労働基準法 21 事業場外労働のみなし労働時間制 [労基法38条の2]
目次
問題
問1労働基準法第38条の2に定めるいわゆる事業場外労働のみなし制は、情報通信機器を用いて行う在宅勤務の場合、どのような要件の下でも、結局は当該通信機器を通じて使用者の管理を受けることとなるため、適用されない。(平成22年)
労基法38条の2、平成20年基発0728002号
次のいずれの要件も満たす形態で行われる在宅勤務(労働者が自宅で情報通信機器を用いて行う勤務形態をいう。)については、労基法38条の2に規定する事業場外労働に関するみなし労働時間制が適用される。
①当該業務が、起居寝食等私生活を営む自宅で行われること、②当該情報通信機器が、使用者の指示により常時通信可能な状態におくこととされていないこと、③当該業務が、随時使用者の具体的な指示に基づいて行われていないこと
問2労働基準法第38条の2に規定するいわゆる事業場外労働のみなし労働時間制について、事業場外での業務を遂行するために通常所定労働時間を超えて労働することが必要となる場合には、当該業務の遂行に通常必要とされる時間を労使協定で定めることができる。使用者は、この協定を所轄労働基準監督署長に届け出なければならないが、労使協定で定める時間が法定労働時間を超えない場合には、届け出る必要はない。(平成11年)
労基法38条の2第3項、労基則24条の2第3項
労使協定で定める時間が法定労働時間を超えない場合は、届出は不要である。
ポイント!!
● 労働時間の全部又は一部について事業場外で業務に従事した場合
労働時間を算定し難い場合 | 所定労働時間労働したものとみなす。 |
業務を遂行するため通常所定労働時間を超えて労働することが必要となる場合 | 労使協定がない場合 | 業務の遂行に通常必要とされる時間労働したものとみなす。 |
労使協定がある場合 | 労使協定で定める時間を業務の遂行に通常必要とされる時間とする。 |
○ 事業場外労働の労使協定については、労働時間の一部を事業場内で労働する場合であっても、事業場外で労働する時間が法定労働時間を超える場合に届け出が必要である。○ 事業場外労働に関するみなし労働時間制の対象となるのは、事業場外で業務に従事し、かつ、使用者の具体的な指揮監督が及ばず労働時間を算定することが困難な業務である。したがって、事業場外で業務に従事する場合にあっても、使用者の具体的な指揮監督が及んでいる場合については、労働時間の算定が可能であるので、みなし労働時間制の適用はないものである。
ポイント+α
○ みなし労働時間制による労働時間の算定の対象となるのは、事業場外で業務に従事した部分であり、労使協定についてもこの部分について協定する。事業場内で労働した時間については別途把握しなければならず、労働時間の一部を事業場内で労働した日の労働時間は、みなし労働時間制によって算定される事業場外で業務に従事した時間と、別途把握した事業場内における時間とを加えた時間となる。○ みなし労働時間制に関する規定は、休憩、休日及び深夜業の規定の適用を排除するものではない。