労災保険法 20 特別加入 [労災法33条~36条]
目次
問題
問1数次の請負による建設の事業について、労働保険の保険料の徴収等に関する法律の規定に基づき労働保険の保険関係が一括されて元請負人のみが事業主となる場合には、下請負人については、労災保険の中小事業主等の特別加入を行うことはできない。(平成9年)
労災法33条1号、平成3年基発259号
数次の請負による建設の事業において元請負人のみが事業主となる場合であっても下請負人である中小事業主は、特別加入を行うことができる。
問2いわゆる一人親方等として特別加入をしている者は、同一の種類の事業又は同一の種類の作業に関しては、当該特別加入に係る団体以外の団体を通じたとしても重ねて特別加入をすることができない。(平成10年)
労災法35条2項、平成3年基発259号
異なる種類の事業又は作業に関しては、それぞれの団体等を通じて重ねて特別加入をすることができる。
問3特別加入におけるいわゆる一人親方等のうち、自動車を使用して行う旅客若しくは貨物の運送の事業又は原動機付自転車若しくは自転車を使用して行う貨物の運送の事業を労働者を使用しないで行うことを常態とする者など、住居と就業の場所との間の往復の状況等を考慮して厚生労働省令で定める者については、通勤災害に関する保険給付は行われない。(平成11年改)
労災法35条1項、労災則46条の22の2
いわゆる一人親方等のうち一部の者については、住居と就業の場所との間の往復の実態が不明確なため、通勤災害に関する保険給付は行われない。
問4海外派遣者について、派遣先の海外の事業が厚生労働省令で定める数以下の労働者を使用する事業に該当する場合であっても、その事業の代表者は、労災保険の特別加入の対象とならない。(平成24年)
労災法33条7号、昭和52年発労徴21号・基発192号
派遣先の海外の事業が厚生労働省令で定める数以下の労働者を使用する事業(「特定事業」という。)に該当する場合には、その事業の代表者として派遣する者も 海外派遣者の特別加入制度の対象となる。
ポイント!!
| 特別加入の要件 |
中小事業主等 | ① 特定事業の事業主及びその事業に従事する者であること② その事業について労災保険に係る保険関係が成立していること③ 労働保険事務の処理を労働保険事務組合に委託していること④ 中小事業主及び事業に従事する者を包括して加入すること⑤ 政府の承認を受けること |
一人親方等 | ① 一人親方及びその事業に従事する者又は特定作業従事者であること② 一人親方等の団体の構成員となっており、その団体を通じて加入すること③ 家族従事者がいる場合は、その者も包括して加入すること④ 政府の承認を受けること |
海外派遣者 | ① 海外派遣者であること② 日本国内の派遣元が労災保険に係る保険関係が成立していること③ 日本国内の派遣元が継続事業であること④ 政府の承認を受けること |
○ 特定事業とは、常時300人(金融業若しくは保険業、不動産業又は小売業を主たる事業とする事業主については50人、卸売業又はサービス業を主たる事業とする事業主については100人)以下の労働者を使用する事業である。○ 数次の請負による建設の事業において、徴収法の規定により保険関係が一括されて元請負人のみが事業主となる場合であっても、下請負人である中小事業主は、中小事業主等の特別加入をすることができる。○ 一人親方等の特別加入は、同種の事業又は作業について重ねて特別加入することはできない。ただし、異なった事業又は作業についてそれぞれ別の団体を通じて重ねて特別加入をすることはできる。○ 一人親方等のうち、自動車を使用して行う旅客又は貨物の運送の事業、漁船による水産動植物の採捕の事業、特定農作業従事者等、家内労働者等については、通勤災害が適用されない。○ 日本国内の有期事業から海外に派遣される者は、特別加入することができないが、日本国内の継続事業から海外において行われる有期事業に派遣される者は、海外派遣者の特別加入をすることができる。