司法書士試験<過去問題肢別チェック ■民事訴訟法等「訴訟の審理Ⅱ」>
問題1 自由心証主義は、主要事実及び間接事実のみならず、補助事実についても適用される。○か×か?
正しい。自由心証主義は、主要事実のみならず、間接事実及び補助事実についても認められる。【平13-3-イ】
問題2 自由心証主義の下では、弁論の全趣旨のみで事実認定をすることも許される。○か×か?
正しい。裁判所は、判決をするに当たり、口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果をしん酌して、自由な心証により、事実についての主張を真実と認めるべきか否かを判断する(民訴247条)。弁論の全趣旨とは、証拠資料以外の審理過程に現れた一切の状況をいい、陳述の態度などもこれに属する。裁判官の心証は、「口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果」によって形成され、証拠を基礎資料とせず、口頭弁論の全趣旨のみで事実認定をすることも許される。【平13-3-ウ】
問題3 当事者が当事者尋問において、自己に不利益な事実を認める陳述をした場合には、裁判上の自白が成立する。○か×か?
誤り。裁判上の自白は、口頭弁論(又は弁論準備手続)においてなされた陳述であり、事実が訴訟主体たる当事者の主張として弁論に顕出されたもの、すなわち訴訟資料である。これに対し、当事者尋問では、当事者は証拠調べの対象であり、その供述は訴訟資料とはならない(訴訟資料と証拠資料の峻別)ため、裁判上の自白は成立しない。【平3-5-2】
問題4 当事者が相手方の主張した事実を知らない旨の陳述をした場合には、その事実を争わないものとして、自白が擬制される。○か×か?
誤り。不知の陳述をした者はその事実を争ったものと推定される(民訴159条2項)。【平12-3-4】
問題5 自白が擬制されるかどうかは、口頭弁論終結時を基準として判断される。○か×か?
正しい。自白の擬制の判断は、口頭弁論の一体性から口頭弁論の終結時を基準とする。【平12-3-5】
問題6 証人尋問が終了した後は、証拠調べの申出の撤回は許されない。○か×か?
正しい。証人尋問が終了した後は、裁判官の心証に影響を与えており、申出の目的を達成しているから、証拠調べの申出の撤回は許されない(最判昭32.6.25)。【平2-5-3】
問題7 証拠の申出は、口頭弁論期日にしなければならない。○か×か?
誤り。証拠の申出は、攻撃防御方法の一種であるから、口頭弁論の期日又は争点及び証拠の整理手続で行うのが原則であるが、その期日前でもすることができる(民訴180条2項)。【平6-2-2】
問題8 証拠の申出は、証明すべき事実及びこれと証拠との関係を具体的に明示してしなければならない。○か×か?
正しい。証拠の申出は、証明すべき事実及びこれと証拠との関係を具体的に明示してしなければならない(民訴規99条1項)。裁判所が証拠申出の採否及びその限度を判断するためである。【平20-3-ア】
問題9 証拠の申出は、証拠調べが開始される前は自由に撤回することができるが、証拠調べが終了した後は一方的に撤回することはできない。○か×か?
正しい。証拠の申出は、証拠調べが開始される前は自由に撤回することができる。しかし、証拠調べが終了した後は、申出の目的を達しているので、撤回することはできない(最判昭32.6.25)。【平20-3-ウ】
問題10 当事者尋問は、裁判所が職権ですることができる。○か×か?
正しい。裁判所は、申立てにより又は職権で、当事者本人を尋問することができる(民訴207条1項前段)。【平元-4-4】
問題11 裁判所は、管轄に関する事項について、職権で、証拠調べをすることができる。○か×か?
正しい。裁判所は、管轄に関する事項について、職権で証拠調べをすることができる(民訴14条)。【平27-4-ア】
問題12 裁判所は、職権で、必要な調査を官庁若しくは公署、外国の官庁若しくは公署又は学校、商工会議所、取引所その他の団体に嘱託することができる。○か×か?
正しい。裁判所は、必要な調査を官庁若しくは公署、外国の官庁若しくは公署又は学校、商工会議所、取引所その他の団体に嘱託することができる(民訴186条)。【平27-4-オ】
問題13 後に尋問を受ける予定の証人であっても、裁判長の許可があれば、他の証人の尋問中に在廷することができる。○か×か?
正しい。証人尋問においては、証人は他の証人と隔離して尋問するのが原則であるが、裁判長は、必要があると認められるときは、後に尋問すべき証人に在廷を許すことができる(民訴規120条)。【平9-4-1】
問題14 受訴裁判所に出頭するために不相当な費用を要する者に対する受命裁判官による裁判所以外での尋問は、その者が証人である場合には行うことができるが、当事者本人である場合には行うことができない。○か×か?
誤り。裁判所は、証人が受訴裁判所に出頭するについて不相当な費用又は時間を要するときは、受命裁判官又は受託裁判官に裁判所外で証人の尋問をさせることができる(民訴195条2号)。この規定は、当事者尋問にも準用されている(民訴210条)。【平10-4-2】
問題15 正当な理由なく出頭しない者の勾引は、その者が証人である場合には行うことができるが、当事者本人である場合には行うことができない。○か×か?
正しい。裁判所は、正当な理由なく出頭しない証人の勾引を命ずることができる(民訴194条1項)。この規定は、当事者尋問には準用されていない(民訴210条参照)。ただし、当事者が正当な理由なく出頭しない場合は、裁判所に尋問事項に関する相手方の主張を真実と判断されるという不利益を受けることがある(民訴208条)。【平10-4-3】
問題16 証人尋問及び当事者尋問のいずれも、当事者の申立てにより又は裁判所の職権で、することができる。○か×か?
誤り。証人尋問は、当事者の申立てがなければすることができない。一方、当事者尋問は、当事者の申立て又は裁判所の職権ですることができる(民訴207条1項前段)。【平24-4-ア】
問題17 証人尋問及び当事者尋問のいずれについても、呼出しを受けた証人又は当事者が正当な理由なく出頭しない場合の制裁として、過料の規定が民事訴訟法に定められている。○か×か?
誤り。証人が正当な理由なく出頭しないときは、裁判所は、決定で、これによって生じた訴訟費用の負担を命じ、かつ、10万円以下の過料に処する(民訴192条1項)。一方、当事者尋問における当事者が、正当な理由なく、出頭しないときは、裁判所は、尋問事項に関する相手方の主張を真実と認めることができる(民訴208条)。【平24-4-オ】
問題18 文書提出命令は、相手方当事者に対して発することはできるが、第三者に対して発することはできない。○か×か?
誤り。文書提出命令の申立ては、相手方又は第三者の所持する文書についてすることができる(民訴223条1項、2項)。【平8-4-2】
問題19 文書の成立の真正が証明されると、いわゆる形式的証拠力が認められることになるので、実質的証拠力、すなわち、文書の内容が真実であるという推定が働くことになる。○か×か?
誤り。文書の成立の真正が証明されると、形式的証拠力が備わるが、実質的証拠力(文書の記載内容の真実性)の推定が働くわけではない。あくまでも文書が作成者の意思に基づいて作成されたことが認められるだけであって、実質的証拠力の有無は、裁判官の自由心証によって定まる。【平15-3-エ】
問題20 書証の申出は、文書を提出してするか、文書提出命令の申立てをしてしなければならない。○か×か?
誤り。書証の申出は、挙証者自身が文書を所持する場合には、これを提出する方法(民訴219条前段)、相手方当事者又は第三者が文書を所持する場合には、文書提出命令の申立ての方法(民訴219条後段、221条)又は文書送付嘱託の申立ての方法(民訴226条)によって行う。【平19-3-5】
問題21 文書の提出を命ずる決定に対しては、当事者は、即時抗告をすることができない。○か×か?
誤り。文書提出命令の申立てについての決定に対しては、即時抗告をすることができる(民訴223条7項)。文書提出命令の許否に関する争いを迅速に解決する必要があるからである。【平4-1-2】
問題22 文書提出命令の申立てをするときは、文書の所持者が訴訟当事者であるか、又は第三者であるかにかかわらず、文書の提出義務の原因を明らかにしなければならない。○か×か?
正しい。文書提出命令の申立ては、①文書の表示、②文書の趣旨、③文書の所持者、④証明すべき事実、⑤文書提出義務の原因を明らかにしてしなければならない(民訴221条1項)。これは、文書の所持者が訴訟当事者であるか、又は第三者であるかを問わない。【平13-2-ア】
問題23 証拠保全の申立ては、相手方を指定することができない場合には、することができない。○か×か?
誤り。証拠保全の申立ては、相手方の表示、証明すべき事実、証拠、証拠保全の事由を記載した書面でするのが原則である(民訴規153条)が、相手方を指定することができない場合でも、することができる。この場合、裁判所が相手方となるべき者のために特別代理人を選任することができる(民訴236条)。【平11-3-2】
問題24 参加承継は、権利主張参加の方法によるので、従前の訴訟の当事者双方を相手方として訴訟に参加する申出をしなければならない。○か×か?
誤り。訴訟の係属中、その訴訟の目的である権利の全部又は一部を譲り受け、又は訴訟の目的である義務の全部又は一部を承継したことを主張する第三者は、独立当事者参加の方式で(民訴47条)、当事者になることができる。したがって、片面的参加の方式によって参加することができるため、当事者双方を相手方として訴訟に参加する申出をしなければならないわけではない。【平15-4-ウ】
問題25 参加承継によって新たに原告となった者は、従前の原告で訴訟から脱退した者が自白した事実に反する主張をすることができる。○か×か?
誤り。訴訟承継においては、承継人が承継時点における訴訟状態をそのまま引き継ぐ。したがって、承継人は、前主が自白した事実に反する主張をすることはできない。【平15-4-オ】
問題26 口頭弁論が終結した後に訴訟手続が中断した場合には、裁判所は、中断中であっても、判決の言渡しをすることができる。○か×か?
正しい。判決の言渡しは、訴訟手続の中断中であっても、することができる(民訴132条1項)。【平22-3-ア】
問題27 債権者である原告が、債権者代位権に基づき、債務者の被告に対する債権を代位行使している訴訟手続は、原告の債務者に対する債権が消滅したとしても、中断しない。○か×か?
正しい。債権者代位権を行使する代位債権者は、法定訴訟担当の一種に分類されるが、その実質は自己の権利の実現を目的とするものであり、民事訴訟法124条1項5号の資格当事者には当たらず、被保全債権が消滅しても同号の中断事由には当たらない。代位債権者が自己の債権を失った場合には、訴訟要件である当事者適格を欠き、訴え却下によって訴訟は終了する。【平22-3-イ】
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