第360条【不動産質権の存続期間】
① 不動産質権の存続期間は、10年を超えることができない。設定行為でこれより長い期間を定めたときであっても、その期間は、10年とする。
② 不動産質権の設定は、更新することができる。ただし、その存続期間は、更新の時から10年を超えることができない。
目次
【超訳】
① 不動産質権の設定契約を締結する場合、質権の存続期間は10年以内で定めなければならない。10年を超える期間を約定したとしても、その契約は無効ではなく、存続期間を10年と短縮して効力が生ずる。存続期間の定めのない契約は、設定後10年で消滅する。
② 不動産質権の存続期間の満了前に、存続期間を更新することができる。更新後の存続期間も10年以内でなければならない。
【解釈・判例】
存続期間が満了すると、不動産質権は当然に消滅する(無担保債権となる)。質権者は目的不動産の使用収益権を失い、不動産を質権設定者に返還しなければならない。また、競売をして優先弁済を受けることもできなくなる。
【比較】
期間に関する特約の比較
期間 | 更新の可否 | |
① 共有物の不分割特約(256条) | 5年内 | 更新可能(5年内) |
② 不動産質の存続期間(360条) | 10年内 | 更新可能(10年内) |
③ 買戻特約(580条) | 10年内 | 更新不可 |