司法書士★合格ブログ

司法書士を知って、学んで、夢をかなえよう!

Read Article

司法書士試験<過去問題肢別チェック ■憲法(精神的自由権)>

<問題1> 憲法が政教分離の原則を規定しているのは、基本的人権の一つである信教の自由を強化ないし拡大して直接保障することを明らかにしたものである。○か×か?

解答

【解答1】 × 判例は、政教分離の規定について、いわゆる制度的保障の規定であって、信教の自由そのものを直接保障するものではなく、国家と宗教との分離を制度として保障することにより、間接的に信教の自由の保障を確保しようとするものであるとしている(最判昭52.7.13)。【平22-2-ア】

 

<問題2> 憲法第82条は、裁判を一般に公開して裁判が公正に行われることを制度として保障するが、各人が裁判所に対して傍聴することを権利として要求できることまでを認めたものではないことはもとより、傍聴人に対して法廷でメモを取ることを権利として保障しているものでもない。○か×か?

解答

【解答2】 ○ 憲法82条の裁判の公開の規定は、裁判の公開という制度を保障したにすぎず、各人に裁判を傍聴することを権利として認めたわけではない。さらに傍聴人に対して法廷でメモを取ることも権利として認めたわけでもない。判例も、「憲法82条1項の規定は、各人が裁判所に対して傍聴することを権利として要求できることまでを認めたものでない。」又、「傍聴人が法廷においてメモを取る自由は、憲法21条1項の規定によって直接保障されている表現の自由そのものとは異なっている。」とした(最判平元.3.8)。【平20-2-イ】

 

<問題3> 裁判所が、表現内容が真実でないことが明白な出版物について、その公刊により名誉侵害の被害者が重大かつ著しく回復困難な損害を被るおそれがある場合に、仮処分による出版物の事前差止めを行ったとしても、憲法に違反しない。○か×か?

解答

【解答3】 ○ 裁判所という国家機関が出版物の事前差止めを行うのは、事前抑制禁止の法理(憲21条1項)に抵触する可能性がある。この点、裁判所による事前差止めであっても、その差止めの対象となる出版物が真実でないことが明白で、その公開により名誉侵害の被害者が重大かつ著しく回復困難な損害を被るおそれがある場合で、その差止めを受ける者の意見を聞く機会を原則与えるような手段を踏むのなら、憲法21条1項に違反しないというのが判例の立場である(最判昭61.6.11)。【平15-1-3】

 

<問題4> 裁判所が、他人の名誉を毀損した者に対し、事態の真相を告白し陳謝の意を表明する程度の謝罪広告を新聞紙に掲載することを命じたとしても、憲法に違反しない。○か×か?

解答

【解答4】 ○ 裁判所という国家機関が国民に対してその意に反して新聞紙に謝罪広告を掲載すべきことを命じるのは、国民の沈黙の自由(憲19条)に抵触するおそれがある。しかし、裁判所が、他人の名誉を侵害した者に対して、事の顛末を記述し、かつ、その結果、他人の名誉を侵害したことに対して陳謝の意を示すことを掲載すべきことを命じる程度のことは、その人の思想、良心に反する行為を強制するものとはいえない。よって、本肢のような裁判所の行為は、憲法19条に反しない(謝罪広告事件 最判昭31.7.4)。【平15-1-2】

 

<問題5> 政教分離規定の保障の対象となる国家と宗教との分離には、一定の限界があり、国が宗教団体に対して補助金を支出することが憲法上許されることがある。○か×か?

解答

【解答5】 ○ 津地鎮祭事件において判例は、現実の国家制度として、国家と宗教との完全な分離を実現することは、実際上不可能に近いものといわなければならず、政教分離原則を完全に貫こうとすれば、文化財である神社、寺院の建築物や仏像等の維持保存のため国が宗教団体に補助金を支出したりすることも疑問とされるに至り、それが許されないということになれば、そこには、宗教との関係があることによる不利益な取扱い、すなわち宗教による差別が生ずることになりかねないとして、政教分離規定の保障の対象となる国家と宗教との分離にもおのずから一定の限界があることを免れないとしている(最判昭52.7.13)。したがって、国が宗教団体に対して補助金を支出することが憲法上許されることがある。【平22-2-イ】

 

<問題6> わいせつ物頒布罪を定める刑法第175条は、性的秩序を守り、最小限度の性道徳を維持するという公共の福祉のための制限であり、表現の自由の保障に反しない。○か×か?

解答

【解答6】 ○ 表現の自由は絶対無制約なものではなく、公共の福祉(憲13条)により制限されるものであるから、性的秩序を守り、最小限度の性的道徳を維持することを趣旨とする刑法175条は、表現の自由に反せず合憲である(チャタレイ事件、最判昭32.3.13)。

 

<問題7> 集団示威行動について単なる届出制ではなく許可制を定めてこれを事前に抑制することは表現の自由に対する重大な制約といえるので、憲法第21条の趣旨から絶対に許されない。○か×か?

解答

【解答7】 × 東京都の公安条例が許可制という一般的制限を課しているため、表現の自由を侵害し違憲ではないかが問題となるが、集団行動による思想等の表現は暴徒化する危険性をはらんでいるという特徴を有しているため、その行為を事前に抑制することは必要最小限度の制約であり、当該許可制はその実質において届出制と異なるところがないので表現の自由の侵害にはならないとして、合憲とされている(最判昭35.7.20)。

 

<問題8> 報道機関が取材目的で公務員に対し、秘密を漏示するようにそそのかす行為は、それが真に報道の目的から出たものであり、その手段、方法が社会通念上是認されるものである場合に限り、正当な業務行為になる。○か×か?

解答

【解答8】 ○ 報道機関が取材目的で公務員に対して秘密の漏洩をそそのかした場合、公務員に対して根気強く執拗に説得ないし要請を続けることは、それが真に報道の目的から出たものであり、その手段・方法が法秩序全体の精神に照らし相当なものとして社会通念上是認されるものである限りは、実質的な違法性を欠くことになるが、その取材方法が社会通念上是認できない態様のものである場合には、正当な取材活動の範囲を逸脱し、違法性が阻却されないことになる(西山記者事件:最決昭53.5.31)。

 

<問題9> 報道機関の報道のための取材の自由は、憲法第21条の精神に照らし、十分に尊重に値するものであるが、適正迅速な捜査の遂行のため、捜査機関がテレビ局に対して犯罪現場が写っている放映済みの取材テープの提出を捜査の為に提出することを強制することは、当該テープが悪質な被疑事件の全容解明に重要な証拠価値を持つものであり、放映の機会が奪われるというものでなく、取材協力者のためその身元を秘匿する利益がほとんど存在せず、犯罪者の協力により犯罪現場を撮影したものである場合、憲法第21条第1項に違反しない。○か×か?

解答

【解答9】 ○ 報道の自由は憲法21条1項で保障される権利だが、取材活動の自由は憲法21条1項では保障されず憲法21条の精神に照らして十分尊重に値するものとされるにとどまる(博多駅テレビフィルム提出命令事件:最決昭44.11.26)。したがって、適正迅速な捜査を遂げるための必要性と報道の自由が妨げられる程度及び将来の取材の自由が受ける影響等の事情を比較考量して、捜査機関が報道機関の取材ビデオテープを差し押さえることも、適正迅速な捜査の遂行という要請の下、許される場合があり、捜査機関がテレビ局に対して犯罪現場が写っている取材テープの提出を強制することは、憲法21条1項に反しない(最決平2.7.9)。

 

<問題10> ある特定の宗教法人に対して国が解散命令を発することは、国が当該宗教法人と密接にかかわることになるから、政教分離の原則に違反し、許されない。○か×か?

解答

【解答10】 × 判例は、宗教法人に対する解散命令の制度は、専ら世俗的目的によるものであって、宗教団体や信者の精神的・宗教的側面に容かいする意図によるものではなく、その制度の目的も合理的であり、政教分離の原則に反しないとしている(最決平8.1.30)。【平22-2-オ】

 

<問題11> 憲法第21条第2項にいう検閲とは、行政権が主体となって、思想内容等の表現物を対象とし、その全部又は一部の発表の禁止を目的とし、対象とされる一定の表現物につき網羅的一般的に、発表前にその内容を審査した上で、不適当と認めるものの発表を禁止することを特質として備えるものとされているため、教科書検定は憲法第21条第2項に違反する。○か×か?

解答

【解答11】 × 憲法21条2項前段にいう「検閲」の意義について、判例は、「行政権が主体となって、思想内容等の表現物を対象とし、その全部又は一部の発表の禁止を目的として、対象とされる一定の表現物につき網羅的一般的に、発表前にその内容を審査した上、不適当と認めるものの発表を禁止することを、その特質として備えるものを指す」としている(最判昭59.12.12)。そして、本肢の教科書検定について、判例は、検定の対象となった教科書を一般図書として発行することを何ら妨げるものではなく、発表禁止目的や発表前の審査などの特質もないため、憲法21条2項で禁止されている検閲には当たらないとしている(最判平5.3.16)。

 

<問題12> 憲法第20条において国及びその機関がすることを禁じられている「宗教的活動」とは、宗教の布教、強化、宣伝等を目的とする積極的行為に限られず、単なる宗教上の行為、祝典、儀式又は行事を含む一切の宗教的行為を指す。○か×か?

解答

【解答12】 × 憲法20条3項の「宗教的活動」の意義については、①特定宗教の布教・強化・宣伝等を目的とする積極的行為に限られるとする見解②目的効果基準などを適用する見解③宗教上の行為、祝典、儀式又は行事を含むおよそ宗教的信仰の表現である一切の行為を包括するものとする見解がある。津地鎮祭事件において最高裁は、憲法20条3項にいう「宗教的活動」とは、およそ国及びその機関の活動で宗教とのかかわり合いをもつすべての行為を指すものではなく、そのかかわり合いが相当とされる限度を超えるものに限られるというべきであって、当該行為の目的が宗教的意義をもち、その効果が宗教に対する援助、助長、促進又は圧迫、干渉等になるような行為をいうものと解すべきであると判示し、上記②の見解に立っている(最判昭52.7.13)。【平22-2-ウ】

Return Top