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独立開業司法書士インタビュー 遠藤友香先生(3)「受験時代を振り返って ~受験生へのメッセージ~」

仕事の調整と時間のやりくり

――ありがとうございます。司法書士さんが実際に仕事をしていく中で、いろいろなお客さんがいらっしゃると思います。例えば仕事の予定などを組む時、ここはもうお休みにして、どこかへ旅行に行く計画を立てるなど、仕事をうまく調整しようという時間のやりくりというのは、司法書士さんはよく自由業と言われますけれども、本当に自由に調整して組めるものなのですか。

遠藤:それも、その事務所の形態によると思います。私の事務所の場合、今司法書士は私だけなので、決済が入った場合自分しか動けませんから、平日のお休みを自分で組むということはできないです。直前まで待って仕事が入らなければ休めるという組み方しか、できませんね。ここは、今後改善していきたいと思っています。

――土曜、日曜や祭日などのお休みの日は比較的、自分でやりくりはできるのですか。

遠藤:そうですね。土日や祭日に関しては、基本的には自分で予定を組めます。

受験時代を振り返って

――分かりました。ありがとうございます。では、今度は少し時間をさかのぼって、受験時代を振り返っていただきたいと思います。

まず、受験回数と合格した年、そして合格するまでの間、実際、職務経験みたいなものがあったのか、お聞かせください。

遠藤:学生の時に記念受験をしました。受験回数は記念受験を除いて3回です。平成22年に合格しました。

――記念受験とは、司法書士試験に出題される科目をすべて勉強していないときに受験するお試し受験ですよね。

遠藤:はい、そうです。

――そうすると、大学生の時に初めて司法書士試験を受験したわけですね。

遠藤:そうです。

――大学卒業後は、そのまま就職しないで、勉強をしていたのですか。

遠藤:私は派遣社員をしていました。初めはアパレルだったので土日休みではなかったです。でも土日に答練を受けたかったことなどもあり、途中から土日休みで残業がないようなお仕事に変えながら、受験勉強をしていました。

――そうすると週に5日、フルタイムで働いていたのですか。

遠藤:はい、そうです。週5日、9時から17時まで働いていました。

――いわゆるOLの方と同じ、週5日働いて、仕事が終わった後と、お休みの日に勉強をしていたのですね。

遠藤:そうです。合格した最後の年だけ、仕事は辞めました。

――勉強に専念したのですね。

遠藤:最後の年だけ、確か3月に辞めました。どちらにしても、合格したら、勤められなくなると分かっていたので、最後の年はラスト3カ月勉強に集中するために、仕事は辞めました。

司法書士を目指した動機

――なるほど。大学生だと司法書士を知っている人は少なくて、大学生の時から司法書士を目指す人って、結構、少ないと思いますけれども、司法書士を目指した動機は、どんなところにあるのですか。

遠藤:私が司法書士という仕事を知ったのは、高校生の時でした。

――それは早いですね。

遠藤:その頃、たしか職業調べなどをする機会があり、いろいろな職業を調べていた時に、たまたま見つけて、その時、ちょうど簡裁代理権がどうこうと言われ始めたぐらいだったと思います。弁護士さんとは違うのだなというのを見ていて、平均年収も、その時は結構、いいことを書いてあったのです。

私はもともと、親が離婚する予定があったので、何かあった時に母を養わなければいけないという考えがあったのと、ちょっと安定した仕事にあこがれるところがありました。その本を読む限りは、弁護士さんはコツコツやっても、試験に向いている、向いていないというのがあるけれども、司法書士はコツコツやれば受かるみたいな感じで書いてあったので、「良さそうだなー」とその時は思いました。ただ、その時はマスコミにも興味があって、マスコミの方がいいと思って、大学はそちらの方面に進んだのです。

大学で勉強しているうちに、マスコミ関係に就職できても、その後、結婚、出産すると、続けることは難しいと思った時に、もう一度司法書士に興味を持ちました。他の選択肢もあったと思うのですが、これだなと思うと、あまり他のものが目に入らないタイプなので、「マスコミ駄目、司法書士」。これしかなくて、始めてしまったのです。後から、甘かったと思い知るのですけれども(笑)。

司法書士事務所の経営について

――分かりました。では、司法書士の道を選んで、勉強を始められたわけですが、司法書士を勉強している時に描いていた司法書士の仕事のイメージと、実際、自分が合格して、仕事をしていく中で、そのギャップのようなものはありますか。

遠藤:正直、受験生の時代にはあまりイメージはできていなかったです。

例えば、家族や知り合いで司法書士として勤めていたり開業している方がいらっしゃれば別だったのでしょうけれども、そういう方もいませんでしたし。最初は後見をすごくやりたいと思っていたのですけれども、現実に仕事をしてみると、正直、ボランティア精神だけでは仕事はできないということは、感じました。でも、それまで描いていた司法書士像よりも、私は実際に自分が体験している司法書士の方が良かったですし、充実していると思っています。

――なるほど。確かに、司法書士試験という難関の資格を突破して、事務所を経営していくとなると、やはり、ボランティア精神だけでは食べていけないですよね。

遠藤:はい。事務所を経営していくことは大切です。

――ある一定の報酬があって、初めて、いろいろなことができるし、仕事も広がっていけると思うので、それはすごくいいことだと思います。よく、司法書士の試験は、実務家登用試験と言われていて、割と受験勉強が実務に役立つ。特に登記関係などは受験勉強の知識が比較的実務につながると言われますけれども、実際はどのように感じられますか。

遠藤:やはり試験も仕事も、ミスしてはいけないじゃないですか。例えば記述式で、実体判断をするとある登記は入れないから、欄にバツをしなければいけないものとか、欄がずれると、全部得点がもらえないというのがあったじゃないですか。試験勉強をやっている時は過酷だなと思ったのですが、実際の仕事で、1本、登記を飛ばしたら、全部取り下げになったりします。その辺りの厳しさというのは、やはり、実務と試験が直結しているなと感じるところではあります。

ただし、例えば、お客さんとの接し方とか、営業の仕方とか、それはある意味試験と同じ位大事な実務ですけれども、試験勉強では全然やらないことですよね。だから、試験さえできれば、知識さえあれば、やっていけるお仕事では決してないということも、すごく感じます。試験勉強だけやって一発合格したみたいな方で、その後に大変な思いをしているという方も見ていますので、バランスは大事だと思います。

――あくまでも、司法書士試験の合格はスタートライン、そういうことですね。

遠藤:はい。それがなければできないけれども、それだけでもできないということは感じます。

受験生へのメッセージ

――分かりました。ありがとうございます。では、最後に、これから司法書士を目指そうと思っている方、もしくは、現在、受験勉強をしている方へメッセージやアドバイスのようなものがあれば、お聞かせ願いたいと思います。

遠藤:私は特別頭が良かったわけでも、知識があったわけでも、精神力が強かったわけでもないので、受験生活も長くて大変な思いをしました。正直やめられるものならやめたいと思ったこともあるのですが、やめられなくて、ずっと続けて、今があります。あの時、きつかったけれども、なんとかそこを乗り越えることが出来たという経験は、実務の世界に出てから、自信となってすごく今も役立っています。もちろん、実務は受験とは違う意味で大変なことはたくさんありますが、あの時それでも越えられたのだから、これもなんとかなるだろうと思えることというのは、すごく大事だと思うのです。だから、受験の生活が長引いている人や、今本当に精神的にきつい方というのは、その後それを役立てて、お仕事をしていくために必要な試練だと思うので、ぜひやりきってほしい。その先には多分、ご褒美が待っていると思いますから、頑張ってほしいです。

あとは合格圏内にいるからと言って、100%その年に受かる試験ではないということも、自分も勉強していて、すごく思いました。あと何点で泣く人がたくさんいるじゃないですか。私は、合格した前の年、2点足りなくて、受からなかったのですけれども、もし、その年に受かってしまっていたら、今はない。あのタイミングで受かったから、こういう事務所と巡り合って、そこにちょうど欠員ができたから今というのがあるのです。合格圏内まで入っていて、なぜ受からないのだろうと思っている方もたくさんいると思うのですけれども、必要な努力をした人には、自分にベストなタイミングで受かれるように、神様はちゃんとしてくれているはずなので...。それは自分も身を持って感じていることですし、こんな私でも努力が報われて今があるので、あとちょっと頑張って、諦めないで、続けてもらいたいと思います。

――今、受験勉強の時に途中、つらかったというお話、やめようと思ったこともあったと...。確かに、それでやめてしまう方はたくさんいると思うのですが、それをやめずに乗り越えたというのは、何か目標があったのか、夢があったのか、それとも何か特別な気持ちの持ち方などがあったのでしょうか。

遠藤:私たちの試験は、税理士さんの試験のように1科目毎に取れなくて、100かゼロかじゃないですか。受験時代がどんなに長くても、途中でやめたら、何も残らないのです。「途中まで頑張りました」というような印は何もなくて、それまでやってきたことというのは何の証明にもならないというのがまず一つあって、ちょっと意地になっていましたね。

それと、大学や高校の入試という勉強は、自動的に皆さんやるじゃないですか。周りがみんな大学行くから、自分も受験勉強する、みたいな。そういう意味では、私の中で司法書士の資格を取ると決めて、勉強するということは、初めて自分で決めて、自分の意志できちんとスタートしたことだったので、それを途中でやめてしまうという選択肢もあったのですが、納得できるところ、自分が自分自身と約束したところまではやりたいという気持ちがありました。合格した年が駄目だったら、もうやめようというのも決めていたので...。でも、その年に受かったから、やはり縁があったのでしょうね。

――やはり、それは受かった年に、「何がなんでも今年、合格勝ち取るぞ」という気持ちが、多分、最後の馬力になって、合格したのでしょうね。

遠藤:そうですね。でも結構、点数がギリギリでした(笑)。

――試験は受かればいいのです。逆に、合格最低点で受かるのが、一番効率がいいという意味でもあるので、受かれば、1位で受かろうが、ギリギリで受かろうが、関係のない話です。今日は本当に、いろいろなお話、特に女性ならではのお話もいろいろお聞かせ頂いて、特に女性の方には非常に参考になったのではないかと思います。

遠藤:そうだと嬉しいです。

――本当にいろいろと貴重なお話をお聞かせ頂き、ありがとうございました。まだ、開業して3年目ですから、これからご自身の目標に向かって事務所の規模を大きくして、仕事の質も高めて、そしてその分たくさん稼いで、世の中に貢献していただきたいと思います。本日はどうもありがとうございました。遠藤先生のご活躍を心から期待しています。

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