第198条【占有保持の訴え】
占有者がその占有を妨害されたときは、占有保持の訴えにより、その妨害の停止及び損害の賠償を請求することができる。
目次
【超訳】
占有者は、占有の侵奪以外の方法で占有が妨害されている場合、妨害の停止と損害賠償を請求できる。
【解釈・判例】
1.妨害とは、占有者がなお占有を有しているが、その占有が部分的に侵害されている場合をいう。
2.妨害の停止とは、妨害者の費用をもって妨害を排除し、原状を回復することをいう。妨害停止請求権は、妨害者に故意・過失がなくても行使することができる。
3.本条の「妨害の停止」には原状回復請求権も含まれている。当該費用の負担は、妨害者が負担する(大判大5.7.22)。
4.妨害停止請求は、現在の妨害者を相手方としてする。直接の妨害者に限らない。妨害者からの譲受人も妨害停止請求の相手方となる。
5.本条の損害賠償請求は、不法行為に基づく損害賠償請求であると解されている。したがって、妨害者に故意・過失がある場合に限り、損害賠償請求をなし得る(大判昭9.10.19)。
【問題】
Aの自宅の隣接地にあった大木が落雷を受け、Aの自宅の庭に倒れ込んだため、Aは、庭に駐車していた車を有料駐車場に停めざるを得なかった。この場合、Aは、当該隣接地の所有者であるBに対し、占有保持の訴えにより大木の撤去を請求することができるが、損害賠償を請求することはできない
【平15-9-オ:○】