第583条【買戻しの実行】
① 売主は、第580条に規定する期間内に代金及び契約の費用を提供しなければ、買戻しをすることができない。
② 買主又は転得者が不動産について費用を支出したときは、売主は、第196条の規定に従い、その償還をしなければならない。ただし、有益費については、裁判所は、売主の請求により、その償還について相当の期限を許与することができる。
目次
【超訳】
① 買戻権は、買戻期間内に買戻権者(売主)の買主に対する意思表示によって行使する。買戻権の行使に際しては、買戻権者は、売買代金及び契約費用を提供しなければならない。売買代金に利息を付す必要はない。
② 買主又は転得者が不動産について費用を支出していた場合には、買戻権者は民法196条の規定にしたがって償還しなければならない。ただし、有益費については、買戻権者(売主)の請求によって裁判所は期限を許与することができる。
【解釈・判例】
1.買戻権の行使
買戻の意思表示は原則として買主に対してしなければならないが、買戻権の目的となっている不動産が第三者(転得者)に譲渡されている場合においては、買戻の意思表示は転得者に対して行わなければならない(最判昭36.5.30)。
2.効果
(1) 買戻しは契約の解除であり、買戻権の行使によって目的不動産の所有権は当然に買戻権者に復帰する。
(2) 買戻権の行使によって買戻権者に所有権が復帰すると、買主や転得者が設定した用益権や担保権は消滅する。