司法書士試験<過去問題肢別チェック ■不動産登記法「区分建物に関する登記」>
問題1 区分建物のみについて、敷地権が生じた後の日を登記原因の日とする不動産保存の先取特権保存の登記の申請はすることができない。○か×か?
誤り。不動産保存の先取特権保存の登記は、敷地権を生じた後の日を登記原因日付とするものであっても、区分建物のみについて申請することができる(昭58.11.10-6400号)。特別の先取特権は、その目的物のみに対して法律上当然に発生するものであり、「分離処分」に該当しないからである。【平2-18-1】
問題2 敷地権の表示が登記された区分建物についてのみ、強制競売の開始決定に係る差押えの登記をすることができる。○か×か?
誤り。敷地権の表示が登記された区分建物については、敷地権との分離処分が禁止されているため、区分建物のみを差押えの対象とすることはできず、区分建物と敷地権の目的たる土地を一体的に差し押さえなければならない。なお、敷地権が生ずる前に区分建物のみに設定された抵当権の実行としての差押えの登記は、区分建物のみに対して行うことができるので、そのことと混同しないように注意しなければならない。【平7-23-エ】
問題3 所有権を敷地権とする表示の登記をした区分建物及びその敷地権たる旨の登記がされた土地について、区分建物の表題部の所有者Aが死亡したときは、その相続人Bは、B名義での所有権保存の登記を申請することができる。○か×か?
正しい。区分建物についても、不動産登法74条1項1号による保存登記をすることは否定されていない。この登記は、敷地権には効力を及ぼさない。【平8-16-ア】
問題4 所有権を敷地権とする表示の登記をした区分建物及びその敷地権たる旨の登記がされた土地について、区分建物に敷地権の表示を登記した同一の一棟の建物に属する附属建物がある場合、その附属建物のみを目的とする抵当権設定の登記を申請することはできない。○か×か?
正しい。抵当権の目的は、独立した不動産である必要がある。付属建物は建物の一部であるので抵当権の設定登記はできない。【平8-16-エ】
問題5 地上権が設定されている土地の所有権を買い受けた者は、その地上権について敷地権たる旨の登記がなされているときでも、その土地について所有権移転登記を申請することができる。○か×か?
正しい。地上権が設定されている土地の所有権を買い受けた者は、その地上権について敷地権たる旨の登記がなされているときでも、その土地について所有権移転登記を申請することができる。地上権が敷地権であるときは、建物との分離処分が禁止されているのは敷地権である地上権であり、所有権の処分は禁止されていないからである。【平9-19-エ】
問題6 敷地権が賃借権である場合における、区分建物の登記記録の表題部に敷地権が登記された日よりも後の日で解除を登記原因とする賃借権設定登記の抹消は申請することができる。○か×か?
正しい。敷地権の目的たる権利が賃借権であるときにも、その賃借権の放棄や解除などで、消滅するときがある。その賃借権の抹消登記をした後には、敷地権の表示をそのままにしておくのは適当でないので、変更登記をする(不登51条)。【平9-19-オ】
問題7 区分建物についての登記記録の「敷地権の表示」欄には「平成18年4月1日敷地権」と記録されている場合に、区分建物のみを目的とし、「平成18年3月1日売買」を登記原因及びその日付として同日登記された所有権の移転の仮登記を、当該区分建物に関する敷地権の登記及び敷地権である旨の登記を抹消することなく、「平成18年3月1日売買」を登記原因及びその日付としてする所有権の移転の本登記を申請することはできない。○か×か?
正しい。敷地権の登記がされている区分建物については、当該建物のみを目的とする所有権移転の登記をすることはできない(不登73条3項)。これは、所有権移転の登記原因が敷地権となる前であっても、また、仮登記に基づく本登記でも異ならない。【平18-25-ア】
問題8 敷地権のない区分建物の表題部所有者から所有権を取得した者が当該区分建物について所有権の保存の登記を申請するときは、登記原因及びその日付を申請情報として提供することを要しない。○か×か?
正しい。所有権保存登記においては、敷地権付き区分建物について、不動産登記法74条2項によって申請する場合を除き、登記原因及びその日付は登記事項とはならない(不登76条1項)。したがって、敷地権のない区分建物について、不動産登記法74条2項によって所有権保存登記を申請する場合、登記原因及びその日付を申請情報の内容として提供することを要しない。【平19-20-ア】
問題9 敷地権付き区分建物について当該敷地権の目的である土地のみを目的とする区分地上権の設定の登記の申請は、当該敷地権が生じた後に当該区分地上権が設定された場合であっても、することができる。○か×か?
正しい。区分地上権は、本来的に土地のみを目的とするものであるから、区分建物と敷地権の一体処分の要請は働かない。したがって、区分地上権設定の日付が敷地権が生じた日より後の日であっても、当該設定にかかる登記を申請することができる(昭58.11.10-6400号)。【平19-20-ウ】
問題10 敷地権が生じた日よりも前の日を登記原因の日とする質権の設定の登記は、建物のみを目的とするものであっても、その申請をすることができる。○か×か?
正しい。敷地権付き区分建物は、建物のみを目的とする担保権に係る権利に関する登記をすることができない(不登73条3項本文)が、建物のみを目的とする質権に係る権利に関する登記であって当該建物の敷地権が生ずる前にその登記原因が生じたものについては、建物のみを目的とするものであっても、申請をすることができる(不登73条3項ただし書)。【平23-15-ア】
問題11 敷地権が生じた日よりも前の日を登記原因の日とする所有権に関する仮登記が土地のみにされている場合には、敷地権である旨の登記が抹消された後でなければ、その本登記を申請することができない。○か×か?
正しい。敷地権の目的となる前に登記原因が発生した場合には、土地のみについて所有権に関する仮登記を申請することができる(不登73条2項ただし書、3項ただし書)。しかし、当該仮登記に基づく本登記は、敷地権である旨の登記を抹消しない限り申請することはできない。【平23-15-オ】
問題12 区分建物の登記記録の表題部の「敷地権の表示」欄中の「原因及びその日付」欄に「平成24年6月15日敷地権」と記載されている場合、区分建物のみを目的として、「平成24年6月1日相続」を登記原因とする所有権の移転の登記を申請することができる。○か×か?
誤り。敷地権の登記がされている区分建物については、当該建物のみを目的とする所有権移転の登記をすることはできない(不登73条3項本文)。これは、所有権移転の登記原因が相続であり、かつ敷地権発生前であっても異ならない。【平24-19-3】
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