司法書士試験<過去問題肢別チェック ■民事訴訟法等「各論」>
問題1 不動産の強制競売において、差押えがされた場合には、債務者は、不動産を使用し、又は収益することを禁止される。○か×か?
誤り。差押えは、債務者が通常の用法に従って不動産を使用し、又は収益することを妨げない(民執46条2項)。強制競売による差押えは、不動産の交換価値を把握することにその意味があるからである。【平3-6-5】
問題2 金銭債権についての不動産に対する強制執行につき、売却許可決定がされた後においては、強制競売の申立てを取り下げることはできない。○か×か?
誤り。民事執行法76条の規定は、売却許可決定後においても、買受人が代金を納付するまでであれば(民執79条参照)適用されるので、買受人(又は売却許可決定前の最高価買受申出人)及び次順位買受申出人の同意を得れば強制競売申立ての取下げをすることができる。【平7-6-4】
問題3 不動産の強制競売につき、債務者は、不動産の売却の手続において、買受けの申出をすることができない。○か×か?
正しい。債務者は、買受けの申出をすることができない(民執68条)。買受けの申出をするだけの資力があるならば、それをもって債権者に任意弁済すべきだからである。【平5-7-5】
問題4 不動産の強制競売において、売却許可決定の確定後、買受人が裁判所書記官の定める期限までに代金を執行裁判所に納付しないときは、執行裁判所は、買受人に対し、代金の支払を命ずることができる。○か×か?
誤り。代金不納付の場合、執行裁判所としては、配当等を実施することができないので、売却許可決定は、その効力を失う(民執80条1項)。【平9-6-5】
問題5 強制競売の開始決定がされた不動産について、差押えの登記後に抵当権の設定の登記をすることも可能であるが、その抵当権を有する債権者は、当該競売手続において配当を受けることができない。○か×か?
正しい。強制競売の開始決定がされた不動産について、差押えの登記後に抵当権の設定の登記をすることはできる(処分禁止の相対効)。しかし、差押えの登記後に抵当権の設定の登記を受けた債権者は、当該競売手続において配当を受けることができない(民執87条1項4号反対解釈、51条1項参照)。【平21-7-ウ】
問題6 執行裁判所は、買受人に対抗することができない権原により強制競売に係る不動産を占有する者に対しては、その者が債務者との関係で正当な占有権原を有する場合であっても、当該不動産を買受人に引き渡すべき旨を命ずることができる。○か×か?
正しい。執行裁判所は、代金を納付した買受人の申立てにより、債務者又は不動産の占有者に対し、不動産を買受人に引き渡すべき旨を命ずることができる。ただし、事件の記録上買受人に対抗することができる権原により占有していると認められる者に対しては、この限りでない(民執83条1項)。したがって、差押えの効力が生ずる前からの占有者で債務者に対する関係では正当な占有権原を有する者であっても、買受人に対抗できる権原を有しない者(例えば、対抗要件を具備していない賃借権者など)は引渡命令の相手方となる。【平21-7-オ】
問題7 強制執行は、その目的物が不動産であるか、又は動産であるかにかかわらず、第三者が目的物を占有する場合でも、することができる。○か×か?
正しい。不動産執行の場合、第三者が目的不動産を占有する場合でもすることができる。動産執行の場合、第三者が提出を拒まない限りすることができる(民執124条)。【平13-7-5】
問題8 債権執行は、債務者の普通裁判籍の住所地を管轄する地方裁判所が執行裁判所となり得る。○か×か?
正しい。債権執行については、第1次的には、債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所が、執行裁判所として管轄する(民執144条1項前段)。なお、この普通裁判籍がないときは、第2次的に、差し押さえるべき債権の所在地を管轄する地方裁判所が、執行裁判所として管轄する(民執144条1項後段)。【平2-1-4】
問題9 債権執行において、執行裁判所は、差押命令を発するにあたり、債務者又は第三債務者を審尋することができる。○か×か?
誤り。差押命令は、債務者及び第三債務者を審尋しないで発せられる(民執145条2項)。債権者がその債権について強制執行を企図していることが察知されて、債務者が処分行為に出ることを防ぐ必要があるからである。【平3-7-1】
問題10 金銭債権に対する強制執行において、差押命令は、差押えの執行を受けている金銭債権についても、更に発することができる。○か×か?
正しい。金銭債権に対する強制執行は、動産執行とは異なり、債務者に対する取立ての禁止及び第三債務者に対する債務者への弁済の禁止によってなされる(民執145条1項)ので、二重差押えも可能である(民執144条3項、149条)。【平8-6-2】
問題11 転付命令が確定した時点において、転付命令に係る債権が存在しなかったときは、差押債権者の債権及び執行費用が弁済されたものとみなされる効力は生じない。○か×か?
正しい。転付命令が確定すると、差押債権者の債権及び執行費用は、転付命令に係る金銭債権が存する限り、その券面額で弁済されたものとみなされる(民執160条)。したがって、転付命令が確定した時点において、転付命令に係る債権が存在しなかったときは、転付命令はその効力を生じない。【平18-7-5】
問題12 抵当権の実行としての競売の開始決定に対する執行異議の申立てにおいては、債務者又は不動産の所有者は、抵当権の不存在又は消滅を理由とすることができる。○か×か?
正しい。不動産担保権の実行の開始決定に対する執行抗告又は執行異議の申立てにおいては、債務者又は不動産の所有者は、担保権の不存在又は消滅を理由とすることができる(民執182条)。執行異議は、原則として手続上の瑕疵に対する不服申立方法である(民執11条)が、担保権の実行においては、債務名義を要しないため、権利の存在に高度の蓋然性があるとは必ずしもいえず、実体上の瑕疵も執行異議によって主張することができる。【平6-6-4】
問題13 担保不動産競売の申立てがされた不動産について、既に強制競売の開始決定がされているときは、執行裁判所は、担保不動産競売の開始決定をすることができない。○か×か?
誤り。担保不動産競売の申立てがされた不動産について、既に強制競売の開始決定がされているときは、執行裁判所は、更に担保不動産競売の開始決定をする(民執188条、47条1項)。【平23-7-ア】
問題14 担保不動産について不動産の所有者が不動産の価格を減少させ、又は減少させるおそれがある行為をしていた場合には、当該不動産の担保権者は、担保不動産競売の申立てをした後に限り、当該行為を禁止することを命ずる保全処分の申立てをすることができる。○か×か?
誤り。執行裁判所は、担保不動産競売の開始決定前であっても、債務者又は不動産の所有者若しくは占有者が不動産の価格を減少させ、又は減少させるおそれがある行為をする場合において、特に必要があるときは、当該不動産につき担保不動産競売の申立てをしようとする者の申立てにより、買受人が代金を納付するまでの間、当該行為を禁止することを命ずる保全処分をすることができる(民執187条1項本文、55条1項1号)。【平23-7-エ】
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