労働基準法 17 1年単位の変形労働時間制 [労基法32条の4]
目次
問題
問1使用者は、労働基準法別表第1第13号の保健衛生の事業のうち常時10人未満の労働者を使用するものについては、1週間について44時間、1日について8時間まで労働させることができる。また、この特例の下に、1か月単位の変形労働時間制、フレックスタイム制及び1年単位の変形労働時間制を採用することができる。(平成17年)
労基法32条、32条の2、32条の3、32条の4
労働時間の特例の対象となる事業であっても、1週間当たりの労働時間を「40時間」以内としなければならない。
問2労働基準法第32条の4第1項に規定するいわゆる1年単位の変形労働時間制を採用する場合において、労使協定により、対象期間を1か月以上の期間ごとに区分することとしたときは、使用者は、当該区分による各期間のうち最初の期間における労働日と当該労働日ごとの労働時間を特定し、当該最初の期間以外の期間における労働日数と総労働時間を定め、当該最初の期間以外の各期間の初日の少なくとも30日前までに、個々の対象労働者の同意を得て、当該労働日数を超えない範囲内において当該各期間における労働日及び当該総労働時間を超えない範囲内において当該各期間における労働日ごとの労働時間を定めなければならない。(平成18年)
労基法32条の4第2項
「個々の対象労働者の同意」ではなく「その事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合にはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合には労働者の過半数を代表する者の同意」である。
問3労働基準法第32条の4に規定するいわゆる1年単位の変形労働時間制を採用する事業場において、その対象となる労働者が対象期間中に退職した場合、当該労働者について、当該労働させた期間を平均し1週間当たり40時間を超えて労働させた場合においては、その超えた時間(同法第33条又は36条第1項の規定により延長し、又は休日に労働させた時間を除く)の労働については、同法第37条の規定の例により割増賃金を支払わなければならないが、これを支払わない場合には、同法第24条違反となる。(平成17年)
労基法32条の4の2
なお、この規定は対象期間中に中途入退職した者に適用される規定である。
ポイント!!
採用要件 | 労使協定に一定の事項を定めること労使協定を行政官庁(所轄労働基準監督署長)に届け出ること |
労働時間の上限 | 対象期間を平均して1週間当たりの労働時間が40時間(特例事業についても40時間)内 |
● 労使協定により定めなければならない事項
① 労働させることができることとされる労働者の範囲② 対象期間(1か月を超え1年以内の期間に限る。)③ 特定期間(対象期間中の特に業務が繁忙な期間)④ 対象期間における労働日及び当該労働日ごとの労働時間(対象期間を1か月以上の期間ごとに区分することとした場合においては、最初の期間における労働日及び当該労働日ごとの労働時間並びに当該最初の期間を除く各期間における労働日数及び総労働時間)⑤ 有効期間(労働協約による場合を除く。)
● 対象期間における労働日数及び労働時間の限度
○ 労働日数の限度⇒対象期間が3か月を超える場合には、1年当たり280日(1年未満の場合は280×対象期間の日数/365日で計算)○ 1日及び1週間の労働時間の限度⇒1日10時間、1週間52時間(対象期間が3か月を超える場合には、労働時間が48時間を超える週が連続する場合の週数が3以下、3か月ごとに区分した各期間において労働時間が48時間を超える週の初日の数が3以下であること。)○ 連続して労働させる日数の限度⇒6日(特定期間については、1週間に1日の休日が確保できる日数)
ポイント+α
○ 対象期間を1か月以上の期間ごとに区分した場合には、最初の期間を除く各期間の初日の少なくとも30日前までに過半数代表者の同意を得て、書面により、労働日及び当該労働日ごとの労働時間を定めなければならない。○ 1年単位の変形労働時間制の対象期間は、1か月を超え1年以内であれば、3か月や6か月でもよい。○ 派遣労働者を派遣先において1年単位の変形労働時間制の下で労働させる場合には、派遣元の使用者が派遣元事業場において労使協定を締結しなければならない。