労働保険徴収法 3 請負事業の一括 [徴収法8条]
目次
問題
問1船舶製造の事業が数次の請負によって行われる場合には、徴収法の適用については、それらの事業は一の事業とみなされ、元請負人のみが当該事業の事業主とされる。(平成17年)
徴収法8条1項、徴収則7条
「船舶製造の事業」が数次の請負によって行われる場合でも、これらの事業が一括されることはない。
問2厚生労働省令で定める事業が数次の請負によって行われる場合の元請負人及び下請負人が、下請負事業の分離の認可を受けるためには、当該下請負人の請負に係る事業が建設の事業である場合は、その事業の規模が、概算保険料を算定することとした場合における概算保険料の額に相当する額が160万円未満、かつ、請負金額が1億8,000万円未満でなければならない。(平成27年)
徴収法8条2項、徴収則9条
「概算保険料の額に相当する額が160万円未満、かつ、請負金額が1億8,000万円未満」ではなく「概算保険料の額に相当する額が160万円以上であるか、又は、請負金額が1億8,000万円以上」である。
問3請負事業の一括の規定により元請負人が事業主とされる場合は、当該事業に係る労働者のうち下請負人が使用する日雇労働被保険者に係る印紙保険料についても、当該元請負人が納付しなければならない。(平成28年)
徴収法9条、徴収則10条
請負事業の一括により元請負人が事業主とされる場合であっても、下請負人が使用する日雇労働被保険者に係る印紙保険料を納付するのは、当該日雇労働被保険者を使用する下請負人である。
問4数次の請負によって行われる事業が一の事業とみなされ、元請負人のみが当該事業の事業主とされる場合においても、下請負人の申請に基づき厚生労働大臣が適当と認めたときは、元請負人の諾否にかかわらず、当該下請負に係る事業については、当該下請負人が元請負人とみなされる。(平成18年)
徴収法8条2項、徴収則8条
下請負事業の分離は、「元請負人及び下請負人が共同で」申請し、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。
ポイント!!
業 種 | 建設の事業 |
要 件 | ① 労災保険に係る保険関係が成立していること② 数次の請負によって行われる事業であること |
下請負事業の分離 | 下請負人を事業主とする申請をし、厚生労働大臣の認可があったときは下請負人を元請負人とみなす。○事業規模⇒概算保険料の額が160万円以上又は請負金額が1億8,000万円以上であること。○申請手続⇒元請負人及び下請負人が共同で、保険関係が成立した日の翌日から起算して10日以内に「下請負人を事業主とする認可申請書」を、所轄労働基準監督署長を経由して所轄都道府県労働局長に提出し、認可を受けなければならない。 |
○ 請負事業の一括は、要件に該当したときには法律上当然に行われるが、下請負事業の分離は申請が必要である。○ 請負事業の一括は、それぞれの事業規模を問わない。○ 請負事業の一括が行われたときには、元請負人のみが事業主とされ、元請負人は下請負人の労働者を含めて保険料の納付等、保険関係についての義務を負わなければならない。○ 元請負人に係る事業に保険関係が一括されるのは、労災保険に係る保険関係に限られ、雇用保険に係る保険関係については元請負人に係る事業に一括されることはない。
ポイント+α
○ 同一の事業主が元請負人として実施している事業と下請負人として実施している事業は一括されない。○ 請負事業の一括により元請負人に一括された下請負人の事業主が、新たに有期事業を開始したときであっても、徴収法上は事業主が異なるため有期事業の一括の対象とはならない。○ 下請負事業の元請負事業からの分離は、保険関係が成立した日の翌日から起算して10日以内に認可申請書を提出しなければならないが、天災事変等により期限内に申請書を提出することができない場合、請負方式の特殊事情から事業開始前に下請負契約が成立せず期限内に申請書を提出することができない場合等やむを得ない理由がある場合には期限後であっても提出することができる。