司法書士試験<過去問題肢別チェック ■民事訴訟法等「訴訟の終了」>
問題1 訴えは、判決の確定に至るまで取り下げることができる。○か×か?
正しい。訴えは、判決が確定するまで、その全部又は一部を取り下げることができる(民訴261条1項)。【平4-4-1】
問題2 訴えの取下げが、口頭弁論期日において口頭でされた場合において、期日に出頭した相手方がその期日において異議を述べなかったときは、訴えの取下げに同意したものとみなされる。○か×か?
誤り。訴えの取下げが口頭弁論期日において口頭でされた場合に、相手方がその期日に出頭したときは訴えの取下げがあった日から2週間以内に相手方が異議を述べないときは、訴えの取下げに同意したものとみなす(民訴261条5項後段)。【平4-4-3】
問題3 原告が訴えの取下げをしたのが第一審の終局判決を受ける前であれば、後に同一の訴えを提起することも許される。○か×か?
正しい。本案について終局判決があった後に訴えを取り下げた者は、同一の訴えを提起することはできない(民訴262条2項、再訴の禁止)。したがって、訴えの取下げが終局判決を受ける前であれば、後に同一の訴えを提起することも許される。【平9-5-1】
問題4 訴えの取下げは、口頭弁論又は弁論準備手続の期日においても、書面でしなければ効力を生じない。○か×か?
誤り。訴えの取下げは、書面でするのが原則であるが、口頭弁論、弁論準備手続又は和解の期日においては、口頭ですることもできる(民訴261条3項)。【平20-4-ア】
問題5 被告が第1回の口頭弁論の期日に出頭した場合には、答弁書その他の準備書面を提出せず、かつ、弁論もせずに退席したときであっても、原告は、訴えを取り下げるには、被告の同意を得なければならない。○か×か?
誤り。訴えの取下げは、相手方が本案について準備書面を提出し、弁論準備手続において申述をし、又は口頭弁論をした後にあっては、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない(民訴261条2項本文)。したがって、被告が第1回の口頭弁論の期日に出頭しても答弁書その他の準備書面を提出せず、かつ、弁論もせずに退席したときは、被告は何ら争う態度を示していないので、原告は、被告の同意を得ずに訴えを取り下げることができる。【平20-4-エ】
問題6 被告が本案について口頭弁論をした後に原告が訴えを取り下げた場合において、被告が同意しない旨を明らかにしたときは、その後被告が改めて同意をしても、その訴えの取下げは効力を生じない。○か×か?
正しい。訴えの取下げについて、被告がいったん同意を拒絶したときは、その後これを撤回し、あらためて同意しても、訴えの取下げは効力を生じない(最判昭37.4.6)。【平26-5-ウ】
問題7 本案について第一審の終局判決があり、当該終局判決が控訴審で取り消されて差し戻された場合において、原告が差戻し後の第一審において終局判決があるまでに訴えを取り下げたときは、その原告は、同一の訴えを提起することができる。○か×か?
正しい。本案について終局判決があった後に訴えを取り下げた者は、同一の訴えを提起することができない(再訴禁止効、民訴262条2項)。第一審の本案判決が控訴審で破棄されて差し戻されている場合には、本案の終局判決は存在しない状態にあるので、訴えを取り下げても再訴禁止効は生じない(最判昭38.10.1)。【平26-5-オ】
問題8 裁判所は、口頭弁論の終結後、判決の言渡しまでの間においても、和解を試みることができる。○か×か?
正しい。裁判所は、訴訟がいかなる程度にあるかを問わず、和解を試みることができる(民訴89条)。すなわち、口頭弁論終結後、言渡しまでの間、さらには、判決言渡し後でも判決確定前までであれば和解を試みることができる。【平11-5-3】
問題9 請求の放棄及び請求の認諾は、いずれも弁論準備手続の期日において行うことができる。○か×か?
正しい。請求の放棄又は認諾は、口頭弁論等の期日(口頭弁論、弁論準備手続又は和解の期日)においてする(民訴266条1項、261条3項)。したがって、いずれも弁論準備手続の期日において行うことができる。【平22-5-ウ】
問題10 訴えの取下げがあると、訴訟係属は、遡及的に消滅するが、請求の放棄がされても、訴訟係属は、遡及的には消滅しない。○か×か?
正しい。訴えの取下げがあると、訴訟係属は、遡及的に消滅する(民訴262条1項)。これに対し、請求の放棄がされると、原告の請求に理由のないことが確定判決と同一の効力をもって確定される(民訴267条)ことから、請求の放棄がされても、訴訟係属は、遡及的には消滅しない。【平22-5-オ】
問題11 中間判決は、当事者の申立てがなくても、することができる。○か×か?
正しい。裁判所は、独立した攻撃又は防御の方法その他中間の争いについて、裁判をするのに熟したときは、中間判決をすることができる(民訴245条前段)。したがって、中間判決をするか否かは、裁判所の裁量に委ねられる。【平18-5-2】
問題12 被告が口頭弁論において原告の主張した事実を争わず、その他何らの防御の方法をも提出しない場合において、原告の請求を認容するときは、判決の言渡しは、判決書の原本に基づかないですることができる。○か×か?
正しい。被告が口頭弁論において原告の主張した事実を争わず、その他何らの防御の方法をも提出しない場合において、原告の請求を認容するときは、判決の言渡しは、判決書の原本に基づかないですることができる(民訴254条1項1号)。【平24-5-イ】
問題13 少額訴訟における判決の言渡しを口頭弁論の終結後直ちに行う場合には、判決の言渡しは、判決書の原本に基づかないですることができる。○か×か?
正しい。少額訴訟における判決の言渡しは、相当でないと認める場合を除き、口頭弁論の終結後直ちにする。この場合には、判決の言渡しは、判決書の原本に基づかないですることができる(民訴374条1項、2項)。【平24-5-ウ】
問題14 裁判所は、判決に計算違い、誤記その他これらに類する明白な誤りがあるときは、当事者による申立てがない場合であっても、更正決定をすることができる。○か×か?
正しい。判決に計算違い、誤記その他これらに類する明白な誤りがあるときは、裁判所は、申立てにより又は職権で、いつでも更正決定をすることができる(民訴257条1項)。【平24-5-オ】
問題15 判決理由中で反対債権が存在しないとして相殺の抗弁を排斥した判決が確定した場合には、後にこの債権を行使することができない。○か×か?
正しい。確定判決は、主文に包含するものに限り、既判力を有する(民訴114条1項)のが原則であるが、例外として、相殺の抗弁の成立不成立の判断については、判決理由中の判断にも既判力を生ずる(民訴114条2項)。【平8-2-3】
問題16 土地の所有者Aが、その土地を不法占拠して建物を所有しているBに対して、建物収去土地明渡請求訴訟を提起し、その勝訴の判決が確定した場合において、その事実審の口頭弁論終結後にBがCに対して建物を譲渡したときは、この判決の効力はCにも及ぶ。○か×か?
正しい。既判力は、次の者に及ぶ(民訴115条1項)。① 当事者② 当事者が他人のために原告又は被告となった場合のその他人③ ①②に掲げる者の口頭弁論終結後の承継人④ ①②③に掲げる者のために請求の目的物を所持する者建物収去土地明渡請求の口頭弁論終結後に、当事者から係争建物を譲り受けたCは、③に該当する。【平8-2-4】
問題17 裁判所がある訴訟要件を欠くことを理由に訴えを却下する判決を言い渡し、その判決が確定した場合には、その後当該訴訟要件が具備されたときであっても、同一の訴えを提起することはできない。○か×か?
誤り。訴訟判決の既判力は、訴訟要件一般の不存在を確定するものではなく、却下の理由とされた訴訟要件の不存在を確定するにとどまる。したがって、訴え却下の判決が確定した後であっても、当該訴訟要件が基準時後に具備したことを主張立証すれば、同一の訴えを提起することは可能である。【平26-4-ア】
問題18 一個の債権の数量的な一部についてのみ判決を求める旨を明示して訴えが提起された場合には、当該一部の請求についての確定判決の既判力は、残部の請求にも及ぶ。○か×か?
誤り。一個の債権の数量的な一部請求である旨が明示されている場合、訴訟物は明示された一部のみであり、当該一部請求についての確定判決の既判力は残部の請求には及ばない(最判昭37.8.10)。【平26-4-エ】
問題19 Aが、Bとの間の自動車の売買契約に基づき、Bに対し、代金300万円の支払を求める訴えを提起したところ、A勝訴の判決が確定したが、その後に、Bは、Aに対し、300万円の代金債務の不存在確認を求める訴えを提起した。後訴において、Bが「本件売買契約に基づく300万円の代金債務は、前訴の口頭弁論の終結後に弁済した。」旨を主張することは、前訴の判決の既判力に抵触しない。○か×か?
正しい。既判力の基準時は、事実審の口頭弁論の終結時とされ、既判力の基準時以前に主張し得た事由を判決確定後に主張することは認められないとされる(既判力の遮断効)。しかし、本肢のように基準時以後に生じた事由を主張することは、前訴の判決の既判力に抵触しない。【平13-4-ア】
問題20 Aが、Bとの間の自動車の売買契約に基づき、Bに対し、代金300万円の支払を求める訴えを提起したところ、A勝訴の判決が確定したが、その後に、Bは、Aに対し、300万円の代金債務の不存在確認を求める訴えを提起した。後訴において、Bが「本件売買契約の締結前に発生したBのAに対する貸金債権300万円をもって、本件売買契約に基づく300万円の代金債務と相殺する。」旨を主張することは、前訴の判決の既判力に抵触しない。○か×か?
正しい。基準時以前に主張し得た事由であっても、相殺権については基準時後の行使は許される(最判昭40.4.2)。相殺に供される自働債権は、訴求債権たる受働債権とは別個の債権であり、前訴たる請求権自体に付着するものではないからである。また、相殺は、訴求債権の存在を認めることを前提とした実質敗訴を導くものであり、前訴での行使を期待するのは酷だからである。【平13-4-オ】
問題21 XがYに対して提起した売買代金の支払を求める訴えの請求認容判決が確定した後に、Yが、当該売買契約はXの詐欺に基づくものであったとして、これを取り消すとの意思表示をした場合、Yは、後の訴訟において、この取消しを理由として代金支払義務はないと主張することができる。○か×か?
誤り。既判力の基準時は、事実審の口頭弁論終結時とされる。そして、取消権が前訴判決の基準時前に成立している場合、基準時後に取消権を主張することは、前訴判決の既判力に反し、許されない(最判昭55.10.23)。取消権は前訴で争われた法律行為自体の瑕疵に関するものであるから、前訴で主張すべきであり、その機会は十分に与えられていたといえるからである。したがって、Yは後訴において、取消権を主張することはできない。【平19-4-ア】
問題22 XがYに対して甲土地の所有権の確認を求める訴えを提起し、その請求を認容する判決が確定したが、その後、Yが、Xに対し、甲土地の所有権の確認を求める訴えを新たに提起し、その訴訟において、Xから甲土地の贈与を受けたと主張した。Yが主張する贈与の時期が、前訴の口頭弁論終結後である場合には、そのような主張を許しても既判力に反することにはならない。○か×か?
正しい。既判力の基準時は、事実審の口頭弁論終結時とされ、当事者は、後訴において、基準時までに生じた事由に基づく主張をすることは許されない。XY間の前訴の口頭弁論終結後にXから甲土地の贈与を受けた旨のYの主張は、基準時後に生じた事由に基づく主張であるから、これを許してもXY間の前訴の確定判決の既判力に反しない。【平21-4-ア】
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