Read Article

「宅建から司法書士へステップアップ」 諸橋 仁智さん

・宅建に受かって次は司法書士

大学を中退した後、知人の紹介で勤めていた会社を個人的な事情で退職し、いわき市の実家に戻ってきたのは29歳の時でした。実家暮らしなら、多少給料が安くてもやっていけるだろうし、私が卒業した高校は地元では一番の進学校だったので、「(高卒とはいえ)働き口がないということはないだろう」と甘く考えて戻ってきたわけですが、現実は厳しく、私が最低限求める条件の就職口は見つけられそうにもないと気づかされて途方にくれていました。そんな時、母が大平光代先生の「だから、あなたも生き抜いて」という本を薦めてくれました。その本にとても感動した私は大平先生が最初に挑戦した資格である「宅建」を受験することにしました。それほど難しい試験ではなかったので高得点で合格することができ、調子に乗った私は「次は司法書士だー!」(大平先生も宅建の次に司法書士試験を受けている)と勢いにまかせて、司法書士試験受験を決めてしまいました。どんな仕事なのか、試験の難易度はどれくらいなのかなど調べる前でした。

・学習方法、心構え

初年度、合格までに必要な学習時間は2000時間程度だろうと当たりをつけた私は(何かで読んだ)本試験までの日数で割り算して1日の最低学習時間を7時間、目標は10時間(受講時間も入れて)と設定し、学習を開始しました。勉強し慣れない身で1日10時間机に向かうのは大変でしたが、「まずは勉強の質より量を大事にしよう、1日10時間勉強を習慣づけて、それから時間当たりの勉強の質を向上させていこう。」という方針のもと、「全然集中できない、ただボーっとしている」という時間が多いにしろ、決めた時間は机に向かう習慣を3ヶ月ぐらいかけて徐々に身につけました。この決まった時間勉強するというのが私の学習方法のポイントで、時間数だけでなく何時になったら「休憩」とか「お昼」とか「帰る」「寝る」なども徹底して決めた時間を守りました。休憩する時間になってもキリがいいところまでやってやめようと思いがちですが、時間になったら中途半端なところでもそこでやめて、休憩後に途中からまた始めると逆に能率が上がります。休憩する時間にピッタリとキリがいいところになってしまった場合は、あえて2,3分オーバーして先に進めてワザとキリが悪いところでやめます。このようにキリの悪いモヤモヤしたまま休憩に入ると、そこが気になって勉強に戻りたくなりますし、休憩後、勉強に戻るとすぐに世界に入れます。(「ドラゴン桜」という本を読んだら、これと同じやり方を勧めていたので私以外にも有効だと思われます。)

また、心構えというかモチベーションをあげる方法として、友人や親戚等に「こんな試験は絶対に合格する、落ちたら笑ってくれ」と強気な宣言をするのは非常にいい事でした。「友人等に笑われたくない」という一念が、ここぞというときに一踏ん張りさせてくれますし、勉強を邪魔するようなタイミングでのお誘いの電話も「ふざけんな、邪魔すんじゃねぇ!」とキレることで、みんなが不用意に電話してこなくなります。もっとも私は受験生活の途中で携帯電話やネット接続のプロバイダーなど解約してしまい、友人等との連絡手段自体を断ってしまいました。(これぐらいしないと決死の覚悟はできません)

・学習の中身

やったことは他の合格者達がしたことと一緒です。「テキスト」「条文(択一六法)」「過去問」の3つを果てしなく繰り返すだけです。「繰り返す」これが大事なポイントです。「読む」「書く」「マークする」などやり方はなんでも構わないと思います。とにかく「何回繰り返せたかで合否は決まるんだ」と私は思っています。私は2年間で全分野15~20回転はさせたと思います。

・得意だった記述式

なぜでしょうか?分かりませんが択一より得意でした。たぶん学習開始初期の段階から手をつけて、毎日1時間は記述の勉強に時間をさいていたのが、結果として実を結んだのだと思います。トータルで択一と記述の勉強時間の比は4:1ぐらいだったと思いますので、学習時間の5分の1ぐらいを記述に向けておけば、直前期にもそれほどバタバタしなくてすむのではないかと思われます。
「合格書式マニュアル(ひな形)」「合格書式マニュアル対応問題集」「連件式・一括式問題集(記述式ハイパートレーニングに改称)」を繰り返しました。

・暗記・・・、好きではないが

「どうやって暗記するの?」とか「暗記が得意でいいね」とか言われた気がしますが、結局は人より勉強量が多かったから暗記科目が得意だったのであって、私からすれば、憲法の学説問題など知識ではなく考えて解く問題を(何の対策もせずに)正解できる人がうらやましかったです(午前が得意な人はこのタイプだと思われます)。暗記は面倒くさいですが、やればやっただけ覚えることができるので、自分で暗記が苦手だと感じる方は単に努力不足だと認識してください。得意も不得意もないと思います。(暗記力がいい=努力している)

・1年目不合格。そして2年目へ

結局、不合格でしたが手ごたえを感じた1年目でした。直前期に実施される『実力完成総合答練』の最後の方では毎回合格ラインを超えていましたし、本試験も午前26問で足切りでしたが、午後は31問で記述の採点をしてもらえれば受かっていただろうと感じました。
本試験後の自己採点で午前足切りは確実だろうと予想し(合格予想ラインから判断)8月から勉強を再開しました。まず、自分の学習のやり方でも合格レベルまでいけることは確信した上で、では「1年目の失敗は何が悪かったのか」分析した結果、実力が足りなかったのではなく、「本試験で実力を発揮できなかったのが敗因だ」という結論に達し、2年目の受験生活に取り入れたのは、生活面における3つの改善点でした。

  1. 夜12時には寝て、朝型の生活リズムを作る
      (本試験の時間を意識して9:30~16:00に集中力をピークにする)
  2. 禁煙する
      (喫煙者が禁煙すると合格率が高いらしい)
  3. 毎朝、神社へ行ってお参りする
      (勝負事は運が左右しますから、神頼みも大事かと・・・)

結局、勉強方法などはそのままで(午後の部で時間が足らなくならないように速読は取り入れました)2年目に突入しました。答練の成績は1年目とほぼ変わりませんでしたが、無事合格できたのは、生活面での3点の改善が功を奏したということでしょう。

・受験を考えている方へ

今、この試験の受験を通して、「確実に人生が変わった」と実感しています。司法書士になるからという意味ではありません。それまで流されてただダラダラと生きてきたのが、困難な人生に立ち向かい、格差の広がる社会において戦い抜く姿勢と自信が自分の中に根付いたのをハッキリと意識できます。半端な決意と努力では、「この試験を勝ち抜けない」のは当然ですが、受験を始める前の私は「努力」「根性」といった類の精神とはおよそかけ離れた人間でした。この試験と向き合う中で、必要に迫られて今までにない「努力」をして「根性」が養われました。つまり以前の私のようなダメ人間も、「この試験に挑戦すれば自ずと努力人間になれるであろう」と言い切れます。あとは人生が変わってしまうほどの戦いに身を投じられるかという決断だけではないでしょうか。厳しい戦いではありますが、合格した後の勝利の美酒は格別であることは私が保証します

・現在、合格へ向けて学習している方へ

「この試験は難関だが努力すれば必ず受かる試験だ」という言葉を多くの合格者が残していますが、私なりに付け足させていただきますと、「努力」といっても並大抵の努力では追いつきません。まったく息抜きをしないのはまずいですが、人生で「今が一番頑張る時なんだ」と肝に銘じて、テレビを見る時間や趣味に費やす時間は自粛しましょう。友人等には合格を宣言して、飲みや遊びを誘わないように頼みましょう。「本試験後に嫌というほど遊んでやる!」と思うことでさらにモチベーションが上がります。そして「今年で決める、負けてたまるか!」と強く念じて闘志を燃やしましょう。「今年ダメでも来年でいいや」といった弱腰では、まず合格はできないと思います。

・最後に

ここまで書いて、いかにも自分の力だけで合格できたような言い草ですが、もちろんサポートしてくださった方々の力添えなしで合格はありませんでした。お世話になった皆さまはもちろん、共に戦ってきた受験仲間やあまり応援してくれたとは言えない友人たちにも感謝したいと思います。本当にありがとうございました。

 

Return Top