労災保険法 1 適用事業及び適用除外 [労災法3条]
目次
問題
問1労災保険法による保険給付は、労働者を使用するすべての事業について、業務上の事由、複数事業労働者の二以上の事業の業務を要因とする事由又は通勤による労働者の負傷、疾病、障害、死亡等に関して行われる。(平成21年改)
労災法1条、3条1項
労働者を使用する事業であっても、暫定任意適用事業及び適用除外に該当する事業は労災保険の適用事業とはならない。
問2労災保険は、日々雇用される者及び1か月未満の期間を定めて使用される者には、適用されない。(平成12年)
労災法3条1項
労災保険は、雇用期間の長短にかかわりなく労働基準法上の労働者であれば適用される。
問3労働者派遣事業の事業主から派遣されて、派遣先の適用事業において当該事業の事業主の指揮命令を受けて労働に従事する者は、派遣先の労災保険法の適用事業所において使用される労働者に該当する。(平成16年)
労災法3条1項、昭和61年基発383号
派遣労働者については、「派遣元」事業主の事業が適用事業とされる。
問4労災保険法は、行政執行法人の職員に適用される。(平成29年)
労災法3条2項
行政執行法人の職員は、身分は国家公務員であり国家公務員災害補償法が適用されるので、労災保険は適用されない。
問5労災保険法は、市の経営する水道事業の非常勤職員には適用されない。(平成29年)
労災法3条2項
地方公務員のうち、現業かつ非常勤職員には労災保険が適用される。なお、常勤の地方公務員には労災保険は適用されない。
ポイント!!
強制適用事業 | 労働者を使用する事業は、すべて(暫定任意適用事業、適用除外に該当するものを除く。)労災保険法の適用事業となる。 |
暫定任意適用事業 | 農業 | 常時使用する労働者が5人未満の個人経営の事業(一定の危険又は有害な作業を主として行う事業及び事業主が特別加入した事業を除く。) |
林業 | 個人経営の事業であって、常時労働者を使用せず、かつ、年間使用労働者の延人数が300人未満のもの |
水産業 | 常時使用する労働者が5人未満の個人経営の事業(船員法1条に規定する船員を使用しておこなう船舶所有者の事業を除く。)であって、総トン数5トン未満の漁船によるもの又は特定水面等で主として操業するもの |
適用除外 | ○国の直営事業○非現業の官公署の事業(地方公務員のうち現業部門の非常勤職員は適用される。) |
○ 労災保険は、労働基準法上の労働者(使用従属関係及び労働の対償としての賃金の支払)であれば、アルバイト、パート、日雇労働者、不法就労者であっても適用される。○ 「在宅勤務」を行う場合であっても、当該事業の事業主に使用される「労働者」に該当するなら、労災保険は適用される。○ 自営業者、同居の親族等労働者でない者は、原則として適用されないが、特別加入制度がある。○ 派遣労働者については、派遣元事業主の事業が適用事業とされる。○ 厚生労働省令で定める事業を労働者を使用しないで行うことを常態とする者(一人親方等)であっても、その者が労災保険に特別加入した場合、その者について労災保険が適用される。
ポイント+α
○ 行政執行法人の職員は、身分は国家公務員(国家公務員災害補償法が適用される。)であるため、労災保険は適用されない。○ 出向労働者の保険関係の所在については、出向の目的及び出向元と出向先とが当該出向労働者の出向について行った契約と出向先事業における出向労働者の労働の実態等に基づいて、当該労働者の労働関係の所在を判断して決定される。