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司法書士試験<過去問題肢別チェック ■刑法(刑法総論 構成要件)>

<問題1> すり犯が、人込みの中において、すりをする相手方を物色するために、他人のポケット等に手を触れ、金品の存在を確かめるいわゆる「当たり行為」をした場合、それだけでは窃盗罪の実行の着手は認められない。○か×か?

解答

【解答1】 ○ スリの場合、実際のスリが行われる前に、相手方を物色するために、他人のポケット等に手を触れ財布の存在を確かめる「当たり行為」がされることがある。この「当たり行為」の段階では、犯罪結果発生の現実的危険性が生じたとまでは言えないため、実行の着手があったとは認められない。「当たり行為」のあと、実際に被害者の財布をスリ盗ろうとしてポケットに手を差し伸べ、その外側に触れた時点で、窃盗罪の実行の着手が認められる(最決昭29.5.6)。【平20-25-イ】

 

<問題2> 河畔で分娩した母親が、嬰児を直ちに付近の砂中に埋めて窒息死させた後、その死体をその場に放置した場合、不作為による死体遺棄罪が成立する。○か×か?

解答

【解答2】 ○ 死体遺棄罪(刑190条)における遺棄は、通常、死体の場所的移転を伴うが、法律上の埋葬義務者については、単に死体をその場所に放置する不作為も、遺棄となる(大判大6.11.24)。母親には子に対して法律上埋葬義務があるので、河畔で分娩した母親が、嬰児を直ちに付近の砂中に埋めて窒息死させた後、その死体をその場に放置した場合、殺人罪(刑199条)のほか、死体遺棄罪が成立する。なお、両罪は併合罪(刑45条)となる(大判明44.7.6)。【平2-27-1改】

 

<問題3> 為替手形を偽造・行使して割引名下に現金を詐取しようとした場合、相手方に嘘を言って偽造手形の割引の承諾をさせたとしても、まだ偽造手形を相手方に示すなどして行使していなければ、詐欺罪の実行の着手は認められない。○か×か?

解答

【解答3】 × 詐欺罪も未遂犯が処罰される(刑250条、246条)。詐欺罪の実行の着手は、相手方の財物交付にむけた欺罔行為がされたときに認められる。手形を偽造・行使して割引名義のもとに現金を詐取しようとする場合、まだその手形を行使していなくても、相手方に割引を承諾させた以上、欺罔行為に着手したものと認められ、実行の着手ありとされる(大判昭2.3.16)。【平20-25-ウ】

 

<問題4> 土地に抵当権を設定し、その登記もしてあるのに、この事実を買主に告げないで土地を売却した場合、不作為による詐欺罪が成立する。○か×か?

解答

【解答4】 ○ 抵当権の登記のある土地を売却する際には、売主は、買主に対して、その土地に抵当権の負担のある旨を告げなければならない(大判昭4.3.7)。売主には法律上の作為義務の1つである売主等の地位に基づく作為義務が認められるからである。したがって、不作為による詐欺罪(刑246条1項)が成立する。【平2-27-3改】

 

<問題5> 窃盗の目的で他人の家に侵入し、金品の物色のためにたんすに近寄ったときには、窃盗罪の実行の着手が認められる。○か×か?

解答

【解答5】 ○ 本肢は、住居侵入窃盗のケースであるが、判例によれば、住居に侵入した段階ではまだ窃盗罪の実行の着手は認められず、本肢のように、金品物色のためにたんすに近寄ったときに実行の着手が認められる(大判昭9.10.19)。【平20-25-ア】

 

<問題6> 事務所の火気責任者が、自己の過失により出火させ、容易に消し止められるのに自己の失敗の発覚をおそれるあまり、延焼の危険を知りながらそのまま放置して立ち去り、事務所を全焼させた場合、不作為による放火罪が成立する。○か×か?

解答

【解答6】 ○ 自己の過失により出火させた者には、法律上の作為義務の1つである先行行為に基づく作為義務があり、容易に消し止められるのに自己の失敗の発覚をおそれるあまり、延焼の危険を知りながらそのまま放置して立ち去ることは、放火行為にあたる(最判昭33.9.9)。なお、本肢の主体は、事務所の火気責任者であり、一般人と比して、より法律上の作為義務が認められやすいといえる。【平2-27-2改】

 

<問題7> 不実な請求によるいわゆる訴訟詐欺を目的として、裁判所に対し訴えを提起したとき、すなわち、訴状を裁判所に提出したときには、詐欺罪の実行の着手が認められる。○か×か?

解答

【解答7】 ○ いわゆる訴訟詐欺の場合、裁判所に対し訴えを提起したとき、すなわち、訴状を裁判所に提出したときに、裁判所に対する欺罔行為が開始され、実行の着手が認められる(大判大3.3.24)。【平20-25-オ】

 

<問題8> 母親が、死んでもかまわないとの思いで、生後9日目の幼児に対して授乳させずに餓死させた場合、不作為による殺人罪が成立する。○か×か?

解答

【解答8】 ○ 親権者の子に対する監護義務が法令の規定(民820条)に明示されている場合で、母親には法律上の作為義務が認められる。したがって、母親が、死んでもかまわないとの思いで、生後9日目の幼児に対して授乳させずに餓死させた場合、殺人罪(刑199条)が成立する。【平2-27-4改】

 

<問題9> 保険金詐欺の目的で、家屋に放火したり、船舶を転覆・沈没させた場合には、まだ保険会社に保険金支払の請求をしていなくとも、詐欺罪の実行の着手が認められる。○か×か?

解答

【解答9】 × 保険金詐欺においては、保険を掛けてある家屋に放火したり、船舶を転覆・沈没させただけでは、実行の着手は認められない。さらに、保険会社に保険金を請求したときに実行の着手が認められる(大判昭7.6.15)。【平20-25-エ】

 

<問題10> 近所の子供が喧嘩をしているのをみつけ、このままではその一方が殴られてけがをするだろうと思ったが、かかわりあいになるのを嫌い、制止しないでその場を立ち去ったため、その子供が負傷した場合、不作為による傷害罪が成立する。○か×か?

解答

【解答10】 × 自分の子供ではない近所の子供に対しては喧嘩を制止する道徳上の作為義務はあるものの法律上の作為義務はない。したがって、近所の子供の喧嘩を制止しないでその場を立ち去ったため、その子供が負傷した場合、不作為による傷害罪(刑204条)は成立しない。【平2-27-5改】

 

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