目次
問題
問1事業主が不渡手形により手形交換所で取引停止処分を受けたため離職した者は、離職の日が破産手続開始、再生手続開始、更生手続開始、整理開始又は特別清算開始の申立てがなされる以前であっても、特定受給資格者となる。(平成13年)
問2自己の責めに帰すべき重大な理由により解雇された者は、原則として特定受給資格者とならないが、公共職業安定所長による宥恕が行われた場合には、特定受給資格者となりうる。(平成17年)
問3賃金(退職手当を除く。)の額の3割が支払期日までに支払われなかったため退職した者は、特定受給資格者となる。(平成14年改)
問4期間6か月の労働契約を5回更新し、合計3年間継続勤務してきた者については、労働者が6回目の更新を希望せず、期間の満了によって雇用が終了した場合であっても、特定受給資格者となる。(平成17年)
問5女性労働者が同僚から職場環境が著しく害されるような性的言動を受け、事業主に苦情を申し立てたが改善されなかったため退職届を提出して離職した場合、特定受給資格者となる。(平成14年)
問6事業主が人員整理のために3か月の期間限定で希望退職の措置を新たに導入し、全従業員を対象に退職を勧奨した場合、これに応募して離職した者は特定受給資格者となる。(平成13年)
問7体力の衰えにより自己都合退職した者は、いかなる場合も特定理由離職者に該当することはない。(平成20年改)
問8労働契約の締結に際し明示された労働条件が事実と著しく相違したことにより離職した者は、特定理由離職者に当たらない。(平成22年)
問9契約期間を1年とし、期間満了に当たり契約を更新する場合がある旨を定めた労働契約を、1回更新して2年間引き続き雇用された者が、再度の更新を希望したにもかかわらず、使用者が更新に合意しなかったため、契約期間の満了により離職した場合は、特定理由離職者に当たる。(平成22年)
問10結婚に伴う住所変更のため通勤が不可能になったことにより離職した者は、特定理由離職者にあたる。(平成22年)
ポイント!!
● 特定受給資格者の範囲
Ⅰ 「倒産」等により離職した者① 倒産(破産、民事再生、会社更生等の各倒産手続の申立て又は手形取引の停止等)に伴い離職した者、② 事業所において大量雇用変動の場合(1か月に30人以上の離職を予定)の届出がされたため離職した者及び当該事業主に雇用される被保険者の3分の1を超える者が離職したため離職した者、③ 事業所の廃止(事業活動停止後再開の見込みのない場合を含む。)に伴い離職した者、④ 事業所の移転により、通勤することが困難となったため離職した者
Ⅱ 「解雇」等により離職した者① 解雇(自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇を除く。)により離職した者、② 労働契約の締結に際し明示された労働条件が事実と著しく相違したことにより離職した者、③ 賃金(退職手当を除く。)の額を3で除して得た額を上回る額が支払期日までに支払われなかったことにより離職した者、④ 賃金が、当該労働者に支払われていた賃金に比べて85%未満に低下した(又は低下することとなった)ため離職した者(当該労働者が低下の事実について予見し得なかった場合に限る。)、⑤ 離職の日の属する月の前6か月のうちいずれか連続した3か月以上の期間において、労基法36条3項に規定する限度時間に相当する時間数を超える時間外労働及び休日労働が行われたため離職した者、⑥ 離職の日の属する月の前6か月のうちいずれかの月において1月当たり100時間以上時間外労働及び休日労働が行われたため離職した者、⑦ 離職の日の属する月の前6か月のうちいずれか連続した2か月以上の期間の時間外労働及び休日労働時間を平均し1月当たり80時間を超えて、時間外労働及び休日労働が行われたため離職した者、⑧ 事業主が危険若しくは健康障害の生ずるおそれがある旨を行政機関から指摘されたにもかかわらず、事業所において当該危険若しくは健康障害を防止するために必要な措置を講じなかったため離職した者、⑨ 事業主が労働者の職種転換等に際して、当該労働者の職業生活の継続のために必要な配慮を行っていないため離職した者、⑩ 期間の定めのある労働契約の更新により3年以上引き続き雇用されるに至った場合において当該労働契約が更新されないこととなったことにより離職した者、⑪ 期間の定めのある労働契約の締結に際し当該労働契約が更新されることが明示された場合において当該労働契約が更新されないこととなったことにより離職した者、⑫ 上司、同僚等からの故意の排斥又は著しい冷遇若しくは嫌がらせを受けたことによって離職した者及び事業主が職場におけるセクシュアルハラスメントの事実を把握していながら、雇用管理上の措置を講じなかった場合、⑬ 事業主から直接若しくは間接に退職するよう勧奨を受けたことにより離職した者(従来から恒常的に設けられている「早期退職優遇制度」等に応募して離職した場合は、これに該当しない。)、⑭ 事業主が法令に違反し、妊娠中若しくは出産後の労働者又は子の養育若しくは家族の介護を行う労働者を就業させ、若しくはそれらの者の雇用の継続等を図るための制度の利用を不当に制限したこと又はそれらの制度の利用の申出をし、若しくは利用したこと、妊娠したこと若しくは出産したこと等を理由として不利益取扱いをしたことにより離職した者、⑮ 事業所において使用者の責めに帰すべき事由により行われた休業が引き続き3か月以上となったことにより離職した者、⑯ 事業所の業務が法令に違反したため離職した者
● 特定理由離職者の範囲
Ⅰ 期間の定めのある労働契約の期間が満了し、かつ、当該労働契約の更新がないことにより離職した者(その者が当該更新を希望したにもかかわらず、当該更新についての合意が成立するに至らなかった場合に限る。)(上記「特定受給資格者の範囲」のⅡの⑩又は⑪に該当する場合を除く。)(※)
(※) 期間の定めのある労働契約について、当該労働契約の更新又は延長があることは明示されているが更新又は延長することの確約まではない場合であって、かつ、労働者本人が契約期間満了日までに当該契約の更新又は延長を申し出たにもかかわらず、当該労働契約が更新又は延長されずに離職した場合が該当する。なお、労働契約において、当初から契約の更新がないことが明示されている場合は、基本的にはこの基準に該当しない。Ⅱ 以下の正当な理由のある自己都合により離職した者(※)① 体力の不足、心身の障害、疾病、負傷、視力の減退、聴力の減退、触覚の減退等により離職した者、② 妊娠、出産、育児等により離職し、雇用保険法第20条第1項の受給期間延長措置を受けた者、③ 父若しくは母の死亡、疾病、負傷等のため、父若しくは母を扶養するために離職を余儀なくされた場合又は常時本人の看護を必要とする親族の疾病、負傷等のために離職を余儀なくされた場合のように、家庭の事情が急変したことにより離職した者、④ 配偶者又は扶養すべき親族と別居生活を続けることが困難となったことにより離職した者、⑤ 次の理由により、通勤不可能又は困難となったことにより離職した者、ⅰ) 結婚に伴う住所の変更、ⅱ) 育児に伴う保育所その他これに準ずる施設の利用又は親族等への保育の依頼、ⅲ) 事業所の通勤困難な地への移転、ⅳ) 自己の意思に反しての住所又は居所の移転を余儀なくされたこと、ⅴ) 鉄道、軌道、バスその他運輸機関の廃止又は運行時間の変更等、ⅵ) 事業主の命による転勤又は出向に伴う別居の回避、ⅶ) 配偶者の事業主の命による転勤若しくは出向又は配偶者の再就職に伴う別居の回避、⑥ その他、上記「特定受給資格者の範囲」のⅡの⑬に該当しない企業整備による人員整理等で希望退職者の募集に応じて離職した者等
(※) 給付制限を行う場合の「正当な理由」に係る認定基準と同様に判断される。