金をすり取ろうとしてそのポケットの外側に手を触れた場合、窃盗未遂罪が成立する。○か×か?

解答

【解答3】 ○ 判例は、スリについて、他人のズボンのポケットに現金があることを確認するという単なる当たり行為では、足りないが、その後、この現金をすり取ろうとしてそのポケットの外側に手を触れると、実行の着手があったとする(最決昭29.5.6)。また、手を触れた時点では、既遂に達していない。【平3-27-ウ改】

 

<問題4> 他人の家から自転車を盗み出して路上に出たが家人に発見され、自転車を放置して逃げた場合、窃盗未遂罪が成立する。○か×か?

解答

【解答4】 × 他人の家から自転車を盗み出して路上に出た時点で、他人の占有を排して財物を行為者又は第三者の占有に移したといえ、既遂に達している。【平3-27-イ改】

 

<問題5> Aは、Bを殺害するため、その腹部を包丁で1回突き刺したものの、致命傷を与えるには至らず、Bが血を流してもがき苦しんでいるのを見て、驚くと同時に怖くなってその後の殺害行為を行わなかった。この場合、Aには、殺人罪の中止未遂が認められる。○か×か?

解答

【解答5】 × 中止未遂が成立するためには、中止行為の任意性(中止行為が「自己の意思により」(刑43条ただし書)行われたこと)が必要であり、単に外部的な障害によって中止されるのではなく、自発的な意思によってなされたことが必要である。単に恐怖・驚愕のため殺害をやめた場合には、中止未遂は否定される(最決昭32.9.10)。【平21-24-ウ】

 

<問題6> 盗みの目的で、他人の家に侵入した上、手提げ金庫を発見してこれに近づいた場合、窃盗未遂罪が成立する。○か×か?

解答

【解答6】 ○ 判例は、住居侵入窃盗について、現に目的物に手を触れることを要せず、金品物色のためタンスに近寄った時点で、窃盗の実行の着手があったとする(大判昭9.10.19)。したがって、盗みの目的で、他人の家に侵入した上、手提げ金庫を発見してこれに近づいた時点で、窃盗の実行の着手があり、かつ、既遂に達していない。【平3-27-オ改】

 

<問題7> 宝石店から宝石を窃取する目的でショーウィンドーの中に手を入れて指輪をつかんで取り出そうとしたが、店員が来る気配を察して、ショーウィンドーの中に指輪を落として手を引っ込めた場合、窃盗未遂罪が成立する。○か×か?

解答

【解答7】 ○ 宝石店から宝石を窃取する目的でショーウィンドーの中に手を入れて指輪をつかんで取り出そうとした時点で、指輪についての占有侵害行為が開始されたといえ、実行の着手がある。また、店員が来る気配を察して、ショーウィンドーの中に指輪を落として手を引っ込めただけでは、指輪を自己の占有に移したとはいえず、既遂に達していない。【平3-27-エ改】

 

<問題8> Aは、就寝中のBを殺害するため、バットでその頭部を数回殴打したが、Bが血を流しているのを見て、驚くと同時に悪いことをしたと思い、119番通報をして救助を依頼したため、Bは救急隊員の救命措置により一命を取り留めた。この場合、Aには、殺人罪の中止未遂は認められない。○か×か?

解答

【解答8】 × 驚愕によってなされた中止行為には任意性がないが、驚愕だけでなくそれに反省が加わった場合には任意性が肯定される。判例によれば、刺した妻が多量出血するのを見て、驚愕すると同時に悪いことをしたと思って、119番通報して結果発生を防止した事例で任意性を肯定し、中止未遂としている(東京地判平8.3.28)。本問も同様の事例である。【平21-24-オ】

 

<問題9> 共同正犯者が実行行為に着手した後、一部の関与者について中止未遂が認められるためには、その関与者が自己の犯行を中止したことだけでなく、着手未遂の場合には他の共犯者の行為を阻止したこと、実行未遂の場合には自己及び共犯者の行為から生ずべき結果を阻止したことが必要である。○か×か?

解答

【解答9】 ○ 共同正犯者は、その共同行為によって実現されたところの全体について、共同者全員が正犯者の責任を問われる(刑60条)。したがって、共同正犯において、一部の関与者について中止犯が認められるためには、本肢のとおりとなる。【平13-23-オ】

 

<問題10> 被害者に傷害を負わせる意図で暴行に及んだところ、被害者が転倒し、頭部から血を流して失神したのを見て、死亡させてはいけないと思い、病院に搬送して治療を受けさせたため、脳挫傷を負わせるにとどまり一命を取り留めさせた場合には、傷害致死罪の中止犯が成立する。○か×か?

解答

【解答10】 × 傷害致死罪(刑205条)は結果的加重犯であり、結果的加重犯に未遂はないので、傷害致死罪に未遂の一態様である中止犯の成立は認められない。本肢では、傷害の意図で傷害の結果を生じさせているので、傷害(既遂)罪(刑204条)が成立する。【平13-23-エ】

 

<問題11> Aは、早朝に留守中の民家に盗みに入り、物色を始めたが、玄関に近づいた新聞配達員を帰宅した家人と誤認し、犯行の発覚を恐れ、何も盗まずに逃走した。この場合、Aには、窃盗罪の中止未遂は認められない。○か×か?

解答

【解答11】 ○ これも、中止行為の任意性の問題であり、犯行発覚を恐れて中止行為を行った場合には、任意性は認められない(大判昭12.9.21)。【平21-24-エ】

 

<問題12> Aは、Bを脅して現金を強奪するつもりで、けん銃を用意し、B宅に向かったものの、途中で反省悔悟し、けん銃を川に捨てて引き返した。この場合、Aには、強盗予備の中止未遂が認められる。○か×か?

解答

【解答12】 × 予備罪に中止未遂が認められるかどうかについて、判例は否定しており(最判昭29.1.20)、本問の強盗予備罪においても中止未遂は認められない。【平21-24-イ】

 

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