第2条【定義】

第2条【定義】

この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

一 会社

  株式会社、合名会社、合資会社又は合同会社をいう。

二 外国会社

  外国の法令に準拠して設立された法人その他の外国の団体であって、会社と同種のもの又は会社に類似するものをいう。

三 子会社

  会社がその総株主の議決権の過半数を有する株式会社その他の当該会社がその経営を支配している法人として法務省令で定めるものをいう。

三の二 子会社等

  次のいずれかに該当する者をいう。

 イ 子会社

 ロ 会社以外の者がその経営を支配している法人として法務省令で定めるもの

四 親会社

  株式会社を子会社とする会社その他の当該株式会社の経営を支配している法人として法務省令で定めるものをいう。

四の二 親会社等

  次のいずれかに該当する者をいう。

 イ 親会社

 ロ 株式会社の経営を支配している者(法人であるものを除く。)として法務省令で定めるもの

五 公開会社

  その発行する全部又は一部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設けていない株式会社をいう。

六 大会社

  次に掲げる要件のいずれかに該当する株式会社をいう。

 イ 最終事業年度に係る貸借対照表(第439条前段に規定する場合にあっては、同条の規定により定時株主総会に報告された貸借対照表をいい、株式会社の成立後最初の定時株主総会までの間においては、第435条第1項の貸借対照表をいう。ロにおいて同じ。)に資本金として計上した額が五億円以上であること。

 ロ 最終事業年度に係る貸借対照表の負債の部に計上した額の合計額が二百億円以上であること。

七 取締役会設置会社

取締役会を置く株式会社又はこの法律の規定により取締役会を置かなければならない株式会社をいう。

八 会計参与設置会社

  会計参与を置く株式会社をいう。

九 監査役設置会社

  監査役を置く株式会社(その監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがあるものを除く。)又はこの法律の規定により監査役を置かなければならない株式会社をいう。

十 監査役会設置会社

  監査役会を置く株式会社又はこの法律の規定により監査役会を置かなければならない株式会社をいう。

十一 会計監査人設置会社

  会計監査人を置く株式会社又はこの法律の規定により会計監査人を置かなければならない株式会社をいう。

十一の二 監査等委員会設置会社

  監査等委員会を置く株式会社をいう。

十二 指名委員会等設置会社

  指名委員会、監査委員会及び報酬委員会(以下「指名委員会等」という。)を置く株式会社をいう。

十三 種類株式発行会社

  剰余金の配当その他の第108条第1項各号に掲げる事項について内容の異なる二以上の種類の株式を発行する株式会社をいう。

十四 種類株主総会

  種類株主(種類株式発行会社におけるある種類の株式の株主をいう。以下同じ。)の総会をいう。

十五 社外取締役

  株式会社の取締役であって、次に掲げる要件のいずれにも該当するものをいう。

 イ 当該株式会社又はその子会社の業務執行取締役(株式会社の第363条第1項各号に掲げる取締役及び当該株式会社の業務を執行したその他の取締役をいう。以下同じ。)若しくは執行役又は支配人その他の使用人(以下「業務執行取締役等」という。)でなく、かつ、その就任の前十年間当該株式会社又はその子会社の業務執行取締役等であったことがないこと。

 ロ その就任の前十年内のいずれかの時において当該株式会社又はその子会社の取締役、会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員)又は監査役であったことがある者(業務執行取締役等であったことがあるものを除く。)にあっては、当該取締役、会計参与又は監査役への就任の前十年間当該株式会社又はその子会社の業務執行取締役等であったことがないこと。

 ハ 当該株式会社の親会社等(自然人であるものに限る。)又は親会社等の取締役若しくは執行役若しくは支配人その他の使用人でないこと。

 ニ 当該株式会社の親会社等の子会社等(当該株式会社及びその子会社を除く。)の業務執行取締役等でないこと。

 ホ 当該株式会社の取締役若しくは執行役若しくは支配人その他の重要な使用人又は親会社等(自然人であるものに限る。)の配偶者又は二親等内の親族でないこと。

十六 社外監査役

  株式会社の監査役であって、次に掲げる要件のいずれにも該当するものをいう。

 イ その就任の前十年間当該株式会社又はその子会社の取締役、会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員。ロにおいて同じ。)若しくは執行役又は支配人その他の使用人であったことがないこと。

 ロ その就任の前十年内のいずれかの時において当該株式会社又はその子会社の監査役であったことがある者にあっては、当該監査役への就任の前十年間当該株式会社又はその子会社の取締役、会計参与若しくは執行役又は支配人その他の使用人であったことがないこと。

 ハ 当該株式会社の親会社等(自然人であるものに限る。)又は親会社等の取締役、監査役若しくは執行役若しくは支配人その他の使用人でないこと。

 ニ 当該株式会社の親会社等の子会社等(当該株式会社及びその子会社を除く。)の業務執行取締役等でないこと。

 ホ 当該株式会社の取締役若しくは支配人その他の重要な使用人又は親会社等(自然人であるものに限る。)の配偶者又は二親等内の親族でないこと。

十七 譲渡制限株式

  株式会社がその発行する全部又は一部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要する旨の定めを設けている場合における当該株式をいう。

十八 取得請求権付株式

  株式会社がその発行する全部又は一部の株式の内容として株主が当該株式会社に対して当該株式の取得を請求することができる旨の定めを設けている場合における当該株式をいう。

十九 取得条項付株式

  株式会社がその発行する全部又は一部の株式の内容として当該株式会社が一定の事由が生じたことを条件として当該株式を取得することができる旨の定めを設けている場合における当該株式をいう。

二十 単元株式数

  株式会社がその発行する株式について、一定の数の株式をもって株主が株主総会又は種類株主総会において一個の議決権を行使することができる一単元の株式とする旨の定款の定めを設けている場合における当該一定の数をいう。

二十一 新株予約権

  株式会社に対して行使することにより当該株式会社の株式の交付を受けることができる権利をいう。

二十二 新株予約権付社債

  新株予約権を付した社債をいう。

二十三 社債

  この法律の規定により会社が行う割当てにより発生する当該会社を債務者とする金銭債権であって、第676条各号に掲げる事項についての定めに従い償還されるものをいう。

二十四 最終事業年度

  各事業年度に係る第435条第2項に規定する計算書類につき第438条第2項の承認(第439条前段に規定する場合にあっては、第436条第3項の承認)を受けた場合における当該各事業年度のうち最も遅いものをいう。

二十五 配当財産

  株式会社が剰余金の配当をする場合における配当する財産をいう。

二十六 組織変更

  次のイ又はロに掲げる会社がその組織を変更することにより当該イ又はロに定める会社となることをいう。

 イ 株式会社 合名会社、合資会社又は合同会社

 ロ 合名会社、合資会社又は合同会社 株式会社

二十七 吸収合併

  会社が他の会社とする合併であって、合併により消滅する会社の権利義務の全部を合併後存続する会社に承継させるものをいう。

二十八 新設合併

  二以上の会社がする合併であって、合併により消滅する会社の権利義務の全部を合併により設立する会社に承継させるものをいう。

二十九 吸収分割

  株式会社又は合同会社がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部を分割後他の会社に承継させることをいう。

三十 新設分割

  一又は二以上の株式会社又は合同会社がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部を分割により設立する会社に承継させることをいう。

三十一 株式交換

  株式会社がその発行済株式(株式会社が発行している株式をいう。以下同じ。)の全部を他の株式会社又は合同会社に取得させることをいう。

三十二 株式移転

  一又は二以上の株式会社がその発行済株式の全部を新たに設立する株式会社に取得させることをいう。

三十二の二 株式交付

  株式会社が他の株式会社をその子会社(法務省令で定めるものに限る。第774条の3第2項において同じ。)とするために当該他の株式会社の株式を譲り受け、当該株式の譲渡人に対して当該株式の対価として当該株式会社の株式を交付することをいう。

三十三 公告方法

  会社(外国会社を含む。)が公告(この法律又は他の法律の規定により官報に掲載する方法によりしなければならないものとされているものを除く。)をする方法をいう。

三十四 電子公告

  公告方法のうち、電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって法務省令で定めるものをいう。以下同じ。)により不特定多数の者が公告すべき内容である情報の提供を受けることができる状態に置く措置であって法務省令で定めるものをとる方法をいう。

目次

解釈

一 会社法の条文で「会社」という用語が使われている場合、株式会社、合名会社、合資会社、合同会社の全てが含まれる(1号)。

外国会社は本条1号の「会社」には含まれないのが原則である(2号)。例外として外国会社が含まれる場合は「会社(外国会社を含む。)」と条文上個別に明示される(例:2条33号)。

三四 会社法では、親会社・子会社の概念について、対象となる法人を株式会社に限定していない(3号、4号)。その判定基準については、議決権の過半数という形式基準ではなく、実質的に支配しているか否かという基準による(会施規3条1項、2項)。

五 発行する株式の全部又は一部の内容として、株式の譲渡制限規定を定款に設けていないため、会社の承諾を得ることなく自由に株式を譲渡できる株式会社を公開会社という(5号)。

→ 発行する「一部」の株式の内容として、株式の譲渡制限規定を定款に設けている場合、その会社は公開会社である(A種類株式とB種類株式を発行する旨の定款の定めがある株式会社がA種類株式にだけ株式の譲渡制限規定を設定した場合)。一方、発行する株式の「全部」の内容として、株式の譲渡制限規定を定款に設けている場合、その会社は公開会社でない会社(非公開会社)である。

六 大会社に該当するか否かの判断については、資本金及び負債の額について「最終事業年度に係る貸借対照表(438条2項参照)」に計上した額を基準とする。したがって、大会社の要件に該当するか否かの判断基準は、各会社のそれぞれの事業年度における定時株主総会の時となる。事業年度の途中で増資をして資本金の額が5億円以上になった場合や負債が200億円になった場合であっても、直ちに大会社に該当することにはならない。資本金の額や負債の額に変動があった後に事業年度が終了し、定時株主総会でその期の貸借対照表が承認され、確定した時に大会社となる。

監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定め(389条)がある会社は、監査役を置いていても、会社法上の監査役設置会社に当たらない(9号)。なお、この場合でも、監査役設置会社である旨の登記はしなければならない(911条3項17号)。

十三 種類株式発行会社とは、2以上の種類の株式について定款に定めを設けていることをいう(13号)。2以上の種類の株式を実際に発行している必要はない(184条2項参照)。

十五 以下の者は社外取締役に該当しない。

イ 現に会社又は子会社の業務執行取締役等である者及び就任前の過去10年間に会社又は子会社の業務執行取締役等であった者

* 業務執行取締役とは、①代表取締役、②代表取締役以外の取締役であって、取締役会の決議によって当該会社の業務執行取締役として選定された者、③上記①②以外の取締役であって、実際に会社の業務を執行した者をいう。

* 業務執行取締役等とは、業務執行取締役若しくは執行役又は支配人その他の使用人をいう。

ロ 過去10年間のいずれかの時に会社又は子会社の業務執行取締役でない取締役、会計参与又は監査役であった場合は、当該業務執行取締役でない取締役、会計参与又は監査役への就任前の過去10年間に会社又は子会社の業務執行取締役等であった者

ハ 親会社等(自然人であるものに限る)又は親会社等の関係者である者

* 関係者とは、親会社等の取締役若しくは執行役又は支配人その他の使用人である者をいう。

ニ 兄弟会社の関係者である者

* 関係者とは、兄弟会社の業務執行取締役若しくは執行役又は支配人その他の使用人である者をいう。

ホ 当該会社の関係者又は親会社等(自然人であるものに限る)の配偶者又は2親等内の親族である者

* 関係者とは、当該会社の取締役若しくは執行役又は支配人その他の重要な使用人である者をいう。

問題

問題

比較

公開会社と公開会社でない会社

公開会社

公開会社でない会社

株式に関する

規律

発行可能株式総数の増加(113条)

4倍制限あり

4倍制限なし

議決権制限株式(115条)

発行済株式総数の2分の1以下

制限なし

役員等選解任権付種類株式(108条1項9号)

発行できない

発行できる

属人的株式の定め(109条2項)

不可

株券の発行時期(215条)

株式発行後遅滞なく発行

請求されるまで発行しないこと可

募集株式発行の決議機関(199条、201条、202条)

取締役会の決議

株主総会の決議

新株発行無効の訴えの提訴期間(828条1項2号)

6か月以内

1年以内

株主総会に

関する規律

招集通知の期限(299条)

原則2週間

原則1週間

株主提案権等(297条、303条、305条、306条)

6か月以上の株式の保有期間必要

株式保有期間の制限なし

機関に関する

規律

取締役会の設置(327条1項)

義務あり

義務なし

監査役の設置(327条2項)

義務あり

取締役会設置会社でも、会計参与を置けば監査役設置の義務を免れる。

取締役・監査役の任期(332条、336条)

取締役:原則2年

監査役:原則4年

定款で10年まで伸長すること可能

監査役の監査範囲の限定(389条)

定款の定め不可

定款の定め可(監査役会設置会社と会計監査人設置会社を除く)

大会社の監査役(328条)

監査役会は必ず設置

監査役会は不要

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