司法書士★合格ブログ

司法書士を知って、学んで、夢をかなえよう!

Read Article

司法書士試験<過去問題肢別チェック ■刑法(刑法総論 違法性)>

<問題1> 正当防衛の成立要件の一つとして、「防衛の意思」による行為であったことが必要とされるが、防衛の意思と攻撃の意思とが併存している場合の行為であっても、「防衛の意思」を欠くものではなく、正当防衛となり得る。○か×か?

解答

【解答1】 ○ 判例は、正当防衛の成立要件の一つとして、「防衛の意思」に基づく行為であったことを必要としている(大判昭11.12.7)。したがって、前段は、正しい。また、判例によると、防衛の意思と攻撃の意思とが併存している場合の行為であっても、「防衛の意思」を欠くものではない、としている(最判昭50.11.28)。したがって、後段も、正しい。【平18-27-エ】

 

<問題2> 正当防衛の要件として防衛の意思の存在を要しないとの考え方からすると、AがBを殺そうとしてけん銃を発射し、一方Bもたまたま、コート内に隠し持っていたけん銃を発射してAを殺そうとしていたところであったが、Aの弾丸が一瞬早く命中してBを殺害した場合、正当防衛が成立し得る。○か×か?

解答

【解答2】 ○ この考え方(防衛意思不要説)によると、本肢の場合、客観的には正当防衛状態にあるのだから、正当防衛が成立し得る。【平13-24-エ】

 

<問題3> Aは、Bとともに保険金詐欺を企て、Bの同意を得て、Bに対し、故意にAの運転する自動車を衝突させて傷害を負わせた。この場合、Aには、傷害罪は成立しない。○か×か?

解答

【解答3】 × 被害者が身体傷害を承諾した場合、傷害罪(刑204条)の違法性が阻却されると解される。しかし、その成否は、承諾の存在だけでなく、その承諾を得た動機、目的、身体傷害の手段、方法、損傷の部位、程度などの諸般の事情を照らし合わせて決すべきで、保険金詐取の目的で身体傷害の承諾を得た場合には、傷害罪の違法性は阻却されない(最決昭55.11.13)。したがって、Aには、傷害罪が成立する。【平18-25-ウ】

 

<問題4> 正当防衛行為は、急迫な侵害に対する反撃であるから、不作為による侵害に対する正当防衛が成立する余地はない。○か×か?

解答

【解答4】 × 「侵害」とは、他人の権利に対して、実害又は危険を与えることをいい、作為によると不作為によるとを問わない。例えば、住居に侵入して退去しない者を実力で戸外に引きずり出す行為にも正当防衛が成立する(大阪高判昭29.4.20)。【平4-26-イ】

 

<問題5> Aは、Bの同意を得て、Bが所有し、かつBが一人で居住する、住宅密集地にあるB宅に放火し全焼させた。この場合、Aには、放火罪は成立しない。○か×か?

解答

【解答5】 × 放火罪は、公共危険罪であるので、被害者の承諾(同意)があっても、違法性は阻却されないが、承諾(同意)に基づいて処罰規定は変わる。唯一の居住者であり、かつ、所有者である者の承諾(同意)を得て現住建造物に放火した場合、自己所有の非現住建造物(刑109条2項)に放火する場合と同視されるべきである。本肢では、B宅は住宅密集地にあり、公共の危険は生じているので、Aには、自己所有の非現住建造物等放火罪(刑109条2項)が成立する。【平18-25-ア】

 

<問題6> Aは、普段から仲の悪いBと殴り合いのけんかになったが、Bは、「金属バットを取ってくるから、そこで待っていろ。」と言って、いったんその場を立ち去った。Aは、BがAを攻撃するため、金属バットを持って再びその場にやって来ることを予期し、この際、Bを痛めつけてやろうと考え、鉄パイプを準備して待っていた。すると、案の定、Bが金属バットを持って戻ってきて、Aに殴りかかってきたので、Aは、Bを鉄パイプで殴りつけた。この場合、侵害の急迫性が認められないので、AがBを鉄パイプで殴りつけた行為には、正当防衛は成立しない。○か×か?

解答

【解答6】 ○ 正当防衛が成立するためには、侵害の急迫性が必要である(刑36条1項)。侵害が予見できる場合にこの急迫性の要件が満たされるかどうかが問題となるが、判例は、侵害の予期・予見があっても直ちに急迫性を失わせるものではないが(最判昭46.11.16)、それに加えて積極的加害意思がある場合には急迫性が否定されるとしている(最決昭52.7.21)。本問では、AはBが金属バットを持って再び戻ってくることを予期し、その際痛めつけようと鉄パイプを準備して待っていたのだから、Aには積極的加害意思が認められ、急迫性の要件は否定され、正当防衛は成立しない。【平21-25-ウ】

 

<問題7> Aは、知人のBと口げんかになった。Aは、Bが普段からズボンのポケットの中にナイフを隠し持っていることを知っており、きっとBはナイフを取り出して切りつけてくるだろうと考えた。そこで、Aは、自分の身を守るため、先制してBの顔面をこぶしで殴りつけた。この場合、侵害の急迫性が認められないので、AがBの顔面をこぶしで殴りつけた行為には、正当防衛は成立しない。○か×か?

解答

【解答7】 ○ 正当防衛が成立するためには、侵害の急迫性が必要である(刑36条1項)。侵害の急迫性とは、侵害が現に存在するか又は切迫していることをさし(最判昭46.11.16)、必ずしも現に侵害されていることを要しないが、過去や将来の侵害は含まれない。本問では、Bがナイフで切りつけているわけではなく、Aが勝手にBがそのようにするだろうと考えただけであるから、侵害の急迫性があるとはいえない。したがって、Aの行為には正当防衛は成立しない。【平21-25-エ】

 

<問題8> 住居侵入罪は、個人の住居の平穏を保護法益とするものであるから、被害者の承諾があれば、常に犯罪は成立しない。○か×か?

解答

【解答8】 ○ 住居侵入罪(刑130条)は、個人の住居の平穏を保護法益とし、被害者自ら処分し得る個人的法益に関するものであるから、被害者の承諾があれば、犯罪は成立しない。【平5-23-オ】

 

<問題9> AとBが口論中、Bは、Aがポケットに手を入れたのを見て、隠し持っているナイフを取り出すものと勘違いし、持っていたナイフでAに突きかかった。そこで、AはBの足を払い転倒させた。この場合、Aの行為について正当防衛が成立する。○か×か?

解答

【解答9】 ○ Bの行為は、誤想防衛にあたり、違法性は阻却されない。したがって、Bの行為は「不正」(=違法)といえ、AがBの足を払い転倒させた行為は、急迫不正の侵害に対するものであり、正当防衛が成立する。【平8-24-5改】

 

<問題10> 誤想防衛は、正当防衛の要件を満たさないので違法性を阻却しないが、刑は必ず減軽される。○か×か?

解答

【解答10】 × 急迫不正の侵害がないのにこれがあると誤信して防衛行為をする場合を誤想防衛という。誤想防衛は、正当防衛の要件を満たさないので違法性を阻却しないが、責任故意が阻却され、過失犯が成立することはあっても、故意犯は成立せず、刑の必要的減軽は問題にならない。【平4-26-オ】

 

<問題11> 正当防衛の成立要件の一つとして、急迫不正の侵害に対し自己又は他人の権利を防衛するためにした行為であったことが必要とされるが、突然に殴りかかられたのに対し、殴られるのを避けて逃げるために、そばにいた侵害者以外の第三者を突き飛ばして怪我をさせた行為は、正当防衛となり得る。○か×か?

解答

【解答11】 × 刑法36条1項の文言によると、正当防衛の成立要件の一つとして、急迫不正の侵害に対し自己又は他人の権利を防衛するためにした行為であったことが必要とされる。したがって、前段は、正しい。しかし、防衛行為は、侵害者に向けられた反撃でなければならない。反撃が第三者に向けられたときは、緊急避難(刑37条1項本文)の成立の問題となり得るが、正当防衛の成立の問題とはなり得ないのである。したがって、後段は、誤っている。【平18-27-ウ】

 

<問題12> 横領罪は、個人の財産を保護法益とするものであるから、被害者の承諾があれば、常に犯罪は成立しない。○か×か?

解答

【解答12】 ○ 被害者の承諾があれば、犯罪は成立しないといえるためには、承諾の内容が、被害者にとって承諾の可能な法益、すなわち、被害者自ら処分し得る個人的法益に関することを要する。横領罪(刑252条)は、個人の財産を保護法益とし、被害者自ら処分し得る個人的法益に関するものであるから、被害者の承諾があれば、犯罪は成立しない。【平5-23-ア】

 

<問題13> 正当防衛の要件として防衛の意思の存在を要するとの考え方からすると、攻撃の意思が併存していても防衛の意思を認めることはできるが、防衛に名を借りて積極的な加害行為に出た場合は、防衛の意思を欠くことになるので、過剰防衛として刑が減軽され、又は免除されることはない。○か×か?

解答

【解答13】 ○ この考え方(防衛意思必要説)に立つ通説・判例(最判昭50.11.28)によれば、攻撃の意思が併存していても防衛の意思を認めることができ正当防衛が成立するが、防衛の名を借りて積極的な加害行為に出た場合は、防衛の意思を認めることはできず、正当防衛は成立しない。過剰防衛は、「防衛の程度を超えた行為」(刑36条2項)をいい、防衛の意思を欠き元来正当防衛となり得ないような場合には、過剰防衛ともなり得ない。【平13-24-オ】

 

Return Top