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「答練や模試を本試験だと思って受けたことが合格につながった」吉澤 綾子さん

合格体験記2013

「答練や模試を本試験だと思って受けたことが合格につながった」

吉澤 綾子さん

私は大学3年生の時に、就職活動をし始めましたが、特にやりたい仕事もなく、興味をひかれる業種もありませんでした。

両親にも相談し、自分でも調べていくうちに司法書士を知り、女性に向いているとのことから興味を持ちました。「合格率3%と言われているけれど、きっと努力すれば合格できるはず」と全く試験の厳しさを理解していませんでした。何も取り柄のない私が生きていくのには「手に職だ!これだ!」と思いました。父は不動産業を営んでいたので、司法書士の勉強をしたいと話すと、「父さんも昔は法律を勉強したかった。身内が法律家になってくれることが夢だった。イヤイヤ就職することはないから頑張れ」と応援してくれました。

インターネットで予備校を調べ、たくさんあったので迷いましたが、自分のペースで講義が受けられることと、受講料が安かったことから、クレアールを選びました。

最初の1年は、講義を見ることだけで精一杯で、過去問はおろか条文すら引いた事がありませんでした。
私はもともと勉強が得意ではなく、そもそも勉強する習慣が身についておらず、テキスト・過去問・条文のあまりの膨大さに、ただただ圧倒されました。そうして受けた初受験は大学4年生の7月、結果は散々でした。
でもなぜか、本試験中は不思議と楽しく、わくわくしました。全く勉強していなかったから気楽に受験できたこともありますが、もっと勉強して、もっといろいろ知りたいと、好奇心が湧き出したことを思い出します。

しかし、大学4年生になり、当時は就職難ではなかったので、友人達は次々と就職を決め、卒業旅行や遊びに誘われる機会が多くなりました。「悔いの残らない大学生活を送りたい。バイトをして予備校代を稼ぐので、勉強は卒業してから本格的にしたい。」と、ただ遊びたかっただけなのにもっともらしい言い訳をして両親を納得させ、翌年目標の講座は申し込まず、試験後から卒業までの時間をバイトと遊びに費やし、全く勉強しないまま大学を卒業しました。大学を卒業したので、勉強に専念できるため、初学者コースを一からやり直すことにしました。この時から、私の長い長い受験生活がようやくスタートしました。

本当に勉強の仕方が分からなかったので、先生方や友人に、いろいろな方法を教えてもらいました。合格体験記も多数読みました。
当時、私の周りにはたくさんの優秀な受験生がいて、手当たり次第に勉強方法を聞いて、ひたすらマネをし、必死で勉強しました。ただがむしゃらに周りの人のマネをして勉強した結果、ド素人だった私でも2年目で午前30問、午後25問、書式54点、総合点で2点足りずに不合格でした。悔しい思いもありましたが、こんな点数を今まで見たことがなかったので、自分が一番驚きました。この年から合格するまで4年という長い歳月が経ってしまいました。しかし、この年にまぐれでも受かっていたら、今となっては想像するのも恐ろしいくらい理解度が低く大変な思いをしていたと思います。

ほとんどの人が不合格だった時に真っ先にすることは、正答率や解答を見て、どの問題を間違えたかを反省することだと思います。しかし、その時に注意してほしいのは、正解できていた問題もすべて肢ごとに丁寧に精査してほしいということです。過去問から出たのか、条文なのか、応用なのか、その場で考えたのか。自分が勉強した方法で間違えていないかを自分の目で確かめることが大事です。全く同じ問題は翌年には出題されません。時間がかかっても、自分は何がわかっていて何がわかっていないのか、何が足りないかをまず自覚する。そのプロセスを経て初めて、来年合格するためにはどうしたらいいのかという具体的な計画を立ててほしいと思います。

私はこの、2点足りず不合格という年に、しっかり反省し計画を立てなかったために、次の年は択一は基準点ぴったり、書式足切りという結果になってしまいました。間違えた問題が多かった午後科目だけにスポットをあて、たまたま得意な問題が出題されただけなのに、午前はあまり時間を割かずに勉強したために、全く成績も伸びず、本試験を前に心が折れそうになりながら、諦めモードで本試験を受けたことを覚えています。

私は合格するまで他の人より長く時間がかかったタイプなので、あまり参考にはならないかもしれませんし、アドバイス出来る様な立場ではありませんが、法律の初心者から始めたので、ド素人なりにもがき、模索しながら勉強をしてきました。勉強をしていく中での印象や改善に当たっての工夫など、自分なりに思ったことを科目別にまとめましたので、少しでも参考にして頂けたら幸いです。

民法

ずっと苦手意識があり、一番苦労した科目です。

出題数が最も多く、範囲が広いため最も時間を費やすと思います。そのため、民法の克服が司法書士試験での最重要関門と言っても過言ではありません。私自身も、民法が早く克服できていればもっと早く合格出来ていたかもしれないなと反省しています。

基本的には過去問と条文です。あとは重要な判例です。過去問は1年目にはクレアールのものを12周くらい回しました。最初の2周は解説を読んでもわからないことだらけですが、立ち止まらず、高速で総則から相続まで回しました。そうすると、次第にどこが聞かれやすく、どこがあまり聞かれないのか全体像がわかってきました。

3周目くらいから、テキストと択一六法と登記六法を片手に過去問を解きました。出てきた条文と判例はすべて引き、わからないところはテキストを読むという地道な作業を繰り返しました。時間はかかりますが、この作業を丁寧にやる事が絶対的な基礎を作り上げ、結果的に早く合格に結び付くと思います。私は初学から3年目までにこの作業をやったつもりになり、丁寧にかつ突き詰めてやる事を怠ったことが、受験が長引いた最大の要因だと感じています。
もう何度も過去問を解いて、問題も答えも覚えてしまったというベテランの受験生の方も少なくないと思います。私もそうでした。すべての科目に言える事ですが、近年の本試験問題は過去問の知識だけで解ける問題は6割から7割くらいだと感じています。残りの4割は過去問の周辺知識です。満点を取る必要はないのだから、その4割のうちどれだけ過去問の応用ができるかが合格のカギだと思います。

ですが、民法に関しては満点を取るつもりで勉強することが必要です。落としてもやむを得ない問題は、初見でありその場で考えても答えが出せない推論、または個数でかつ初見の条文・判例が含まれているものだけと心得たほうがいいと思います。そうでない問題は1問たりとも失点は許されません。実際に私も身をもって体験しました。3年目くらいまでは、わかっていてもケアレスミスや読み間違いで失点を重ねていました。そのため午前択一の点数が安定せず、合格には程遠い存在でした。

合格した年は、答練、模試ともに民法の失点は1、2問に抑える事が出来るようになり、午前択一の点数は見違えるほど安定しました。それは、今までの勉強方法を見直し、新しい事をするのではなく、地道な作業を丁寧に一からやり直した成果でした。

会社法

最初はとっつきにくくて、勉強の仕方がわからず全体像を把握するのにはやや時間がかかりますが、一度仕組みと流れを理解すれば安定した点数を取る事ができる科目だと思います。会社法は基本的に条文です。2条の定義も非常に大切です。テキストでしっかり定義を押さえたら、条文の構造を良く理解することが重要です。徹底的に比較して、同じ規定、異なる規定を把握し、なぜそのような違いがあるのか理由を押さえることにより、見たことのない問題が出ても、正誤の判断が出来るようになると思います。自分で表を作りまとめるのはとても骨が折れる作業なので、テキストにある表などを自分なりにカスタマイズすることをお勧めします。

不動産登記法

まず、ひたすら過去問を回すことに尽きます。民法の次に出題数が多くボリュームがあるため、ある程度時間はかかりますが、民法に匹敵するくらいミスの許されない科目です。そして記述式に直結しますので、早めに克服しなければなりません。先例も大事なので市販の先例集を活用しました。

商業登記法

会社法の理解がある程度深まってきたら、克服するにはそう時間はかかりません。択一特有の、総則部分の暗記を中心に択一六法と登記六法で勉強しました。

民事訴訟法、民事執行法、民事保全法

法律の素人の私にはつかみどころがなく、条文も単調でわかりにくく、全体像を掴むまでに飽きてしまい、苦労しました。最後まで苦手意識があった科目です。

クレアールの古川先生の講義はわかりやすいので、講義を再度視聴しながら、テキストを中心にまず全体の流れを理解することに重点を置きました。それから条文を片手に過去問を回しました。執行と保全については1問ずつしか出題がないため、あまり深入りせず、表や図を活用し効率よく学習することが必要です。民訴は流れを知るために、図書館などで一般市民向けの簡単な民事裁判の仕組みが書かれている本を読むのもお勧めです。

憲法、刑法

憲法は過去問があまりないので、重要判例がたくさん載っている基本的な市販の問題集を活用していました。答練や模試の問題もためておいてまとめて解きなおしました。ただ、憲法はその場で考えて解く問題が多いので、対策はとしては重要判例の判決部分だけでなく、判旨まで抑えておけば十分と考えます。
刑法は過去問と、近年は事例による判例の問題がほとんどですので、テキストや登記六法に載っている判例、答練や模試で出てきた判例は押さえておくべきだと思います。

供託法、司法書士法

過去問をとにかく完璧になるまで回しました。テキストの表を活用して暗記をし、準備を怠らなければ確実に得点できます。他の科目で手一杯になり、時間をあまりかけられない分野ではあります。しかし、やったらやっただけ得点にすぐに反映されますし、合格レベルの受験生は失点しない分野だと思うので歯を食いしばって過去問を回すことが大切です。

まとめ

すべての科目に共通することですが、この試験は範囲がとにかく広く膨大な分量をこなさなくてはなりません。しかし、答練や模試を受ける度に知らない条文や判例などが出てきます。それらをその都度覚えようとすると、基礎が揺らぎ、知識が混ざったり、あいまいに覚えることにより混乱を招きます。それではせっかくの日々の勉強が台無しです。時には覚えない勇気も必要です。しかし、過去問を中心に丁寧に勉強ができていれば、自然と取捨選択ができるようになると思います。それがクレアールの非常識合格法の神髄だと思います。この試験で最も大切なことはバランスです。細かい知識を覚えて、得意な科目・分野を作るのではなく、苦手な科目・分野をなくすことです。知識は時間が経てばすぐに忘れてしまいます。そのため、私は直前期になったら、複数の科目を同時に勉強していました。繋がりのある科目はできるだけ同時に。常にそれを意識することにより、触れない期間を短くし、知識を定着させました。たとえば民法の担保物権の過去問を解きながら、余白にひな形や登記事項を書き出す。買戻特約や共有物分割、相続など択一を解きながらひな形を書くことで、書式のみの時間を取れなくても自然と手が動くようになります。会社法の択一も同じです。書式と結びつく分野が出てきたらひな形を書き出す。すべての科目に繋がりがあり、その際少し思いを巡らす、気になったり、あいまいであれば条文を引く、そんな日々の小さな積み重ねが、たった1回の本試験での緊迫した中でも、正しい答えを導ける思考を作ってくれます。

これから受験される方、あまり勉強に時間を取れない方は特に答練や模試の点数にこだわる必要はないと思います。大事なのは自分の勉強方法を確立し、それを信じ本試験で最高の結果を出すことです。しかし、ベテランの受験生には肝に銘じてほしいことがあります。答練や模試の結果はあくまでも本試験ではないけれど、それに近い結果を出すことにこだわって下さい。本試験は1年にたった1回しかありません。答練や模試は数回受験することができます。ずっと受験していると慣れてきて緊張感もなくなり、ただ受けるだけになってしまいます。ずっと緊張感を維持することは大変ですが、年が明ければあっという間です。そこで1回でも「今日は調子が悪いからできなくてもいいや、時間足りないから適当でいいや」と惰性で答練や模試を受けるくらいなら受ける意味はないと思います。過去問を解いていた方がよっぽど有用です。どんなに調子が悪くても、気分が乗らなくても、コンディションが悪くても、答練や模試の間だけでも必ず本試験だと思って臨んで下さい。これは決して難しいことではなく、そのようにマインドコントロールするだけなので誰でも心がけ次第で、できると思います。

私は物凄く本番に弱いです。でもどう克服していいのか全くわからず、一発勝負の本試験恐怖症でした。答練や模試でも安定して上位の成績が取れるようになった4年目。今年こそはと年内で仕事を辞め、年明けから自宅で猛勉強を始め、意気込んでいました。しかし、本試験の2日前から全く眠れなくなり、焦りから日中も勉強が手につかず、案の定前日も眠れず体調を崩し、ヨロヨロと試験会場に行ったものの、そこからはどうやって問題を解いたか記憶にないほど体調不良で結果は午前24問、午後24問という見たこともないような酷さでした。しばらく落ち込み何も手につきませんでした。母に泣きながら謝ると、「辛かったら辞めてもいいからね」と言われ、このまま続けるかとても悩みました。しかし、自分がすべてをかけて目指してきた司法書士という職業はどのようなことをしているのか、このまま何も知らずに勉強を続けるのも、辞めるのもどちらも嫌だったので、補助者として司法書士事務所に勤務することにしました。

補助者の仕事は想像していた以上に大変で、勉強していたことが役に立つことは少なかったけれど、とても楽しく、やはり初めて受験した時のようにわくわくしました。天職かどうかはわからないけれど、とにかくまた司法書士になりたいという気持ちが芽生えました。

昨年合格した、長く受験生活を共にしてきた友人にこう言われました。「肝心なのは、考え方だ。思考が一番大事だ。俺はその考え方を変えて合格できた。司法書士試験で求められていることは、何か。どんな資質か。その本質を見極めることが大事だ。勉強方法の改善だけに囚われずに、自分の本当の敗因は何か考えたらきっと合格が見えてくるよ。」本当にその通りだと思いました。自分の本番の弱さには気づいてはいましたが、どう克服していいかわからず、勉強方法の改善点ばかりに目を向けていました。そして先ほどのマインドコントロールをすることに至りました。もうベテランの受験生でしたから、答練や模試にも慣れ、知らず知らずに惰性で受けることが多くなっていました。しかし、友人に言われてから毎回どんなコンディションであっても、精神状態でも、常に本試験だと思い解答することだけを意識して臨みました。わからない問題だが、本試験ならどのように解くか、あの緊張感の中でどう思考を巡らせるか。たったこれだけのマインドコントロールで、成績は見違えるように安定しました。いつ本試験が来ても、今あるベストを尽くすこと。その意識は弱かった自分を変えてくれました。そして、同じ受験生である夫の影響もとても大きかったです。結婚して環境が変わり、来年は2人で合格しようと誓いを立てたものの、引っ越し等でバタバタし、慣れない家事に勉強とバイトとなかなか落ち着いて勉強できない私に、夫は家事なんて適当でいいし、俺も手伝うから勉強に専念してくれと優しく気遣ってくれました。妻としてはぐうたらでしたが、夫とはよきライバルでもあったので、危機感をもって、勉強に集中できました。夫はとても前向きで、私が後ろ向きな考えをしていると、いつも励ましてくれました。いつも自信満々な夫と一緒にいることで、私も自然と前向きになれました。試験前夜は一睡もできませんでしたが、不思議と落ち着いていて、むしろリベンジできることにわくわくしていました。必要ないから寝なかったくらいの気持ちでした。試験中は、まさに今年の本試験は私の為に作られたかのような印象を受けました。しかし、高ぶる気持ちを抑えながら、慎重に解くように努めました。商業登記の書式は全くわからず、余剰記載をしないようにわかることだけ書こうと腹を決めたのが功を奏しました。結局午前32問、午後31問、書式40.5点という足切りギリギリでした。

あと少し余計なことを書いていたら不合格だったと思うとひやっとしました。

発表まではドキドキでしたが、夫とダブル合格しているような気がしていたので、心はとても晴れやかでした。夫のおかげで本試験恐怖症を克服でき、本当に感謝しています。

私は、受験を始めたばかりのころは合格なんて夢のまた夢。合格する人は頭の作りが違うので私には無理かもしれない。と思っていました。しかし、ともに勉強した仲間が次々に合格し、実務に就き司法書士として活躍しているのを目の当たりしました。友人たちがみんなキラキラと輝いて見えました。自分も友人たちのようになりたい。そう思ってから勉強に対する取り組み方、考え方が変わり、合格する人は皆、頭の作りが違うのではなく覚悟が違うことに気づかされました。クレアールで沢山の人に出逢い、本当に幸せ者だと思います。講師の方々をはじめ、職員の方々みんな距離が近く、親身に相談に乗って下さり、親戚のような温かさでずっと支えてくださいました。本当に感謝しています。

受験仲間の親友たちにはずっと助けてもらいっぱなしで、感謝しても感謝しきれません。

辛い時は何も言わなくてもわかってくれて、本当に救われました。クレアールのおかげで泣いたり笑ったり、苦楽を共にした一生の素晴らしい仲間と出会うことができました。

そして、家族には長い間苦労をかけてきて、本当に申し訳ない気持ちと感謝の気持ちでいっぱいです。経済的な負担に加え、精神的にも辛い思いをさせてしまったけれど、家族の支えがあったから合格できました。本当にありがとう。

そして、夫のおかげで私も合格できました。出会えたこと、ずっとそばにいてくれることすべてに感謝しています。本当にありがとう。

今日まで私たちを支え、励まし、見守って下さったすべての方々に、月並みの言葉ではありますが、改めて感謝の気持ちを伝えたいと思います。これからは私たちが一人前の司法書士として成長し、少しでも恩返しできるように、これまで以上に夫婦で切磋琢磨しながら努力していきます。今後とも、末永く宜しくお願い致します。

長くなりましたが、最後までお読みいただきまして、本当にありがとうございました。

 

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