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独立開業司法書士インタビュー 小菅和彦先生(2)「受験時代を振り返って ~受験生へのメッセージ~」

司法書士試験を目指した経緯

小菅和彦先生

――ありがとうございます。今度は過去の受験時代を振り返っていただきたいと思います。受験回数や司法書士を目指した経緯、そして司法書士を目指している人は年齢層が幅広いため、司法書士の勉強を始める前の職歴をお持ちの方が多いのですが、小菅先生の経歴をお聞かせいただけますか。

小菅:私は以前は病院の技術職を20年位やっていました。ですから全く違った職業をしていたことになります。前職のときに何か独立した仕事をしたいと思いまして、最初は弁護士になりたくて司法試験の勉強を始めました。働きながら5年ぐらいやったのですが、あまり効率はよくなく、合格もできなかったわけです。いろいろあって仕事を辞めて、司法書士に目標を転向しました。司法書士の勉強をして、結果的に3年で合格ということでしたが、その3年間、仕事を全くやらないで勉強していた期間は1年、あと2年は、アルバイトなどをやりながら勉強していました。

――今、司法試験から司法書士へ転向というお話がありましたが、いわゆる法律系の資格に目を付けたという理由が多分何かしらあったのだと思います。それはどんな理由でしたのでしょうか。

小菅:例えば独立するために資金がかかりませんし、建築士などのように業務歴も必要ではありません。あとは勉強すれば受かる試験だったということです。イメージ的に格好いいというのもありました(笑)。

――なるほど。法律系の資格にたどり着くまでは、本屋さんなどでそういった資格の本はいろいろ研究されたのですか。

小菅:私の場合は本をいろいろ研究したことはありません。あるとき絶対に弁護士になりたいと思い、それしか見えていませんでした。なので弁護士をあきらめた時に、隣接法律家の司法書士に必然的にスライドしたわけですので、他の資格は考慮に入れていませんでした。

受験時代にイメージしていた司法書士の仕事

――よくわかりました。続いての質問に入ります。司法書士試験の勉強を開始した時点では、どれぐらい資格や業務内容のイメージができているかということは個人差があると思いますが、実際、勉強していたときの司法書士という仕事のイメージと、実際に合格して司法書士として業務に従事するうえでの違いやギャップを感じることはありますか。

小菅:ギャップを感じるものと感じないものとがあります。裁判業務はイメージどおりでした。私は当初から裁判所に対する訴訟や各種申立て業務などをやりたいと思っていましたし、勉強もそういうつもりでやっていましたので、実際の仕事は、ほぼ当初のイメージどおりでした。また裁判所では、司法書士も"先生"扱いをしてくれますので、やっていても気持ちがいいなというところがあります。

一方、登記業務はイメージと違いました。登記業務は、司法書士といえども単なる業者として見られているところがあります。例えば不動産会社や銀行から見るとそのようです。司法書士の登記業務は、単に手続業なので、手続きをしてくれる業者さんとして見られていると感じました。試験勉強中とはだいぶイメージが違いました。しかし、そこは割り切ってやらないと自分の仕事ですし、収入源でもありますから。ただ、今でもギャップを感じます。

――実際、司法書士としての業務内容でイメージしていたのと、実際にやってみてこんなギャップがあったというような仕事の内容面ではありますか。

小菅:登録免許税の計算ですかね。仕事の依頼の連絡が来ると、まず最初に登記費用見積書を作りますので、当然登録免許税の計算をします。試験には出てこない計算内容が多いので苦労します。お客様によく聞かれることも税金のことが多いです。例えば不動産を贈与したから贈与税がどうだとか、不動産取得税がどうだとかいう質問が非常に多いです。受験時代に勉強していないことですから、もう少し税金のことを司法書士試験の科目として増やしてもいいのではないかと思います。そこは当初のイメージとはギャップを感じます。

――試験勉強ではあまり出ていないようなことを聞かれたときは、実際どのようにして対処していくのですか。

小菅:分からないときは、正直に「後で調べて連絡します」という対処をすべきです。分からないから悩んでいる表情を出してしまったり、私にはできませんと断言すると、お客様は去っていきます。もっとも、分からないときであっても、分かっているふりをすることもテクニックとしては大事です。ただ、後で必ずフォローアップしなければなりませんけれども...。

――仕事柄やはり税理士さんやほかの士業の方とネットワークというのは作っているものですか。

小菅:やはり税理士とのネットワークは必要だと思います。私は税理士と行政書士とは、パイプを持っています。弁護士はあまり業務的につながることはないです。

――税理士さんや行政書士さんとは、どのようにしてつながりを作るのですか。

小菅:行政書士は以前に勤めていた法人で一緒に働いていたメンバーなので繋がっています。税理士は地元の商工会などの会合で名刺交換をして知り合った方です。

――そういった方との繋がりは何かの機会で接点を持って、そこからビジネスがお互い繋がっていくということですか。

小菅:それはあります。お互いギブ・アンド・テイクなので、お互いが求めていると思います。

――そうしますと、逆に税理士さんからお客さんの紹介もあるわけですか。

小菅:はい。あります。

受験生へのメッセージ

――ありがとうございます。では最後に、これから司法書士を目指そうと思っている方、あるいは今勉強している方に対して、実際司法書士さんとして活躍されている小菅先生から何かメッセージ、アドバイスがありましたらお願いします。

小菅:世間的には、司法書士は行政書士と間違えられるぐらいですから、まだ知名度が高いとはいえません。とはいえ、最近の司法書士の業務の職域は広がってきているのも確かです。特に、家庭裁判所の業務が増えています。例えば、相続放棄や遺産分割、そして高齢者の増加に伴いに成年後見業務も増えてきました。また、成年後見業務において家庭裁判所は、司法書士を弁護士と同等という感じで見てくれています。

試験勉強はどちらかというと不動産登記に偏った手続的なことが多いし、登記を専門にやる人は今までと同じでいいでしょう。けれども、これからの司法書士は、成年後見業務のように社会的に求められている業務を積極的にやっていくべきだと思います。職域が広がれば、試験科目とは違う法律をたくさん学ばなければなりません。それはむしろやりがいであり、楽しいと思います。資格を取ってからがスタートです。資格を取ると、やらなければいけないこと、社会や人が求めていることが増えます。

やりがいがあっても、収入が比例して増えていくかどうかは、違う課題だとは思いますが、それなりの収入、普通のサラリーマンよりはちょっと上の収入は得られると思います。司法書士試験は覚えることがたくさんあり苦しい試験ですが、何とか乗り越えて欲しいです。この試験は、勉強していけば必ず受かる試験ですので、ぜひ受かっていただいて、司法書士として一緒にやっていきましょう。そして仲間として、司法書士の知名度も、業務の領域も、もっと広げていきましょう。

――本日は、お忙しいところ、貴重なお話を聞かせて頂きまして、誠にありがとうございました。小菅先生の今後のますますのご活躍を期待しております。

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